反応がない会議をなくしたい。富士通が生んだ”ゆるれす”とは

テレワークの普及が拡大し、オンライン会議を行う頻度が増えた今、以前のようにスムーズにコミュニケーションをとることが難しくなったと感じる方は多いのではないでしょうか。組織には新しい働き方に対応した、新たな行動様式が急務となっています。
このような状況下、富士通では、オンライン会議の参加者が気軽に意思表示でき、発表者と双方向のコミュニケーションが可能になるツール「ゆるれす」を用いることで、社員間でのより活発なコミュニケーションを行う文化を醸成しています。

目次
  1. コミュニケーションにおける現場の課題とその影響
  2. コミュニケーション課題を解決する”ゆるれす”とは?
  3. ゆるれすの広がりで見えてきた求められる会議の形
  4. ゆるれすで、一人では想像できなかった未来を創る

コミュニケーションにおける現場の課題とその影響

社内コミュニケーションに関するアンケート調査によると、「自社において社内のコミュニケーションに課題がある」と感じている企業は実に8割以上という結果が出ています。(※1
特に、テレワークが浸透した現在、増加しているオンライン会議において、発表者は何か発言をしても参加者の反応がわからない、逆に参加者は対面では相槌を打てた場面でも、オンラインではそれが難しく意思表示がしづらいなど、オンライン会議にストレスを感じる方は少なくありません。
このままでは働く人のwell-beingの低下につながるだけでなく、活発な意見交換が行われないことで、新たな発想が生まれづらくなる恐れもあります。
コロナ禍の終息に伴い、少しずつオフィス利用が戻り始めてはいますが、今後もテレワークとオフィス利用の併用が続く可能性は高く、テレワークにおけるコミュニケーション不足の解消は、引き続き大きな組織課題として残るものと見えます。

コミュニケーション課題を解決する”ゆるれす”とは?

富士通では2020年より、従業員が業務に最も適した場所を自由に選択できるようにするとともに、オフィスの規模を50%程度に縮小するなど、テレワークを急加速させました。前章で触れたようなテレワークにおけるコミュニケーション問題は富士通も例外ではなく、1on1と呼ばれる上司・部下間の1対1での会話の推進や、オフィスに出社した際に同僚と出会いやすくするためのaerukamoと呼ばれるサービスを有志で開始するなど、コミュニケーション活性化のための様々な施策を実施しています。

そのような状況の中、2022年からは社内で開発した「ゆるれす」というツールが利用され始めました。
このツールは、オンライン会議で”参加者の様子が見えない発表者の不安”を解決するために作られたツールです。参加者がツール上でスタンプやコメントを入力すると、発表者の画面上にその内容が流れてくるという機能を持っています。
従来の、オンライン会議ツールに付随するリアクション機能とは違い、発表者はリアクションを確実に受け取ることができ、参加者がより積極的に反応を送ってくれる好循環が生まれます。その結果、コミュニケーションのさらなる活性化が期待されるのです。

ゆるれすを用いたオンライン会議例
(画面右から左に参加者が送ったリアクションやコメントが流れる仕組み)

ゆるれすの広がりで見えてきた、求められる会議の形

ゆるれすは社員の有志の活動で作られたツールで、当初は仲間内のみで使われていましたが、社内の大規模なイベントで利用されると、オンライン会議で参加者の反応が見えない悩みを持ったイベント参加者から利用依頼が殺到し、一気に利用が広まりました。

ゆるれす利用申請者数の推移(社内) ゆるれす利用申請者数の推移(社内)

利用者からは、「参加者のリアクションが見れて、話しやすくなった」「リアルタイムにコミュニケーションが取れるので、会議が盛り上がってアイデアが出やすくなった」という声が寄せられており、オンライン会議の質の向上につながっています。現在では、オンライン会議に留まらず、組織の方針説明会や富士通全社のDXイベントなどにまで広く利用が進んでいます。

しかし、ここまで利用者が増えるまでにはハードルもありました。ゆるれすは匿名でリアルタイムに意見を伝えられるサービスであることから、当初は批判的な意見や場にそぐわない投稿などが送られるのではないかなどという懸念の声があったのです。
ところが、実際に利用が開始されると、不適切なコメントが流れることはほとんどありません。また、発表者に配慮したタイミング(発表が終わったタイミングで拍手スタンプなど)での投稿が多く、会議の参加者同士が協力して場の空気を作り出すことができています。ゆるれすを使用した会議にオブザーバーとして参加した社員が、次は発表者として利用するというサイクルで、現在も徐々に利用数は増加しています。

ゆるれすで、一人では想像できなかった未来を創る

“何かを伝えようとする人の不安をなくしたい”という思いから生まれたゆるれすですが、現在は”誰もが思ったことを伝えたくなる場を作りたい“という次のステップへ進もうとしています。

時には人と人との楽しいコミュニケーションから、一人では想像できないようなアイデアが創造されることは多くあります。まずは会議の参加者全員が、皆で意見を発信しやすい空気を作るという当事者意識を持つことが何より大切です。ゆるれすがオンライン会議におけるコミュニケーション活性化に向けた大きな手助けとなり、新しい未来を創りだす一助になることを願っています。

ゆるれす開発メンバー 左から、グローバルカスタマーサクセスBG トヨタユニット 山田 貴之、下世古 侑大、品川 勇太 ゆるれす開発メンバー
左から、グローバルカスタマーサクセスBG トヨタユニット 山田 貴之、下世古 侑大、品川 勇太
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