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Fujitsu

Japan

富士通サーバ ISV/IHV技術情報
データセンターの空調最適化により、お客様に安心とTCO削減をはじめ環境負荷低減にも貢献 [第2回 冷却方式]


シュナイダーエレクトリック株式会社 様

2013年12月10日

Green IT

はじめに


シュナイダーエレクトリック株式会社
ビジネス・デベロップメント
プロダクトマネージャー
水口 浩之氏

データセンターでは、空調電力の削減が急務の一方で、ラックスペース(本数)/ラック内の空きU数を削減し、IT機器をラックに高集積化する事も重要なテーマになっております。
そのような状況下においてIT機器をいかに効率的に冷却するかが求められています。
「第1回 排気量と風量」Open a new windowに引き続き、モジュール式の設備アーキテクチャーにより、データセンターの電源/冷却設備を迅速かつ容易に設計/展開可能なソリューションをお持ちの、シュナイダーエレクトリック株式会社(所在地:東京都港区、代表取締役社長:セルジュ・ゴールデンベルグ、以下、シュナイダーエレクトリック)水口 浩之氏に、データセンターの冷却方式の違いによる冷却効果および空調システムの消費電力の削減効果などについてお話しを伺いました。

今回、第2回として「冷却方式」についてです。
「第1回 排気量と風量」Open a new window「第3回 最適な環境とは」Open a new window「第4回 最適な環境構築」Open a new window も合わせてご覧ください。

ソリューション提案

富士通は、最先端テクノロジーを集結し、最先端のITインフラを提供

富士通は、最先端テクノロジーを集結し、最先端のITインフラの提供を通じて、人にやさしい豊かな社会の実現のために様々なサービスを提供しています。
変化に強いIT基盤の提供に向け、省エネ性能などの強化や電力、運用コストの削減を常に意識した製品作りを心がけていると感じています。徹底した低電力部材の採用や冷却効率の追求など、消費電力量の削減のみならず、データセンター全体の空調への負荷軽減にも貢献しています。
このようなIT機器メーカーの努力に対し、シュナイダーエレクトリックは、いかにコンピュータシステムをより効率良く冷却し、コンピューティングに使える電力を確保できるよう検討していかなければなりません。
IT機器の電源問題や熱問題を解消することはもちろん、いかに効率の良い製品で、コンピュータのパフォーマンスを高められるかがシュナイダーエレクトリックの課題であり、挑戦だと考えています。
シュナイダーエレクトリックが提供する製品で安心かつ、より効率の高いインフラソリューションを、富士通が提供するプラットフォーム製品と組み合わせて提供することで、ビジネス社会への貢献を実現させたいと考えています。

富士通はいち早く低消費電力CPU/メモリを提供

「第1回 排気量と風量」Open a new windowにて、一般的なデータセンターで使用される電力のうち、空調機関連は35%~50%を占めると言われているとお伝えしました。
また、サーバの消費電力の約40%はCPU/メモリが占めていると言われています。

富士通では、省エネ対応がトップレベルの製品であり、市場製品との比較において極めて優れた「PRIMERGY」を提供しています。
しかしながら、最近用途が増加しているHPCシステムは、大変多くのCPU/メモリで構成されるため、省エネ設計のサーバを使用したシステムにおいても、ラック1台当りの発熱量は簡単に20kW以上となります。
これは、一般家庭で使用する電気ストーブ1台を1400W=1.4kWとした場合、14台以上が600mm(W)x 2000mm(H)x 1000mm(D)の箱(40Uラック相当)に満載している状態を意味します。
このような箱が部屋にずらりと並ぶ事を想像すると、冷却するのが容易ではない事が想像できると思います。

富士通が提供するサーバには、低消費電力のCPUやメモリを採用したモデルや、高温環境に適用可能なモデルがあり、空調メーカーとしてシュナイダーエレクトリックは、それらと相乗効果を出せるソリューションを提供してまいります。

方式の違いによる冷却効果および消費電力の削減効果

規模が大きくなればなるほど、冷水を使った冷却方式が効果を発揮

建物やフロアで使用できる電力は当然上限があります。特にデータセンターでは、限られた電力でいかに多くのIT機器を稼働させることができるかがたいへん重要になります。
また、以前、富士通の技術者から、空調で使用する電力を2割下げられれば、IT機器の性能が2割上がると言っても過言ではないと聞いたことがあり、非常に印象的でした。
それでは、冷却方式の違いによって、冷却効果や消費電力量にどのような違いがあるのか、1ラックあたり20kWの発熱のラックを50台設置した場合(1000kWレベル相当)を例に、パッケージエアコン方式と冷水を使ったInRow冷却方式、それぞれの実現方法を見ていきましょう(【図1】)。

【図1】 空冷パッケージエアコンと冷水を使ったInRow空調のイメージ図
~20kW x 50ラック=1000kWレベル相当の冷却方法~

パッケージエアコンは、超高発熱対応のため下階に空調機械室を設けて設置される場合があります。今回の例の場合、1台のパッケージエアコンが56kWとして「19台」必要になり、そのための室外機も同じく「19台」必要です。パッケージエアコンのような冷媒式の場合、冷媒のガスを圧縮させるためのコンプレッサーという装置がパッケージエアコン1台毎に必要になります。
一方、冷水を使ったInRow冷却方式の場合、チラーやターボ冷凍機という装置で冷水を作ります。この装置にも大型のコンプレッサーが搭載されています。
両方式に使用されているコンプレッサーは大量の電力を消費しますが、冷水を使ったInRow冷却方式の場合、コンプレッサーの台数を少なくすることが可能なため、パッケージエアコンに比べ、消費電力の低減が可能です。
その結果、超高発熱環境の1000kWレベルのデータセンターにおける定格消費電力量は、InRow冷却方式の方がパッケージエアコンに比べて、21%削減の79.2kW/hの削減が可能となります(【表1】)。
これは、一般的な電気料金が1kW/hあたり15円とすると、年間1000万円以上もの節約が可能となる計算です。
(79.2kW x 15円 x 24時間 x 365日=10,406,880円)

【表1】 IT機器の耐熱性の違いによる必要風量の違い
~装置吸気温度を20℃にした場合の電力比較~

なお、システム規模により、高集積化したラックの発熱対策をパッケージエアコンと冷水を使用したInRow冷却方式を組み合わせることにより、効率的な冷却効果が期待できる可能性もあります。
「第1回 排気量と風量」Open a new windowで紹介しましたが、シュナイダーエレクトリックの空調製品はファンの回転数や冷水の流量を設定温度に合わせて自動で調整します。よって、実運用環境では、これらの機能により、更なる省エネ効果が実現できます。

冷水の温度を上げて更なる省エネ

「第1回 排気量と風量」Open a new windowでも触れましたが、現在のサーバ製品は省エネ対応のため、発熱に合わせて必要な時にファンをONにしたり、不要な時にはOFFにしたり、温度に応じてファンのスピードを多段階に制御可能となっています。さらに富士通のサーバ製品では吸気温度40℃でも動作に問題がないモデルもラインナップされています。

データセンター運用に大きな影響力があるASHRAE(アメリカ暖房冷凍空調学会)という団体では、実際に様々のメーカーの機器を評価し、データセンターに適切な設定温度は、18℃~27℃が望ましいとの見解を出しています。
このように、IT機器の性能が進化していることで、データセンターを従来の様にとても冷たい環境にする必要がなくなってきています。
また、冷水を使った冷却装置では、循環して戻ってきた12℃の冷水を7℃に下げて再度送り出すことを想定して設計することが一般的ですが、先の通り、データセンターにおける供給空調温度が25℃でも良い環境であれば、冷水温度は10℃以上でも問題ありません。
また、冷水の温度を上げることでチラーや冷凍機の消費電力を下げることも可能です。
近年、フリークーリングとの組み合わせた製品や、コンプレッサー構造に電磁力を使い圧倒的な低消費電力、静音性能を持った最新のチラー製品も出てきており、今後は冷水による冷却方法が様々なところで進んでいくことになると確信しております。

InRow Cooling 冷水系モデルラインナップ

シュナイダーエレクトリックが提供する一体型空調装置「InRow」シリーズは、お客様のメリットの大きい高効率なデータセンターソリューションです。
特に冷水式冷却装置「InRow Chilled Water Cooling」は、熱負荷に合わせてファン速度と冷水流量をきめ細かく調整できるため、冷却効率を大幅に高められ、刻々と変化する IT 環境に柔軟な対応が可能です。

実際に世界のスーパーコンピュータランキングやスーパーコンピュータの省エネ性能をランキングするGreen500で上位に入るプロジェクトでも富士通プラットフォーム製品と共にシュナイダーエレクトリックの空調製品が採用され実績を上げています。

これからも、富士通の最新プラットフォーム製品や高いシステムインテグレーション力と、シュナイダーエレクトリックのITを取り巻くファシリティソリューションを組み合わせることで、多くのお客様にTCO削減および、最適かつ環境に優しいシステム環境を提供してまいります。

お問い合わせ先

シュナイダーエレクトリック株式会社
icon-telephone 03-6402-2001
icon-mail jinfo@schneider-electric.com
Webサイト:http://www.apc.com/jpOpen a new window

注意事項

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