FIA世界耐久選手権(WEC)2023シーズン最終戦「バーレーン8時間レース」が、いよいよ11月2~4日に開催されます。前戦の「富士6時間レース」では、富士通が協賛するTOYOTA GAZOO Racingの7号車 GR010 HYBIRD(マイク・コンウェイ選手/小林可夢偉選手/ホセ・マリア・ロペス選手)が優勝。そして2位は同8号車(セバスチャン・ブエミ選手/ブレンドン・ハートレー選手/平川亮選手)で見事1-2フィニッシュを獲得。これにより、TOYOTA GAZOO Racing は5シーズン連続、通算6度目のマニュファクチャラーズチャンピオンを、最終戦を待たずして確定させました。
さて、沸きに沸いた富士6時間レース。このレース直前の9月4日に富士通は、小林可夢偉チーム代表兼ドライバーをはじめとするドライバー6名と中嶋一貴副会長を汐留本社にお招きし、社員との交流イベントを開催しました。そこで実施した質問コーナーでは、富士通の技術力に期待する思いや、富士で輝かしい結果をもたらしたTOYOTA GAZOO Racingのチームワークの良さを垣間見ることができました。今回はそこでの対話を一部ですがご紹介します。
富士通のテクノロジーが、レースとクルマを変革する可能性
Q: 岩佐(富士通社員)
私はAIやAI映像解析の開発者です。今年のスパ・フランコルシャン6時間レースから導入された映像データ分析プログラムの開発に携わりました。富士通のテクノロジーで、もし何か他にもTOYOTA GAZOO Racingに貢献できるようなことがあれば教えてください。
A: 小林可夢偉(チーム代表兼7号車ドライバー)
ありがとうございます。ドライバーがたとえば何キロでカーブを曲がり、どんなふうに良いタイムを出せているのか知見が分かるとよいと思います。勿論既に僕たちもある程度は分析していますが、AI技術を使ってすべての分析結果をリアルタイムに自動で出していただけたら、レース戦略上非常に有益ですし、現場での分析の効率化にもなると思います。
そして、レースで培ったその技術を市販車にも活用できれば、街での、もっと安全で楽しい運転にもつながると思っています。テクノロジーにはぜひ期待したいです。

危機の到来が、チームの絆を一層強くした
Q: 松永(富士通社員)
チームワークを高めるために、チームで取り組んでいることがあれば教えていただけますか。「ル・マンで負けたことが、今まで以上にチーム一丸となって力を発揮させる原動力にもなった」とフジトラニュースの記事で読み、とても印象に残っています。

A: 小林可夢偉(チーム代表兼7号車ドライバー)
レース前から非常に厳しいコンディションを強いられ、これはやばいんじゃないかという危機感によって、皆ひとりひとりが本当に勝ちたいと思う気持ちを持てたことだと思います。そこでできた関係、絆、そして自分たちがなぜここにいるのかというパッションに近い共通の気持ち、仕事ではなく、本当に勝ちたいという思いを持つことができました。皆それまでは、レース戦略について議論はしていたものの、本音のところまでいけていなかった。危機を迎えたことによって真にお互いをリスペクトしあえるようになり、互いの妥協策を見つけられる関係になれたんじゃないかと思います。負けたときに、誰かのせいにするんじゃなく、みんな一生懸命やってそれでもだめだった。その原因は人ではなく、なぜそうなったのか全体を見て考える。これは、成功する上で非常に重要なことだと思います。
積み重ねてきたトレーニングが自信につながる
会場では他にも多くの質問が飛び交いました。たとえば平川亮選手のストレス解消法についての質問には、「自分でトレーニングを重ね、しっかり準備していれば、レースでストレスを感じることはない」とご回答いただきました。また、ブレンドン・ハートレー選手へのレース中の集中力維持法についての質問には、「気負いすぎないよう、いつものルーティンをこなし自然体でいること。けれどもそこに到達するためにはトレニーニングや練習を重ね、こなすこと」とご回答いただきました。どちらも勝利に向けて努力し続ける一流アスリートならではのコメントで、会場中がリスペクトに溢れました。モータースポーツは人とクルマを鍛える“実験場”であり、モータースポーツを起点に未来を切り拓く変革と挑戦を続けておられるTOYOTA GAZOO Racingチームの強さの秘訣が垣間見えたイベントとなりました。
今シーズンの最終戦「バーレーン8時間レース」では、いよいよドライバーズチャンピオンが確定します。果たして誰の手にわたるのでしょうか。富士通はこれからもTOYOTA GAZOO Racingを応援しています。
※富士通は2022年より、WECへ参戦するTOYOTA GAZOO Racingへ協賛し、カーボンニュートラルをはじめとするサステナビリティの領域やデータドリブン領域等における協業を推進しています。
