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Fujitsu

Japan

導入事例 徳島市様

DBレプリケーションによる電子入札システムの構築
~TJNLによる行政業務のIT化の推進~

[2006年7月3日 掲載]

導入事例キーワード
業種: 自治体
ソリューション: 電子入札システムの構築
製品: TJNL

吉野川:関東の利根川の坂東太郎、九州の筑後川の筑紫次郎とともに、日本を代表する大河川であり、暴れ川としても知られています阿波おどりで有名な徳島市は、四国三郎として知られる吉野川が作り出した沖積平野の三角州上に発達した都市で、吉野川をはじめとする大小138の川が市内を巡り、市内中心部にあるヨットハーバーが「水の都 徳島」を物語っています。
徳島市の発展は、天正14年(1586年)に蜂須賀家政が築いた徳島城を中心に、城下の整備を行った頃にさかのぼります。当時阿波の国(徳島)では吉野川流域での藍作りを推奨することで商業的農業を発展させるとともに藩の経済力を高め、幕末には日本で十指に入る城下町となりました。
真夏の風物詩 阿波踊り現在では、明石海峡大橋や四国縦貫自動車道の開通により、徳島市は四国の東玄関として全国的に注目を集めています。この中で、「自立と共生の中に、新しい豊かさを創造する市民参加都市・徳島」を都市づくりの基本理念として掲げている徳島市は、四国地方東部における政治・経済・文化の中枢都市を目指しています。
ここでは、徳島市様が描く未来構想の一つとして、2006年4月より新設した電子入札システムについてご紹介します。

電算化への取り組み ~シンプルで効率的な行政運営を目指して~

庁内情報化への取り組み

久保英夫氏1973年(昭和48年)より庁内業務の電算化に取り組んできました。この電算化を進める中で、庁内の情報化を総合的に推進していくために、オンラインロジックの標準化(各サブルーチンのプログラムインタフェースの標準化)とデータベース(以下DBと称す)の業務間共有化を行いました。オンラインロジックを標準化することで、職員のスキルに依存することなく、開発や保守を行うことができます。また、一部の開発を外部に委託する場合でも、階層化された一部を切り出してお願いできるので、開発量やスケジュールの把握や管理を正確に行うことができます。DBを共有化することで、マスターDBとして一元管理されたDBを使った効率的な業務の構築が可能となりました。共有化する前は業務ごとにDBが分かれていたため、散在するDBへのアクセスは非常に効率の悪いものでした。一時期、世間での分散システム化の流れを受けて徳島市も揺れ動きましたが、DBの分散化による弊害を考えて、メインフレームによる集中管理システムで基幹業務を構築していくという方針を確立しました。

最近では企業や住民、他の自治体などとの接点として、インターネットを利用した外部向けの仮想的な窓口である徳島市ホ-ムページを開設し、多様化する住民ニーズへの対応を行ってきています。住民サービスとして、各種イベントの広報や図書館の蔵書検索/予約をはじめとする、70余りの手続きでは過去4ヶ月で3000件のアクセスがあり、徳島市ホームページは企業や家庭から幅広く利用していただいています。

徳島市では、庁内の内部業務を業務系、インターネットによる住民サービスを情報系と位置付け、どちらとも積極的に情報化に取り組んでいます。その中で市民サービスの向上に向け、市民や企業との接点となる情報系システムと、住民基本台帳や税務などの業務系システムが、うまく連携することが必要だと考えています。

電子入札システムの構築 ~Web化&データ連携~

電子入札システム構築の経緯

市長から入札制度の適正化や透明性を考えた、電子入札システムを構築する方針が出されました。

構築に向けて検討した結果、入札に伴う契約の管理や入札業者の登録などのシステム化と、企業がインターネットから入札手続をするためのシステム化の両方での開発が必要だという結論に達しました。
実現に向けて問題となるのが経費と期間です。徳島市の入札は年間600~700件ほどありますから、この全てに対応できるシステムを構築するためには相当の経費と期間が必要です。目標は差し迫った大型案件に間に合わせることでしたから、問題解決とともに目標を達成させるために段階的にサービスを提供することにしました。

第一次システムでは企業からの入札手続き部分をWeb化することを目標にしました。入札に必要な内部業務は従来通り全て手作業で行わなければなりませんが、大型案件は数件でしたから問題はありません。第一次システムは、JACIC(JApan Construction Information Center:日本建設情報総合センター)の電子入札コアシステム(注1)を採用し情報系システムに組み込むことで、効率的な構築ができました。

電子入札の適用範囲は、一般競争入札にまで拡大することを考えていました。効率化された入り口からどんどん流れてくる入札案件(年間600件以上)に対して、内部業務を手作業で行っていてはとても追いつきません。このため、第一次システムの構築と並行して、第二次システムとして、契約管理や業者登録のシステム化を推進しました。

(注1)電子入札コアシステムとは
公共発注機関での円滑な電子入札システムの導入を支援するため、JACICが主体で開発・提供している汎用性の高い電子入札システム

電子入札範囲

電子入札システムの概要図

システム概要図

電子入札システム構築 ~システム間連携~

第二次システムでの一番の特長は、情報系システムにある電子入札コアシステムと、業務系システムに構築する契約管理や業者登録システムとの間のデータ連携にDBレプリケーションを採用したことです。

第二次システムでは、インターネットから入ってきた情報とメインフレームのDBのデータのやりとりが発生するため、情報系と業務系のシステム間連携が必要となります。システム開発においてはこの連携が、職員が意識しなくても動き、簡素で効率的な形にするのが一番だと考えました。

電子入札システムは導入したパッケージ(電子入札コアシステム)とメインフレーム上の契約管理や業者登録システムを連携させデータのやりとりをさせるだけではなく、業務系システムの例外処理にも対応させなければなりません。また、これに伴う複雑な動きが全てDBに反映してくるため、設計段階でのミスが業務ロジックまで影響を及ぼしかねないことを懸念し、担当部署との打ち合わせを綿密に行い、慎重に設計を進めました。

契約管理システムは既にありましたが、監理課の部門システムでしかなく、今後の全庁システムとしての展望や冗長性を考慮した結果、今までと同じ思想(メインフレームでの構築)で構築を進めることにしました。これは、自分達で柔軟に対応できるシステムにしたいと考えたからでもあります。また、すでに環境が整備されたLAN環境を共用することでコストの削減と展開のスピードアップが図れました。

TJNLを選んだ理由

阿部哲也氏電子入札システムを完成させるためにはインターネット(情報系)とDB(業務系)の間のやりとりが必要と判断していました。このため、情報系と業務系のシステム間の連携方法を検討しているときに、GSデモセンターで製品のデモを見て、この製品ならメインフレームとの仕組みとしては一番スマートかな、と実感したのです。

TJNLを導入したことで、外付けの定義設定をするだけでアプリレスで更新データが自動的にレプリカDBに反映できました。このため一定間隔でDBをコピー転送を行うことなく、リアルに近いデータをレプリカDBから活用することができました。

本音を言えば、メインフレームのDBから、電子入札システムのDBへ直接DBレプリケーションを行いたかったのです。しかし、パッケージがDBを公開していなかったために断念し、中継サーバにレプリカDBを配置しました。今後のパッケージの保守(改版への対応など)まで考慮すると、その都度発生するパッケージのカスタマイズをすることは大きな負担となります。結果的に、中継サーバにレプリカDBを持つことでパッケージをそのまま使用できる、今のようなサーバ体系の選択は正しい判断だったと考えています。

TJNLは今後電子入札システムのような情報系と業務系をつなぐようなパターンのシステムを構築するときや、パッケージを導入して連携するようなときには、かなり威力を発揮するのではないかと思っています。今後も必ず候補にあがる製品でしょう。

システム導入の効果 ~更なる発展を目指したIT化の推進~

効果

第一次システムの段階では、2005年度の大規模工事(1億円以上)の落札率(予定価格に対する落札額の割合)が低下し、前年度と比べ契約金額ベースでは約6350万円の支出が削減されました。これは05年度に電子入札適用範囲を6000万円~1億円の範囲に拡大し入札制度の透明性、公平性、競争性を高める取り組みの成果といえます。今後も適用範囲をさらに拡大していく予定です。本格的な電子入札システムは2006年4月から稼動したばかりですから、はっきりとした導入の効果が見えてくるのはこれからでしょう。

今回構築したDBレプリケーションの技術は電子入札システムに留まることなく、今後は調達業務や戸籍情報のシステム化への展開を予定しています。住民および職員の利便性を高めると共に、徳島市が描く未来構想に向け着実に前進しています

徳島市のホームページのアクセス率は年々増加傾向にあり、2005年度にはトップページに年間90万件のアクセスがありました。今年は100万件突破を目指しています。このように、仮想上の窓口へのアクセスが非常に高いので、実際の窓口となる市役所窓口も改善していかなければいけないと、職員一同感じています。そこで現在は、総合窓口を2008年4月に開設する計画で動き始めています。ここでもバックエンドの業務は100%メインフレームで行います。メインフレーム上で一元管理されたデータを利用して、そのデータをどう組み合わせるかと言うことになるため、電子入札システムで培ったデータ連携のノウハウを最大限活かすことになります。DBレプリケーション技術の効果が出るのはこれから、と言ったのはこのことです。

メインフレームへのこだわり ~使い続ける理由~

一言で言うと、手間がかからないからです。世の中ではメインフレームはランニングコストが高いと言われていますが、トータルコストから見たらどうでしょう。メインフレームは安定していますし、バグも少なく外部からの攻撃の脅威にさらされることもありません。徳島市でいうところの情報系システムはオープンでやるべきところでしょうが、わざわざ内部の業務をオープン技術でやる必要はないと思っていますし、今まで時間もお金もかけて延々と積み上げてきた資産を全部捨てるんですか、ということです。メインフレーム上の資産(アプリやDB)は、制度や業務の変更や要望に合わせてロジックも日々変わってきていますが、私達はその変化に柔軟に対応できるよう全資産を掌握できているため、影響を受けることはありません。

例えば市町村合併したら、合併のためのシステム開発経費は、一気に何億、何十億発生するものと思います。この場合でも徳島市では、合併市町村のデータをセットアップすることで、徳島市のメインフレームに合併した市町村からは基本的にWS(端末)でつなぐことができ、システム開発経費を大幅に圧縮することができます。その上スピーディに対応できると思います。

メインフレームでの基幹システムは、やっぱりトータルコストは安いですよね。規模の大きさに比例して経費メリットは出てくるでしょう。

今回お話いただきました、徳島市総務部情報推進課 課長補佐 久保英夫氏が「月刊LASDEC-地方自治情報誌 2005年2月号」に、徳島市における電子入札システム構築について論文を掲載されています。
特集 電子入札・電子調達「徳島市における電子入札システム構築について (2.62 MB )」
こちらも是非ご覧ください。

【徳島市様概要】

徳島市お客様名 : 徳島市
徳島市役所 : 徳島県徳島市幸町
市長 : 原 秀樹
人口 : 266178人(2006年4月1日現在)
世帯数 : 109663世帯(2006年4月1日現在)
ホームページ : 徳島市ホームページOpen a new window

【本コンテンツについて】

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