創業80年を超えた日水製薬様は、微生物や細菌培養のノウハウを活かし、細菌検査の分野でトップレベルのシェアを誇る「菌に強い」製薬会社として、医療分野において大きく社会貢献しています。食の安全や健康被害の低減に対する日水製薬様の役割は、海外からも強く期待されています。 日水製薬様の基幹システムは、1995年のM-1600/2から始まり、現在に至るまで富士通のメインフレームが支えています。
[ 2017年 9月7日掲載 ]
1995年 | M-1600/2 自社開発開始 |
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1999年 | GS8500FX/10K |
2005年 | DWH 構築 |
2007年 | 携帯電話による受注エントリ開始 |
2008年 | PRIMEFORCE 4010M |
2015年 | PRIMEQUEST 2400S/15 タブレットPCによる受注発注業務開始 |
2017年 | 特価申請ワークフローをWeb化 |
業種 | 医薬品 | |
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製品 | ソフト | Fujitsu Software WSMGR for Web |
ハード | PQ2400S モデル15
FNA Server(WSMGR for Web)×2 |
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構築期間 | 3週間 |
1 | 販売システムが携帯電話の機種に依存した作りのため、携帯電話の販売中止により、システムの再構築が必要 | 既存のオンライン業務をWeb化することで、機種に依存しないマルチデバイス対応を実現 | |
2 | 販売システムの再構築に伴う開発コストを削減したい | WSMGR for Webのスクリプトエディタを活用することで開発の内製化が可能となり、開発コストを大幅に削減 | |
3 | ホストリプレースと同時に本稼働させたい | WSMGR for Web体験セミナーを受講することで、開発ノウハウを習得できたため、短期間での開発が実現 |
日水製薬は、昭和10年の創業以来、企業理念の「人々の健康と幸せを実現する企業」のもと、臨床検査の多様なニーズに応える診断薬や産業試薬の開発・研究から販売までを手掛け、日夜世界の食の安全と人々の健康を守っています。
私たちの身近にある薬局・薬店で扱っている日水製薬の薬や健康食品の受注エントリは、FAXを利用していました。
全国からのオーダー伝票を一括してセンターで受けホストに入力していましたが、1日3回の計上処理に向けFAX処理が集中し、常にその対応に追われていました。そこで、営業が連絡用に持っていた携帯電話を使って、受注エントリをできるようにしたのは、2007年です。
携帯電話を使った販売システム(MOSystem:Mobile Order System)により、効率化は図れましたが、携帯電話のメーカーの都合により利用していた機種が販売中止となり、対応策を検討することになりました。
受注エントリのアプリケーションは特定の携帯電話で動作する仕組みでした。
MOSystemは外部に開発を委託していたため、携帯電話の機種変更対応や業務改善のためのカスタマイズのたびに大きな費用負担がありました。そのため、再構築を機に、内製化を目指すことにしました。
そこで、内製化の方式についての検討が始まりました。
新システムでは、これまでの携帯電話にアプリケーションを搭載する方式を改め、ホストのオンライン業務(販売システム)をWeb化する方式を採用しました。この方式であれば、私たち情報システム部門のノウハウを最大限に活かせると判断したからです。
新システムの設計方針を検討するための情報を収集する中で、富士通の「WSMGR for Web」に、画面のWeb化やマルチデバイス対応の機能が備っていることを知りました。ホスト側の開発は私たちの得意とするところです。
画面を定義するだけで基本的には動くということから、求めているシステムを構築できると思い、WSMGR for Webの導入を決定しました。
WSMGR for Webの導入が決定し、富士通からサンプルスクリプトを提供してもらった矢先に、SEさんから「WSMGR for Web体験セミナー」を紹介されて参加しました。このセミナーを受講したことで開発方法の概要を理解し、すぐに画面作成作業に着手しました。最初の2週間で、サンプルスクリプトの解析とともに、WSMGR for Webが提供するスクリプトエディタの使い方を習熟しながら、画面を設計し、残りの1週間で本番用の7画面すべてを1人で開発しました。
セミナーに参加したころには、すでに画面作成のために残された時間は3週間しかありませんでした。JavaScriptの知識はありましたが、WSMGR for Webの知識が何もないところからでは、さすがに短期間での構築は不可能でした。スクリプトエディタとその使い方を習得した体験セミナーがなかったら、実現できなかったと言っても過言ではありません。今でもセミナーの資料は残してあります。
実は、ホストのリプレースのタイミングだったため、同時に複数のシステム開発により、人手も時間も余裕がありませんでした。
しかし、ネットワーク環境とFNAサーバは既存の環境を使用でき、WSMGR for Webを導入するだけでしたから、短期間で構築できました。また、タブレットPCも配付済だったため、最低限の設備投資で実現しました。
営業担当者からは、「携帯電話では1件ずつエントリしなければならないから面倒だ」と、よく聞かされていました。携帯電話の画面では1画面に1商品しか入力できなかったため、複数の商品を発注する場合は、商品単位で入力し確定する煩雑さがありました。今回、タブレットPCに変わって画面が大きくなったため、5商品分まとめてエントリできるようになりました。営業部門からの要望に応えられたかなと思っています。
内製化の実現により、販売システムは、今後どのような要望にも迅速かつ低コストで対応できるようになりました。
新旧画面
販売システムのWeb化で得たスキルを活かして、「特価申請システム」をWeb化しました。
特価申請の承認のワークフローは、システム化されていましたが、最後のホスト上の特価マスタの更新は、エミュレータから入力していました。そのため、内部統制の監査時に、ホストに入力された値と、その証跡となる申請書を照合する必要がありました。
新システムでは、決裁処理が完了すると自動的に特価マスタを更新するため、申請から特価マスタの更新までの処理を連動させることができました。作業の効率化とペーパーレスを実現し、さらに、いつ誰が何をしたかの処理記録も残るため、監査が楽になりました。
また、フロー担当者の携帯電話に作業依頼を通知する機能を組み込んだことで、申請のスピードアップが実現しました。
システムは、世の中の動向によって変化が必要で、そのための要望は果てしなく続きます。
私たちは、WSMGR for Webのノウハウを共有し、誰でも開発できるような体制をとっているため、それらの要望にも応えていきたいと思っています。
早速、「特価システム」の機能拡張に着手しています。
また、これはまだ構想段階ですが、臨床産業系の在庫予約システムもWeb化したいと思っています。
業務のWeb化によりワークスタイルを変革できる、WSMGR for Webへの期待は今後も増すばかりです。
「メインフレームは絶対安心だ」と改めて感じたのは、東日本大震災の時でした。
廊下が波打つほどの大きく長い揺れのあとに、停電しました。揺れの影響で自家発電へも切り替わらず、メインフレームの電源も落ちました。翌月からの本稼働に向けた大きなシステム開発の真最中でしたから、電源断を目の当たりにして、頭の中は真っ白になりました。ところが、電力が復旧して電源を入れたらちゃんと動作したのです。完璧に。地震発生時は、ちょうど受注処理もあり、通常のバッチ処理が大量に動いていました。その状況での電源断でしたが、ダウンリカバリが走って、まさに、何ごともなかったかのようでした。すべての業務の復旧は早かったですよ。
あれには感動しました。
自社のシステムは、自分たちで「開発できる」というのが一番の強みです。今回、ホストのオンライン業務を簡単にWeb化できるスキルも備わったことで、さらに強みが増しました。若手も確実に育っていますから、ホストを使い続けることに何の問題もありません。保有しているプログラム資産も、資産価値という意味でも継続しないなんて、もったいないじゃないですか。
情報システム部門は少人数ですが、システム運用や開発に限界はないと思っています。
これからも、前進するのみです。
社名 | 日水製薬株式会社 |
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本社所在地 | 東京都台東区上野三丁目23番9号 |
創立 | 1935年4月6日 |
資本金 | 44億4984.4万円 |
代表取締役社長執行役員 | 小野 徳哉 |
従業員数 | 352 名(子会社を含めた連結ベース)(2017年3月31日現在) |
事業内容 | 医療機関・研究機関向け培地・診断試薬類の製造、販売ならびに輸出入
産業関連施設向け培地、産業試薬類の製造、販売ならびに輸出入 薬局・薬店向け医薬品、健康食品の製造、販売ならびに輸出入 |
ホームページ | 日水製薬株式会社様 ホームページ |
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