小林可夢偉、WEC富士6時間レース直前インタビュー

小林可夢偉さんとTGRメンバー

FIA世界耐久選手権(WEC)2023第6戦「富士6時間レース」が、いよいよ9月8日~10日に富士スピードウェイで開催されます。富士通は、モータースポーツでサステナブルな未来を切り拓くための変革と挑戦をし続けるトヨタ自動車株式会社(以下、トヨタ自動車)の姿勢に強く共感し、今年もTOYOTA GAZOO Racing(TGR)と共に戦います。
第5戦のモンツァ6時間レースでは、TOYOTA GAZOO Racingの小林可夢偉選手、マイク・コンウェイ選手、ホセ・マリア・ロペス選手のGR010 HYBRID 7号車が激しいバトルの末、見事にポール・トゥ・ウィンを獲得。前戦のル・マン24時間レースでの雪辱を見事に果たしました。セバスチャン・ブエミ選手、ブレンドン・ハートレー選手、平川亮選手のGR010 HYBRID 8号車は序盤のペナルティにより惜しくも6位に終わりましたが、ドライバーズランキング首位の座を堂々キープ。TOYOTA GAZOO Racingは現在、ドライバー、チームともに首位を占めています。
そのような中、満を持しての母国ホームレースである富士にて第6戦が開催されます。チーム代表であり、7号車ドライバーでもある小林可夢偉選手はいま、どのような思いで立ち向かおうとしているのでしょうか。フジトラニュースがインタビューしました。

目次
  1. 日本代表としての気概で戦ってきた!これまでを振り返って
  2. モータースポーツの先にある未来
  3. 富士6時間レースに挑む!読者へのメッセージ

日本代表としての気概で戦ってきた!これまでを振り返って

――今シーズンも9月の富士、11月のバーレーン最終戦と、早くも残すところ2戦となりました。現在TOYOTA GAZOO Racingはランキングの首位を占めています。チームの代表としてこれまでを振返って、いかがでしたか。

ここまでの戦いぶりとしては、ル・マン24時間レース(以下、ル・マン)では悔しいレースになってしまったものの、それ以外のレースではTGRらしさを出せたと思いますし、いい結果も得られているのでポジティブに受け止めています。チームで戦うという意味でも、ル・マンで負けたことが、今まで以上に一丸となってチーム力を発揮させる原動力にもなりました。そして、パートナーの皆さんをはじめ、多くの方が僕らのファンでいてくださることも、僕らにとって大きな力になり、フェラーリのホームレースであるモンツァで勝つことができました。残り2戦、チームでしっかり戦って、チャンピオンシップを取りに行きたいと思っています。

TOYOTA GAZOO Racing チーム代表兼GR010 HYBRID 7号車ドライバー 小林 可夢偉 選手 TOYOTA GAZOO Racing チーム代表兼GR010 HYBRID 7号車ドライバー
小林 可夢偉 選手

――ル・マンは直前に突然のBOP(性能調整)が強いられ、また7号車に不運なアクシデントもあって惜しくも6連覇とはなりませんでした。しかしチームで最後まで諦めずに戦い、2位フィニッシュを勝ち取った姿勢に1ファンとして強く感動しました。GR010 HYBRIDには桜もデザインされ、特別な思いがあったのだと思います。今年のル・マン24時間レースを経て改めて感じたこと、学ばれたことなどありましたら教えてください。

やっぱりモータースポーツは、“スポーツ”なんだなということを改めて感じさせてもらいました。僕たちは、BOPという性能調整がある中でも、フェアにレースをやり抜くこと、そのメンタリティでチーム一丸となって挑んだ結果、かなり厳しい状況の中でも、多少なりともドラマを作れたのかなと思います。結果こそ2位でしたが、レース後に 「よく戦ってくれたね」と ファンやパートナーの皆さんにたくさん声をかけていただいて、その言葉があるだけで、僕らの戦いは報われたんじゃないかなと思います。どんな状況でも、一生懸命、チーム一丸となって戦うことができたこと、それでいて多くの方にもバックアップいただいて、本当の意味でチーム一丸となって戦えたことは、世界中のTGRファンの皆さんにもポジティブな印象を与えられたのではないかと思います。

――翌戦のモンツァ6時間レースでは見事にポール・トゥ・ウィンを獲得し、ル・マンでのリベンジを果たしました。チームとして長年勝ち進んでいくには、並大抵の努力では不可能だと思います。特に今年は、多くのライバル勢も新たに参戦しています。あらためてお聞きしますが、チームとして、勝ち進めるために大切なことを1つだけ上げるとしたら、何が必要と思われますか。

ひとつだけ上げるならば、メンバーひとりひとりが、心の底から「このレースに勝ちたい!」という思いを持つことじゃないかなと思います。それぞれの努力があることは前提として、その努力を形に残すためには、僕らにはリザルトしかない。リザルトに残せてこそ、いい仕事ができたと思える瞬間になるので、一人一人が全力で戦ったと思える気持ちを持つことが非常に重要だと思います。

桜のイラストがデザインされたGR010 HYBRID 桜のイラストがデザインされたGR010 HYBRID

モータースポーツの先にある未来

――さて、ル・マンで2026年から水素エンジン車両の参戦が認められる予定であることがACO(フランス西部自動車クラブ)から公表されました。先日のル・マン24時間レース会場ではトヨタ自動車から、将来の参戦を見据えた水素エンジン車両のコンセプトカー「GR H2 Racing Concept」も発表されましたね。トヨタ自動車はモータースポーツを起点にしたもっといいクルマ作りと明るい未来について常に考えておられますが、チーム代表のお立場から、モータースポーツの先にある未来についてはどのようにお考えでしょうか。

モータースポーツの先にある未来の答えは一つではなくて、モータースポーツを通してモビリティがもっと安全になったり、楽しいものになったりすることも目指す未来です。それにモータースポーツは興行でもあります。そういった興行イベントで、技術を持つ企業がカーボンニュートラルに挑むという、別の側面のチャレンジもあるんじゃないかなと思っています。モータースポーツを通じたもっといいクルマづくりはもちろん、イベントとしても、しっかりとカーボンニュートラルを実現していく、チャレンジしていくその先に、モータースポーツのさらに明るい未来があるんじゃないかと思います。

――富士通も、モータースポーツの先にあるより良い社会の実現に向けて、テクノロジーで取り組み、TOYOTA GAZOO Racingと共に戦っていきたいと考えています。それだけではなく、ファンの方々がモータースポーツ自体をもっと楽しめるファンエンゲージメント等の向上にも寄与したいと思っているのですが、改めて当社に期待することがあればお聞かせください。

富士通さんには、さらに効率よく良いものを作るためのテクノロジー開発や、モータースポーツはこんなにも楽しいんだ!と思えるようなものをどんどん生み出していただきたいです。富士通テクノロジーとモータースポーツのコラボレーションは、多くの可能性を秘めていると思います。多くの方が便利だな、レースって楽しいなと実感できたり、いいクルマづくりにつなげたりと、今後も様々な形で未来を一緒に作っていけたらと思います。

――ありがとうございます。私たち富士通もTOYOTA GAZOO Racingの一員として、ぜひ共に楽しくより良い未来を作り上げていきたいと思います。

富士6時間レースに挑む!読者へのメッセージ

――さいごに、富士6時間レースに向けて、ファンの皆様にひとことお願いします。

富士スピードウェイでのWEC6時間レースは僕たちのホームレースです。僕らにとっては、とても大切なレースになります。今年はル・マンのレースからGR010 HYBRIDに桜を入れたように、日本代表として、ここ富士のホームレースで勝つということを、富士通さんと一緒にチャレンジしていきたいと思っています。そしてその先には、日本の産業はすごいんだ、日本のテクノロジーはすごいんだと、ファンの人たちも共感できるレースにしたいなと思います。

日本にこれだけの多くのマニュファクチャラーが来て、戦うレースはなかなかありません。そのレースで富士通の皆さんと一緒に優勝を目指すと同時に、日本のモータースポーツを盛上げ、日本のモータースポーツ文化、耐久レース文化をしっかりアピールしたいと思います。

また、サーキットではGR010 HYBRIDや他のハイパーカーなど、たくさんのクルマが走る姿を見るだけでも非日常感を楽しんでいただけると思います。イベント広場でも歴代車両の展示や様々なコンテンツも展開されますし、キャンプも夜通しできて、BBQしながらの観戦もいいと思いますよ!富士通の皆さんにも、ぜひ一度、現地で、純粋にレースの雰囲気を楽しんでみてほしいです。レースにもぜひ注目いただいて、僕らTOYOTA GAZOO Racingの応援をよろしくお願いします!

――富士6時間レースの直前に、本当にありがとうございました。当社も全力で応援します!

富士通では、モータースポーツをはじめとした新たな分野でのチャレンジを通じ、カーボンニュートラルなどのサステナブルな世界の実現をはじめ、社会が抱えている課題の解決に取り組んでまいります。

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