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第14回 仮想化によるストレージの効率利用

ICTシステム上の限られたリソースを効率的かつ効果的に利用する技術として、仮想化が注目を集めている。仮想化とは、物理的には1つのリソースを論理的に複数のリソースに見せかけたり、逆に物理的には複数あるリソースを論理的に1つのリソースに見せかけたりする技術のこと。仮想化の対象は、サーバ、ネットワーク、ストレージなど、さまざまであるが、最近では特にサーバ仮想化の普及が進んでいる。
今回はストレージ仮想化について、サーバ仮想化との関係や導入の効果などについて考察する。

(注)本連載ではIDCのレポートを基に、中堅中小企業=1人~999人以下、大企業=1000人以上と定義する。

サーバ仮想化とストレージの課題

たとえば、部署ごとにサーバを運用している場合は、サーバ仮想化により1台の物理サーバ上で複数の論理サーバを稼働し、各部署で利用することで、サーバの統合が可能になる。サーバの台数が減れば、運用コストの削減や管理作業の軽減だけでなく、省電力化・省スペース化などのグリーンICTの推進、セキュリティの強化(保護すべきサーバ数の減少によりセキュリティ対策がしやすくなるため)にもつながる。
ただし、サーバ仮想化を導入するだけで、これらのメリットが直ちに得られるとは限らない。「サーバー仮想化環境でのストレージ管理の課題」という調査の結果を見てほしい。

「サーバー仮想化環境でのストレージの性能維持」「サーバー仮想化環境におけるデータ量の増大」をはじめ、「ストレージハードウェアコストの増加」「ストレージ管理負荷や管理コストの増加」など、ストレージに関連する問題を挙げている企業が多い。
サーバ仮想化によりサーバを統合しても、各論理サーバが個別にストレージを利用しているのであれば、余分な運用コストや管理作業が生じる。1台のストレージを共有する場合でも、論理サーバによって、割り当てられた領域がすぐにいっぱいになったり、逆に利用率が極端に低かったりすると、システム全体の効率が低下する。
この調査結果は、サーバ仮想化によって最大限の効果を得るには、ストレージの性能についても十分検討し、ストレージ仮想化を行うとともに、仮想化環境におけるデータ増大への対応、障害特定のための監視ツールの検討などが必要であることを示唆している。

ストレージ仮想化の導入目的

IDCは、実際にストレージ仮想化を導入した企業に対してその導入目的を調査している。

コストの削減、運用/管理の効率化、ストレージの有効利用などの回答が多いが、「サーバー統合のメリットをより引き出すため」「サーバー仮想化のメリットをより引き出すため」と回答している企業もあることに注目してほしい。
このことから、サーバの統合や仮想化によるメリットをより高めるために、外部ストレージ仮想化の導入が検討されていることがわかる。
また、「外部ストレージ仮想化の導入パターン」という調査の結果でも、「サーバー統合と合わせて導入」「サーバー仮想化と合わせて導入」という回答がある。

ストレージ仮想化はまだ新しい技術であり、現状ではその定義や実現手法が確立しているとは言えない。具体的には、複数の物理ストレージを論理的に統合して仮想ストレージプールを構成し、動的かつ柔軟な領域の再配置を可能にするディスク仮想化や、複数の物理ストレージを1つの大容量ディスクとみなすことで、実際の位置を意識せずにアクセスを可能にするファイル仮想化などの手法がある。これまで何度か触れてきたシン・プロビジョニングも、必要な容量のみを論理的に割り当てるという意味で、ストレージ容量を仮想化する技術とみなされる。いずれの場合も、ストレージの利用効率を上げることでハードウェアや運用にかかるコストを減らし、管理作業や利用手順を軽減することを目的とする。

では、ストレージ仮想化を導入した企業が、導入時に何を重視したかを見てみよう。

「導入コスト」という回答が一番多く、「信頼性/可用性」「運用管理の容易さ」がそれに続く、大企業の3割以上が「導入後の運用管理コストの削減効果」と回答している一方で、中堅中小企業の3割以上が「導入後のハードウェアコストの削減効果」を重視している点が興味深い。
「他社のストレージ仮想化の導入事例」「ベンダーやSIerのサポート力」「当該ストレージ仮想化技術の将来性」などの回答からは、ストレージ仮想化がまだ新しい技術であることが伺える。これから広く普及していくことが予想される注目の技術であると言い換えることができるだろう。サーバ仮想化の導入が進んでいるが、ICTシステムのコスト削減および効率利用を真に実現するためには、システムのインフラとして重要な役割を果たすストレージの仮想化も併せて検討する必要がある。


【参考】
ストレージの基礎用語 シン・プロビジョニング(Thin Provisioning)とは
用語解説 重複排除
用語解説 ストレージ仮想化とは

更新日:2017年5月31日
掲載日:2011年2月8日


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