富士通が共生社会の実現に向けた活動の一環として取り組む『発達障がい児童のためのセンサリールーム観戦の取り組み』が、この度「一般財団法人 国際ユニヴァーサルデザイン協議会(以後、IAUD)国際デザイン賞2023」金賞を受賞しました。本取り組みは2019年に初めて実施して以来、富士通フロンティアーズ、富士通レッドウェーブ、川崎フロンターレと連携しながら進めており、6年目の活動となりました。
チームを通してどのようにして共生社会の実現に関わろうとしているのか、その取り組みについてご紹介します。
感覚過敏という特性ゆえのスポーツ観戦での困りごと
発達障がいの子どもたちはどのくらいの割合でいるかご存じでしょうか。(※1)通常学級に在籍する小中学生の8.8%に発達障がいの可能性があるという統計が、文部科学省(※2)から報告されています。ただ、発達障がいは見た目では分かりにくく、子どもにとっては特性ゆえの行動であっても「単なるわがまま」「親の躾がなっていない」などと捉えられてしまうことがあります。
また発達障がいの方の中には、光や大音量を苦手とする「感覚過敏」という特性のある方が少なくありません。子どもにとっての大音量やまぶしい光、人混みといった辛さゆえ、保護者はスポーツ観戦や外出自体を諦めてしまうケースもあります。そういった特性のある子どもたちにスポーツ観戦を体験させてあげたいとの思いから始まったのが、『発達障がい児童のためのセンサリールーム観戦の取り組み』です。
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センサリールームってどんな部屋?
富士通では、「観戦に行きたいのに環境が整わない状況」を課題として捉えました。これらの課題を解決するとともに発達障がいの理解を促し、誰もがスポーツを楽しめる社会を実現する第一歩として、「センサリールーム観戦」を企画しました。
センサリールームとは感覚過敏の特性に配慮し、明るすぎず、騒音を遮断した、安心してスポーツ観戦を行うための特別な部屋のことをいいます。
2019年、オリンピック・パラリンピックを契機として、富士通主導のもと、日本で初めてスポーツ観戦におけるセンサリールームを設置し、Jリーグ(川崎フロンターレ)のサッカー観戦イベントを実施しました。またそれに続き、アメフト界、女子バスケット界でも、国内初のセンサリールームを実施してきました。富士通スポーツでは、オリンピックのレガシーとしてセンサリールーム観戦を実施し継続しています。
初めての経験! 参加したご家族の喜び
このような取り組みが認められ、この度「IAUD国際デザイン賞2023」金賞を受賞しました。
センサリールームに参加された保護者からは、「子ども2人連れでは一生無理なことだと諦めていた。生でのスポーツ観戦を体験できたことは子どもたちにとって大きな成長につながったと思う」「感覚過敏の特性を抱えた子を連れてのスポーツ観戦参加はためらってしまうので、貴重な経験ができ本当に感謝しかありません。こうした活動が増えることを望みます」といったお声をいただきました。
子どもたちからは「きょうはかってうれしかった。またきたい♡」「楽しかった。また来るね」といった声もいただいています。自閉症で普段自分から声をかけることなどほとんどないお子様が、選手に自らサインを求める姿を目にし、涙ぐむ保護者もいらっしゃいました。スポーツと共生社会の親和性を感じるエピソードといえるでしょう。
スポーツの力で、社会課題にどう向き合うか
センサリールーム観戦の取り組みは、発達障がいの方とその家族が外出をためらうという社会課題の解決に向け、まだ小さな一歩ではありますが少しずつ効果が見えてきており、スポーツ界で注目されつつあります。
富士通は日本の企業スポーツの先駆けとして、発達障がい児童に「安心して試合観戦できる環境=センサリールーム」を提供し、企業チームのリソースを活用しながら、スポーツを通じた共生社会の実現、社会貢献を目指す活動のモデルケースとして継続実施してきました。今では富士通の企業チームのみに留まらず、Bリーグ(プロバスケットボールリーグ)やWリーグ(バスケットボール女子日本リーグ)までも巻き込み、その活動は広がりを見せています。
Fujitsu Sportsは、今後もさまざまな社会課題に対して貢献できることを常に模索し、行動に移していきます。