ともにイノベーションを!神山まるごと高専×富士通のコラボがスタート-後編-

神山まるごと高等専門学校(以下、神山まるごと高専)は、起業家精神を育み、「モノをつくる力で、コトを起こす人」を育成することを目指して2023年に創設された新しい高等専門学校です。富士通はこれに賛同し、奨学金基金を拠出するスカラーシップパートナー11社のうちの1社になりました。神山まるごと高専とのコラボレーションを通じて、富士通は何を目指しているのか、その想いを前後編で紹介します。
後編では、多様なコラボレーションの中から、富士通データサイエンス部の活動に関して、学生と社員の対談形式にてお届けします。

目次
  1. 富士通データサイエンス部の活動にて、生産性を40%上げるプロジェクトに参加
  2. 日々の授業で学ぶことと富士通とのコラボレーション活動で体験できることの違い
  3. 「なぜ」この仕事が必要なのか疑問と興味を持つことの大切さ
  4. 折り紙を社員に渡したら笑顔で生産性が上がるそんな楽しいアイデアがでてくるといい

富士通データサイエンス部の活動にて、生産性を40%上げるプロジェクトに参加

社会に価値をもたらすイノベーションを起こす為に、富士通では、データドリブンの考え方を大切にしています。勘や経験に基づくのではなく、実際の人々の声やデータに基づいて、人々や社会にとって価値のあるサービスを検討するためには、データ分析のスキルは欠くことが出来ません。富士通データサイエンス部は、自らのデータサイエンティストとしてのスキルを高めるべく、様々な部署の人間が集まっています。

富士通奨学生の宮野 柊太さんと山口 空さんも、データ分析スキルを高めるべく、この秋から富士通データサイエンス部での活動を開始しました。(※1

  • ※1:
    本活動は、学生も富士通社員として活動に参加できるよう、有償でのインターシップという形態をとっています。

後編では、宮野さん、山口さんの他、富士通データサイエンス部の佐藤、竹ノ内、中田、永井の4名を交えた対談の様子をお届けします。富士通データサイエンス部における具体的な活動内容、今後、お互いに期待することなどをお話して頂きました。

――富士通データサイエンス部での活動は9月4日から始まったばかりとのことですが、宮野さん、山口さんがどのようなプロジェクトに携わるのか、もう決まっているのですか。

富士通 中田:はい。社内の生産性を40%高めるには?という大きなチャレンジをしているプロジェクトがありまして。個々の従業員の生産性を40%上げるには何をすればいいのか、社内の業務に関する膨大なデータを分析しながら、日々、富士通データサイエンス部のメンバーが具体策の立案に取り組んでいます。そこに、宮野さん、山口さんのお二人も参画してもらいたいと考えています。

宮野さん:生産性40%アップということですが、なぜ40%なのですか。

富士通 竹ノ内:生産性を40%も上げるというのはとても高い目標だと思います。これは従来の延長戦上で考えるのではなく、40%上げるために、新しい発想と行動をどんどんしてほしいという経営からのメッセージが込められていると思います。この目標を掲げることで、「会議時間は長くないか」、「各種申請の手順に無駄はないか」というように、社内のありとあらゆる業務、作業、活動を見直し、データをもとに分析していこうとしています。

富士通 中田:確かに40%とは、聞くだけでも簡単に達成できるのかと疑問を覚える数字です。「ひとつの目標」とはいえ、もちろん達成を目指しますので、そのためには突飛な発想がないと難しいと考えています。お二人にはさまざまな発想、アイデアを出して、持ち前の行動力でどんどん試していただきたい。

宮野さん:2年以内に達成するとか、期限は決められているのでしょうか。

富士通 竹ノ内:マイルストーン型の数字というよりもストレッチ目標型の数字と捉えていて、「結果、できませんでした」という話にはならないと思います。このプロジェクトで大切なことは、「こうしたら、こう生産性が上がるだろう」と仮説を立て検証し、その過程で新たに課題が見つかったら、また仮説を立てて改善策を立案して検証するというサイクルを回すこと。その取り組みをお二人には肌で感じていただきたいと思っています。

このプロジェクトは役員直轄のプロジェクトなので、成果報告をする相手も富士通の経営層レベルになります。起業家を目指しているお二人には、さまざまな経歴を持つ富士通の経営層とのやりとりは、きっとワクワクするものになると思います。成果報告会に参加できたなら、ぜひ積極的に発言してもらいたいですね。

日々の授業で学ぶことと富士通とのコラボレーション活動で体験できることの違い

――ハードルの高いプロジェクトへの参加となりましたね。富士通とのコラボレーション活動は、富士通データサイエンス部での活動だけでなく、多岐に渡ると伺っています。ハードワークですが、どんなスケジュールで取り組むのですか。

山口さん:毎日の授業はだいたい午後3時頃までです。それ以外の時間は自主的な活動の時間ですが、コラボレーション活動向けに、火曜日と金曜日に2時間ずつ、オンラインでの定例ミーティングを設けています。複数のプロジェクトが同時並行に走っているので、例えば最初の30分は社内イベント登壇に関する打合せをして、次の30分は富士通データサイエンス部での活動に関する打合せをして、という形でプロジェクトごとに色んな富士通社員の方々とディスカッションを行っています。

宮野さん:日々の授業で学ぶことと、企業とのコラボレーション活動で学べることには、やはり違いがあるなと感じています。授業は自分から話すというより先生の講義を聞くことのほうが多いのですが、富士通の皆さんとのミーティングでは聞いているだけではなく質問したり、意見を交わしたり、自分から話すことが多くあり、より考えを深められます。授業は一方通行ですが富士通とのミーティングは双方向でリレー式だと感じています。

――お二人とも、富士通データサイエンス部に参加して、こんなスキルを身につけたいなど希望していることはありますか。

宮野さん:分析力を身につけたいです。その他に期待している点として「会社で働く経験」になると考えています。将来、起業を考えていることは先にお話ししましたが、起業するより前に「会社で働く経験」がしたいと考えていました。

山口さん:自分も分析力がまず一番ですね。プログラミング力も上げたいです。分析できても物が作れないといけないですから。あとは、コミュニケーション力を上げたいです。起業に成功した人たちと話しをしていると、話がぽんぽん出てくるのです。

富士通 佐藤:お二人とも、すでに「自分はこうなりたい」、だから「こういうスキルを身につけたい」と明確にできているのが素晴らしいですね。将来のことを見据えて、そこから逆算するようにしてこの活動で何を学び身につけるべきか常に自分で考えているように感じました。

「なぜ」この仕事が必要なのか疑問と興味を持つことの大切さ

――富士通側から、今回の富士通データサイエンス部での活動を通じて「こんなことを身につけて欲しい」といったアドバイスはありますか。

富士通 佐藤:徹底的な仮説思考、顧客思考ですね。お客様にとって望ましい姿を考え、その実現に向けてモノづくりをしていく、その視点を学んでいただきたいです。常にお客様が利用する姿を想像しながら、お客様にとって何が付加価値になるのかを考えてサービスやシステムをデザインし、具体的な実装を設計するプロセスを体得してほしいです。

富士通 永井:「疑問に思う」、「興味を持つ」ことに意識を向けていただきたいと思います。富士通データサイエンス部のメンバーから「この作業をお願いします」と言われて、「はい、わかりました」といった関係ではなく、先ほどの「なぜ40%なのですか」の質問のように、「なぜこの仕事があるのだろう」とか「なぜ生産性を上げたいのだろう」と、疑問を持ちながら仕事をして欲しいですね。探究心を持ちながら取り組んでもらえると、より深い学びと経験を得られると思います。

宮野さん:ありがとうございます。もし自分が起業したら自由な勤務体制を実現して、働けてよかったと思われる会社にしたいと思っています。そのためには、生産性40%向上のように無駄を削がなくてはいけないと思います。そのベースとなるのはデータに基づいた分析だと考えています。自分が目指すことを実現するのに、必要なデータを分析して、仮説を立てて検証していくという方法論は、いつでも役に立つものだと感じました。

議論が盛り上がったオンラインミーティングでの宮野さん(右下)・山口さん(真中右)と富士通社員 議論が盛り上がったオンラインミーティングでの宮野さん(右下)・山口さん(真中右)と富士通社員

山口さん:富士通データサイエンス部での活動を通じて身につけた力は、今後起業に向けてサービスを検討していく時にも活かせると思います。私は地域課題という面からサービスを検討することが多いのですが、お話を伺いながら、例えばどのような改善を行えば交通事故を無くすことができるか、仮説思考で考えてみるのも良いなと思いました。

折り紙を社員に渡したら笑顔で生産性が上がるそんな楽しいアイデアがでてくるといい

――これから本格的に富士通データサイエンス部の活動が始まります。富士通データサイエンス部の皆さんが今後、二人に期待していることを聞かせてください。

富士通 佐藤:一緒に仕事をしていくと、人と人が繋がってスピードや機動力や突破力を発揮する瞬間が必ずあると思います。そのタイミングを逃さずに、その瞬間を体感してもらいたいです。

富士通 竹ノ内:私たちもお二人から良い刺激をもらいたいと期待しています。ぜひ十代の私たちにはない視点で富士通を見つめて欲しいです。「富士通をひと刺しする」意見が出てきたら面白いですね。

富士通 中田:お二人とって、今後、人や社会へ価値をもたらすサービスを考える上で必要となる、データを分析する力を実践的に学んでもらえる良い機会です。私たちにとっても、皆さんの柔軟な思考を取り入れられるチャンスと考えています。楽しみながら良い成果が出るように取り組んでいきましょう。

富士通 永井:私たち社会人の2時間と高専1年生の16歳のお二人の2時間は価値が違います。お二人にとってすごく大切な時間をいただいていると思っています。「折り紙を社員に一日一個渡したら笑顔が増えて生産性が1%上がります」など、そういう楽しい発想の意見をどんどん出してください。とにかく楽しみながら一緒にやっていきましょう。

ここまで、神山まるごと高専と富士通のコラボレーションとして、富士通データサイエンス部の活動に関してお届けしました。今回登場していない富士通奨学生のお2人、名和 真結美さんと付 媛媛さんは、Mobility本部と連携して地域の交通問題解決に取り組んでおり、神山町のご協力で、既存の地域交通のトリップデータから移動需要の実態の分析から始めています。今後デザイン思考のプロセスを取り入れ、住民ヒアリングなどを通じ、課題の発掘・持続可能な地域交通モデルの施策を検討していくとのこと。続報にぜひご期待ください。

ページの先頭へ