[2005年8月26日 掲載]
導入事例キーワード | |
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業種: | 流通 |
ソリューション: | インターネットを活用した新発注システム |
製品: | GS21 200, Interstage for GS |
キグナス石油株式会社様(以下、キグナス石油様)は、石油および石油化学製品の輸出入・販売などを行う企業で、新しい時代の消費者ニーズに的確に対応した店づくりを推進し、「地域No.1」を目指したプロショップ(SS:サービスステーション)を全国に展開しています。 また、キグナス石油様では、「安全衛生、環境保全、災害対策は全て企業活動の基本である」を基本方針として、環境保全のために「クリーンエネルギー」「省エネルギー」「省資源」を志向した今年(2005年)1月より製品開発・供給に努める中、環境問題への先進的な取り組みとして硫黄分を10ppm以下に低減したサルファーフリー燃料の供給を始めました。
今回は、富士通のInterstage for GSを導入して、 短期構築を可能にしたオンラインリアルタイム受発注システム「KINDシステム(Kygnus Intelligent Network Delivery System)」の導入事例をご紹介します。
倉持 信哉氏
経理部システムグループ 課長
1987年(昭和62年)から、富士通のメインフレームを導入し、基幹業務をシステム化することにより徐々に業務の効率化を図ってきました。
1994年(平成6年)、それまでFaxに頼っていた受注業務の効率化を目指し、パソコンによる発注システムの開発に着手しました。当時はパソコン通信が全盛でしたので、Niftyを使って全国の特約店やSSから受注するシステム「発注くん」を構築しました。基幹業務はすべてメインフレームで構築されていますので、パソコン通信でメインフレームに接続する必要がありました。そのために富士通のFENICSオンラインリアル中継サービスを利用したのが大きな特長です。
従来システム(発注くん)は優れた機能を持っていたのですが特約店へ貸与しているPCの管理が大変であることや、今後のビジネス面の発展性への懸念がありました。そこで、構築5年を経過したところで、作り替えを決意しました。
現システムの問題を一気に解決し、なおかつお客様にも種々のサービス提供できることを考え、Webのオーダーシステムの構築を是非行いたいと考えました。しかし、問題となったのはやはり当社の基幹業務がメインフレームで構成されているという点でした。メインフレームとWebが一体どうやって融合できるのか、それが最大の問題でした。従来システム「発注くん」はすでに発注結果をリアルタイムで返していましたので、その機能は落としたくない。しかし、それを行うためには発注内容をチェックする材料を抱えているメインフレームと、Webシステムがリアルタイムで会話する必要があります。また、前回構築したメインフレーム上のオンラインプログラム資産は極力有効利用したい。 これらの要件を解決するのが、AIM会話でのWeb化を実現できるInterstage for GSでした。
オーダーに対し、債権額・出荷予定数量の上限枠のチェック、引当状況、さらには引き取り車両が出荷基地における安全荷積み指導を受けた車両であるかどうかなど、さまざまな組み合わせのチェックを瞬時に行い、その場で結果を返します。
インターネットに接続可能なブラウザがあればよく、さらに携帯電話(iモード)からも KINDシステムを利用でき利便性に優れています。
各特約店やSSからKINDシステムを利用するときにはユーザIDとパスワード入力によるユーザ識別のためのセキュリティを導入。もちろんSSL対応です。さらに、管理の効率化とセキュリティアップのため、2種類のIDを設定しました。
管理者ID
全ての申請や参照機能の利用が可能であり、キグナス石油で管理。
一般ID
利用範囲は制限あり。特約店で管理。(IDの設定や利用範囲については管理者IDで自由にカスタマイズ可能)
オーダー内容はもちろんのこと、過去にどんな商品をどれだけ購入したのかについても実績データとして年月指定によるPDFもしくはCSV形式で受け取れます。
キグナス石油側のメリット
10日ごとに送付していた出荷案内書の帳票出力から郵送までの作業と出力用紙、郵送費の削減を実現。
特約店/SS側のメリット
オーダー履歴等が容易に確認でき、仕入データとして利用可能。
実績あるホスト上の既存資産をそのまま利用。
物流システムと連携して、KINDシステムからお客様に、いつ、何が、入荷されるかを自動にメール送信します(携帯電話にも対応)。この入荷情報の確認により現場での入荷立会いがスムーズにできます。また、勤務者が入れ替わるSSなどの場合、入荷情報が共有化でき非常に便利です。
文章マニュアルとは別に、KINDシステムの運用マニュアルをVTRで作成し、各拠点に配付しました。配付したVTRは数分の内容なので、容易にシステムの概要が理解できると好評でした。
KINDシステムへの一日のアクセス数は480件、オーダー数は260件、そのうちピーク時(10時と14時)には半数近い120件と、日々KINDシステムを利用していただいています。お客様にとっての一番のメリットは、オーダーミスがないということ。これは従来システムから実現できていましたが、オーダーに対して即時応答するため、その場でオーダー結果が確認できます。このため、あとで結果を確認してみたらエラーでオーダーが間に合わなかった、という事態にはなりません。
またKINDシステムではインターネットを利用しているため、いつでも、どこからでもスピーディーにオーダーできます。このため自宅のPCや、携帯電話からもオーダーしたり、実績確認をしているお客様もいらっしゃいます。また、オーダー履歴参照機能により新規オーダー、変更、取り消しなどの複雑な操作をしたあともその操作履歴が確認ができることで、お客様から、安心・確実であると好評です。キグナス石油からみてもお客様と同じで、オーダーの間違いがなくなったことと、人による確認作業が軽減したことで、作業効率が向上しました。Interstage for GSの持つ高信頼の賜物と言えるでしょう。
お客様へのサービスとして請求書のPDF出力を現在開発しています。
請求書発行の早期化要望に対して、システム的に経理処理を早めるのは難しいですが、郵送にかかる時間を短縮することは帳票電子化で容易にできます。さらに当社では、電子帳票化について国税庁の認可をいただきましたので、富士通のミドルウェア(Interstage Listworks)を使用して会計帳票を電子文書のまま保存できるようになりました。保存帳票としての場所をとりません。
最近では優れたPCソフトが多く出回り、当社でもメインフレームが出力する帳票はすでに資料作りのための資料に成り下がっています。しかし、何もすべてをオープン化しなくても、メインフレームとオープン系サーバを結んでくれる良いミドルウェアを使えば、オープン化の効果を享受することができます。原始データの発生場所を入口と考えると出口は分析資料の出力ということになりますが、出口と入口だけをオープン化すればユーザーの利便性は全体をオープン化したのとさほど変わらないはずです。当社の場合、データの入り口であるオーダーがKINDシステムによりオープン化されましたので、今後は出口の部分でメインフレームとオープン系サーバの連携をとり、言わば「疑似オープン化」を図っていきたいと考えています。メインフレームとオープン系サーバ間との通信となると、当然Interstage for GSを使うことになります。それがKINDシステムの技術を活かして更に発展させていくことになるんです。こんなことを思いつくのもKINDシステムで新技術を使う冒険をし、その成功から多少の自信ができたからです。
次を読むことは変化のスピードが速いコンピュータの分野では難しいことですが、現段階では今後もメインフレームを活用して今まで開発してきた資産を活かそうと考えています。どんどん変ってしまうサーバと違い、メインフレームのアーキテクチャーはほとんど変らないからです。システムの中核をメインフレームで固めておけば連携するサーバや連携ミドルウェアが変っても大きな投資ではなく、結果的に安上がりだと思っています。今回のシステム構築では、サーバの柔軟性とメインフレームの信頼性の両方を手に入れたと非常に満足しています。
今回の取材では、キグナス石油経理部情報システムグループ課長 倉持氏から石油業界の四方山話も含めて多くのお話を聞かせていただきました。その中にはシステムの将来構想などもあり(公開できないのが残念です)、とても有意義な時間を過ごせたことを感謝しています。
倉持氏が語る将来構想の中核にはホストの存在が欠かせないとのことですので、これからも倉持様や、多くのお客様のご期待に応えられるよう、製品開発を行っていきたいと思っています。
なお、キグナス石油様のイメージデータについては、キグナス石油様よりデータを提供していただき掲載しています。許可なく複製、転用、販売などの二次利用をすることを禁じます。