6,600万人以上の回線契約を有するNTTドコモでは、顧客情報管理システム「ALADIN(All Around DOCOMO INformation systems:アラジン)」の処理能力増強のため、システム基盤の中心となるデータベースサーバを富士通のUNIXサーバ「SPARC M10」に刷新。サービス多様化により年々増大するトランザクションに対応可能な性能と拡張性を手に入れました。処理量の増加に応じて、CPU能力を1コア単位で段階的に増やせるCPUコア アクティベーションにより将来に向けたキャパシティ(拡張性)の確保とコスト削減を両立。ICT投資を抑えつつ、新サービスや料金プランがよりタイムリーに投入可能となり、競争力強化に大きく貢献しています。
[ 2015年7月28日掲載 ]
導入事例 株式会社NTTドコモ様 (908 KB)(A4・2ページ)
【導入事例ビデオ】
業種: | 情報・通信 |
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ハードウェア: | UNIXサーバ SPARC M10-1、SPARC M10-4、SPARC M10-4S |
ソフトウェア: | データベース Oracle Database 11g、Oracle Data Guard、Oracle Real Application Clusters
統合運用管理 FUJITSU Software Systemwalker |
「SPARC M10の導入によって、顧客情報管理システムの性能強化とコスト削減の両立、そして柔軟なリソース増強によるスピーディーなサービス提供への貢献が実現できました。今後は、他の機能のサーバや、新領域で加わる事業を実施するサーバの基盤として、さらに活用していきます」
課題 | 効果 |
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新しいサービスをタイムリーに投入できるよう、迅速かつ柔軟に拡張できるシステム基盤に刷新したい | CPUコア アクティベーションにより、トランザクションの増加に応じた、段階的な処理能力の増強が可能に |
今後のサービス多様化によるシステム拡充に対しても、十分な性能を担保すると同時にトータルコストを削減したい | スーパーコンピュータ技術の採用により、1CPUコアあたりのスループットが3.7倍に。これに伴い、少ないCPUコアで初期コストを抑制。同時にソフトウェアライセンス費用の削減にもつながり保守コストは75%削減、設置スペースは1/3以下、消費電力は約1/2に |
6,600万人以上の契約情報を統合管理する大規模システムのため、高いレベルでの安定稼働を維持したい | メインフレーム技術を継承した高信頼のSPARC M10により、安定したサービスを提供できる信頼性を確保 |
スマートフォンの普及、MNP(番号ポータビリティ)の開始、MVNO(仮想移動体通信事業者)の参入などを背景に、携帯電話業界は急速な変化を続けています。そうした中、各サービス事業者は、魅力的な端末、サービス、料金プランの新規投入・改訂を軸に、顧客満足度と収益性をより高めるべく、熾烈な競争を繰り広げています。
雑賀 義則 氏
株式会社NTTドコモ
情報システム部
顧客システム担当
担当部長
契約者数国内第1位(注1)の事業者であるNTTドコモでは、ビジネスを支えるICTの役割がますます重要性を増しています。同社のICTは"リアルタイム・マネジメント"をコンセプトに構築。全社的な業務やモノの流れを瞬時に把握可能とすることで、経営の最適化に注力しています。
リアルタイム・マネジメントとともに、同社がICTで注力しているのは、スピーディーなサービスの提供です。同社情報システム部 顧客システム担当 担当部長 雑賀義則氏は「お客様のニーズを満たすサービスを他社に先駆け、いかにタイムリーに提供できるかが競争力の源泉となります。他社が新たなサービスを始めた際には、対抗施策を極力短期間で投入することも求められます。そのためにはシステムが様々な要求に対応できることが最も重要です」と話します。
NTTドコモのビジネスの根幹を成すシステムのひとつが、顧客情報管理システム「ALADIN」です。6,600万人以上の顧客情報を管理する国内最大級のシステムであり、顧客情報の登録や与信チェックから、料金プランや契約期間等の管理、端末の販売や在庫管理に至るまで、顧客にまつわるすべての業務を担っています。ドコモショップなど全国5,000カ所以上の営業拠点、コールセンターにとって生命線と言えるこのシステムについて雑賀氏は「お客様対応に関わるあらゆる業務を行うALADINは"営業現場を止めない"という重要な使命を帯びています」と強調します。
ALADINが1日あたり処理するトランザクションは2,700万以上にのぼり、新しいサービスや端末の投入などに伴い、毎年増加の一途をたどっています。しかし、同システムのデータベースサーバは、従来のハードウェアのままでは近いうちに処理能力不足に陥ることが予想されていました。
吉田 孔昭 氏
株式会社NTTドコモ
情報システム部
顧客システム担当
担当課長
情報システム部 顧客システム担当 担当課長 吉田孔昭氏は「処理能力が不足すれば、新しいサービスや料金プランの開始直後などトランザクションの急増に対応できず、サービス提供の足かせになってしまいます。新サービス開始が遅れる事態は絶対に避けなければなりません。そこで、将来のトランザクション増加に耐えられるキャパシティと、柔軟にリソース増強が可能なプラットフォームを求めていました」と説明します。
さらに今回のリプレースにおいては、キャパシティ増強とコスト削減との両立という、相反するテーマも掲げました。
「NTTドコモ全体としても、常に効率的なICT投資が求められています。一般的なデータベースサーバでは、数年先の拡張性を見越したスペックを最初から導入するためコストが膨れあがってしまいます。いかにコストを抑え、目標とする拡張性を手に入れるかが大きなテーマでした」(吉田氏)。
高信頼性も必須となります。ALADINは、ドコモのリアルタイム・マネジメントを支えるその他のシステムとも連携するため、万が一停止するとビジネスに多大な影響を及ぼします。そのためシステムの安定稼働を可能にする品質の高いサーバが不可欠でした。
NTTドコモでは他社を含めたデータベースサーバを比較検討。その結果選ばれたのが富士通のUNIXサーバSPARC M10です。採用の決め手となったのが、大規模データベースにおける飛躍的な性能向上と、CPU能力を1コア単位で段階的に増強できるCPUコア アクティベーションの機能でした。
鈴木 健一 氏
株式会社NTTドコモ
情報システム部
顧客システム担当
情報システム部 顧客システム担当 鈴木健一氏は「トランザクションの増加に応じて、必要なCPUリソースを段階的に増強できます。過剰なリソースを最初から準備する必要がないため、導入時の初期費用とその後の保守費用を最小化できる点が、まさに私たちが求めていたことでした」と述べます。
SPARC M10-4S本体を最大16筐体まで増結し、1台のサーバとして運用できるビルディングブロック(Building Block)方式も評価されました。雑賀氏は「携帯電話業界では数年先にどのようなシステム要求が出るか正直読めないところもあります。しかし我々IT部門としては、そうした状況にも柔軟に対応できなければなりません。SPARC M10のビルディングブロック方式は、筐体単位で性能を増強できるので、急激な状況の変化にも安心して対応できます」と話します。
そして、SPARC M10の故障率の低さ、スーパーコンピュータやメインフレーム技術の継承、たとえ故障しても影響を局所化できる機能の搭載とあわせ、富士通のサポート体制からも、信頼性の高さを確信しました。
「従来よりSolarisサーバの安定性は実感しています。今回、その中でも特に信頼性が高いSPARC M10を選択しました」(雑賀氏)。「CPUに異常が発生しても予備のコアに自動で割り当てられるのが頼もしいですね。サポート面でも、海外ベンダーは原因調査や回答に時間を要することもありますが、富士通は対応も迅速で安心できます」(鈴木氏)。
今回のリプレースはSPARC M10-1、M10-4、M10-4S計50台を導入する大規模なものでした。リプレースは2014年9月に完了。SPARC M10の具体的な導入効果について吉田氏は「まず性能面ではCPUのコアあたりのスループットが約3.7倍になり、より少ないコア数で目的の処理能力を得られるようになりました。現在のサービス規模に応じてコアを追加できるため、コア数に応じて課金されるソフトウェアライセンス費用が大きく削減できたのに加え、サーバ本体の保守費用も約75%削減できました」と語ります。他にもラックスペースを1/3以下に削減、消費電力を約1/2に削減といった効果も得られています。
雑賀氏は「CPUコア増強を迅速にできるので、新たなサービスや料金プランの追加、キャンペーン開催、経営部門からの要求などに、システムが迅速に対応可能となりました」と評価します。
「SPARC M10のソフトウェア・オン・チップ(Software on Chip)のさらなる進化によってOracle Databaseを高速化することで、将来的にはサーバを統合し、コスト効率化、品質向上を実現したいです」と吉田氏は述べます。
雑賀氏は今後の展望について次のように語ります。「SPARC M10の導入によって、ALADINの性能強化とコスト削減の両立、そして柔軟なリソース増強によるスピーディーなサービス提供への貢献が実現できました。今後は、他の機能のサーバや、新領域で加わる事業を実施するサーバの基盤として、さらに活用していきます。富士通には、SIおよびサーバ等の提供サプライヤーとして20年以上にわたりお付き合いいただいています。今後も我々のビジネスおよびシステムを深く理解した上で提案をいただけることを期待しています」。
所在地 | 東京都千代田区永田町2丁目11番1号 山王パークタワー |
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代表者 | 加藤 薰 代表取締役社長 | |
営業開始 | 1992年7月1日 | |
従業員数 | 10,973名(グループ24,860名)
(2014年3月31日現在) |
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事業内容 | 「新しいコミュニケーション文化の世界を創造」を理念に掲げ、携帯電話サービスなどのモバイル通信事業を中心に、動画配信サービスや決済サービスなどのスマートライフ事業等も展開。料金プラン「カケホーダイ&パケあえる」など、先進的なサービスを業界に先駆けて投入。 | |
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(注1)2015年3月時点