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Fujitsu

Japan

市税システムの再編成における業務の効率化を実現

川崎市様 導入事例


神奈川県川崎市様では、市税業務の効率化を目指し、適正・公平で、より信頼される税務行政を進めていくために、市税事務所の集約とともに、市税システムの再編成を行いました。

[ 2011年 9月30日掲載 ]

【導入事例概要】
業種: 自治体
製品: Interstage for GS

川崎市市税業務の取り組み

川崎市の市税業務は、これまで適正・公平で信頼される税務行政を効率的・効果的に行うことを目指して、問合せや証明書発行業務の応答時間の短縮など、市税システムによる市民サービスの向上に貢献してきました。

川崎市では、今後2025年まで人口増加(=納税義務者の増加)が見込まれ、必然的に市税の業務量の増加が予想されます。これまで以上に適正・公平な税務行政を推進していくためには、職員の適正な配置やスキルアップとともに、よりシンプルで効率的な執行体制が必要となります。そこで、執行体制そのものを抜本的に見直すために、市税業務の再編を行うことになりました。

今回は、市税業務の再編に携わった富士通 行政第二ソリューション事業本部 東日本第二ソリューションサービス部の宮舟氏、中村氏、眞部氏にお話をうかがいました。

市税システムの再編

市税業務の再編に向けて、7区役所で行っていた業務を3箇所の市税事務所と1つの分室に集約することになり、市税システムの再編に必要となる全ての作業を洗い出しました。
事務所の集約のためには、メインフレームで稼動している市税システムのアプリケーションの改修が必要となります。また、同時に端末のリプレース(Windows7対応)を行いますが、PowerAIMを利用しているため、このままではWindows7の端末と連携できないことがわかりました。

そのため、システムのオープン化方式とPowerAIMからInterstage for GSへの移行方式という二つの選択肢を設定して対処方法を検討しました。

【検討項目と結果】
構築期間 システムの再編成は事務所の集約を主眼においたプロジェクトの一環のため、再編成スケジュールに合わせ短期構築が必要。 オープン化の場合:規模の大きい市税システムを新規開発した場合、構築期間に3~4年有すると予想されるため、短期間での開発は難しい。
移行の場合:既存アプリを流用することで、アプリ改修を最小限に抑制でき、短期構築が可能。
バッチ業務 バッチ処理遅延による業務への影響回避(重要度の高いバッチ業務は日中および夜間にも処理実行している)。 オープン化の場合:処理能力に限界があり、今後発生する業務の増加に耐えられない可能性がある。
移行の場合:既存バッチアプリを変更することなく、オープン技術を活用したオンライン業務と、絶対的な性能/信頼性を兼ね備えたバッチ業務が融合できる。
データの整合性確保 業務データの整合性を確保し従来通りの業務ができる。 オープン化の場合:業務データの分散によるデータの不整合や、マルチサーバ化によるデータ連携リスクへの対応が発生する。
移行の場合:問題なし(従来通り)

検討項目と合わせコストとリスクの考察を重ねた結果、Interstageへの移行が最善策であることを川崎市様にご理解いただき、事務所集約と合わせたタイミングで端末の最新OS対応と共にシステムを切替えることにしました。

新システムの特長

市税システムでは特にデータの整合性が大事です。今まで通りにメインフレームでしっかりデータの整合性を守り、データをそのまま使用できることがポイントとなります。

自治体では個人情報を守るという意味で、セキュリティには厳格なつくりが必要です。そのため、ネットワークにさらされる一般回線での利用はもちろんのこと、無線すらダメというところがいまだに多く存在します。

市税システムも専用線と専用端末による運用ですが、情報系システムは一般回線と一般PCによる運用です。そのため、複数の端末を使用する業務は煩雑となり、効率化を図る必要があります。また、550台の専用端末は事務所を占拠し、作業スペースの確保も必要です。この課題に対し、端末をマルチブート方式で接続することで、職員は情報系業務と専用の基幹系業務を切り替えて1台の端末から行うことで業務の効率化と作業スペースの確保を実現しました。もちろん基幹系のセキュリティ強化は確保されたままです。

Interstage移行時の改修

メインフレームのアプリケーションは基本的には既存のまま活用し、クライアント側は既存の仕組みを利用しつつアプリケーションを新規開発しました。

【RDA通信とCORBA通信におけるバイナリデータの扱いの違い】

Interstage Application ServerのCOBOLインタフェースの仕様により、バイナリデータを1バイトずつ転写する必要があり、データ量の多いオンライン画面ではレスポンスへの影響を懸念しました。 このため、COBOLではすべてのデータをバイナリデータとして扱わず、バイナリデータとテキストデータに分けて扱うようにクライアントとメインフレームのアプリケーションを修正しました。

Interstage Application Serverは、Java、C++/C言語だけでなく、COBOLもサポートしているため、IT部門のCOBOL開発者のスキルを活かすことができます。また、PowerAIMクライアントアプリケーション資産もある程度活用しながら、新規にInterstageクライアントアプリケーションを開発することができました。
このように、最新技術を取り込みながら、絶対的なバッチ性能とセキュリティで担保された品質を有効活用して最新ソリューションを実現しました。
また、Interstage for GSはパッケージ製品のため、新たな追加費用は発生することなく、導入コストの削減が図れました。

【システム概要図】

【開発スケジュール】(弊社受託範囲)

現状の課題と今後の展開

大量のバッチ処理が可能なホストは、今でもナンバーワンなインフラであると思いますし、ホストで業務を稼動させている自治体からは、絶対的な信頼性と堅牢性と強固なセキュリティにおける実績も高く評価していただいています。

その一方で、オープン化の流れもあります。何年か先になりますが、今回再編した市税システムのリプレースが必要となったときも、川崎市様と一体となって最善策を見出し、ベストとなる提案をしていきたいと考えています。その際には、既存資産の有効活用も選択肢のひとつとして視野に入れ、市税システムの安定運用を目指していく考えです。

【川崎市様 概要】
所在地 〒210-8577 神奈川県川崎市川崎区宮本町1番地
概要 神奈川県の北東端に位置する政令指定都市。
世帯数666,906、人口1,430,579(2011年8月1日現在)

ホームページ http://www.city.kawasaki.jp/Open a new window

【ご紹介した製品】

本事例中に記載の肩書きや数値、固有名詞等は掲載日現在のものであり、このページの閲覧時には変更されている可能性があることをご了承ください。