富士通は、神山まるごと高専の取り組みに賛同しており、スカラーシップパートナー(奨学金基金の拠出・寄附者)11社の1社となっています。「モノをつくる力で、コトを起こす人」の育成を目指す同高とのコラボレーション活動(コラボ活動)では、「ともにイノベーションを!」を合言葉に様々な活動を行っています。2024年初秋、このコラボレーションにおいて、富士通とともに活動している学生7名が富士通の経営陣を訪問しました。学生から飛び出した質問は、素朴なものからハッとするようなものまで多岐に渡り、充実した対話が行われました。本記事では、コラボ活動の発端でもある富士通の全社変革プロジェクトの現在地を含め、対話の様子をご紹介します。
神山まるごと高専と、富士通との関係性?
神山まるごと高専は「モノをつくる力で、コトを起こす人」を育成することを目指し、2023年4月に徳島県名西郡神山町に設立された高等専門学校です。富士通は神山まるごと高専のコンセプトやビジョンに賛同し、開校と同時に、奨学金基金に寄付や拠出をする11社のスカラーシップパートナーの1社となりました。

富士通は全社変革プロジェクトを2020年に始動し、製品やサービス、ビジネスモデルに加えて、業務プロセスや組織、企業文化・風土など、様々な変革を進めています。上図に示した通り、多くのプロジェクトが同時並行に走っており、この中の1つに位置づけられる神山まるごと高専との連携プロジェクトへは、現在数百名の富士通社員が参加しています。私たちは、学生たちとともに「ともにイノベーションを!」を合言葉に、現在、多様なコラボレーション活動(コラボ活動)を行っています。
2024年初秋、このコラボ活動の一環として神山まるごと高専の学生が富士通を訪問しました。次章からは、富士通 代表取締役社長の時田 隆仁と学生との対話の様子を、2つのトピック「富士通の全社変革プロジェクトの現在地」「富士通が変わり続ける2つの理由」という形で紹介します。
トピック1:富士通の全社変革プロジェクトの現在地
適度な緊張感とリラックスした雰囲気の中、時田と学生たちの対話は進みました。学生たちからの質問に時田が答える形で対話が進んだ後、話題は、権限委譲の難しさにまで及びました。その時、学生の1人が鋭い一言を発しました。
学生:福田さんに、CDXOを渡したのも権限移譲の一環ですか?
全社変革プロジェクトは、発足当初、その責任者であるCDXO(最高デジタル変革責任者)を社長である時田が兼務していました。この発足当時には、補佐にあたっていたCIO(最高情報責任者)の福田 譲が、現在ではこのCDXOとして全社変革を牽引する立場にあります。

時田:そうですね。最初にCEOとCDXOを私が兼務したのは、トップが変革に目を向けていることをしっかりと示すという理由に基づくものでした。徐々に社員一人ひとりが自分事として考えられるようになってきたので、福田に権限移譲しました。
権限移譲について「なかなかできない。2024年4月からは特に力を入れて取り組み始めた」と話す時田に、学生たちは他ではなかなか聞くことができないCEOならではの考えに真剣に聞き入っていました。
トピック2:富士通が変わり続ける2つの理由
対話の中には、なぜ富士通が全社変革プロジェクトなどを活発に行い、自ら変わり続けることができるのか、に関する話題もありました。
学生:社長という立場から見て、富士通はどのような会社だと思いますか?
時田:一貫して思うのは、富士通はすごく真面目な会社なんですよね。12万人の社員一人ひとりがそうであればこそなので、そこは非常に誇りに思っています。また、日本企業としては少し珍しいことかもしれないけども、挑戦心溢れる会社でもあります。
つづく質問では、時田自身の性格について尋ねられ、自分自身は挑戦し続けるというよりは、のんびり過ごしたい方だということを答えて、学生たちの笑いを引き出していました。
「なのに、何故(富士通の社長として)そんなに挑戦できるのですか?」という質問には、期待されているからですかね、と答え、また、厳しい責務を担うポジションだと率直に話す時田の社会からの期待に応えようとする姿勢に、学生たちは強く感銘を受けた様子でした。

また、富士通のパーパス「イノベーションによって社会に信頼をもたらし、世界をより持続可能にしていくこと」に関する話題では、富士通が大切にしていることの一つを時田は説明しました。
時田:持続可能というのは、絶えず変化すること。持続可能というのは、ある完成形があってそれがそのままの形で持続するということを言っているのではなくて、変化対応力と言うこともできる。
私は、世代が変われば価値観も変わると思っていて、その一人ひとりの価値観の集合体が社会の価値観であるため、世代が変われば社会の価値観も変わっていくと考えている。
その時に、私の時代の価値観や仕組みがずっと続いていたら、それは全く合わないし持続可能な状態ではないですよね。
富士通は創業当時、通信機器を製造する会社でした。そこから90年の間に多くの事業の変化を経て、2025年現在は「イノベーションによって社会に信頼をもたらし、世界をより持続可能にしていくこと」のできる企業となるべく、変革の只中にあります。
このように富士通が今も「変わり続ける」ことができる理由は、富士通が「挑戦心溢れる会社」であることに加え、変化し続けなければ持続可能ではないという信念がDNAとして根付いているからです。こういった信念の基、富士通が改革していく姿は学生らの心に強く残ったようです。
対話を終えて


インタビューは、数えてみると、計17個もの質問があり、素朴な質問から本記事で紹介したような社員でも中々聞くことができないような話題まで、多岐に渡るものでした。インタビューが終わった後も、窓からみえる眺望を一緒に楽しんだり、写真撮影大会を行ったり、学生らは緊張しすぎることもなく、自然体で今回の対話を楽しむことができたようです。
後日、学生へ今回の対話の感想を尋ねてみました。
「自分も周囲から信頼される、期待される存在になりたい」、「12万人以上の社員を抱える大企業の社長として24時間365日忙しい大変な人という印象を持っていたけど、楽しみながら人生を過ごしている様子が伝わってきた」、「社長という仕事に対して経済的な自由を得られるという漠然としたイメージを持っていたけど、常に会社について考える必要があるんだなぁと、より具体的なイメージに変わった」など、目標とする姿が得られたり、いずれ彼らが選ぶかもしれない、企業をリードする生き方の、より具体的なイメージへと繋げて考えられたり、良い経験になった様子でした。
ここまで、神山まるごと高専と富士通のコラボ活動の一環として行われた、学生たちの社長インタビューの様子をお届けしました。X(Twitter)やnoteでも、定期的にコラボ活動の様々な取り組みをご紹介しています。是非ご覧ください。
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