【変革のキーテクノロジー】5Gネットワークソリューションでビジネスを変革

この不確実な時代、持続可能な社会に向けて、企業はどのように変革を起こすべきでしょうか。ビジネス変革を成功に導く5つのテクノロジーについてご紹介する連載企画。前回のコンピューティングの紹介に続き、3回目の今回は、ネットワークに焦点をあてご紹介します。

超高速ネットワークへの要求が高まるなか、企業の施設や工場、倉庫、病院などはプライベート5Gネットワークの導入が増えています。これまでの4Gに代わるネットワークとして5Gテクノロジーがもつ潜在的な通信効果が近年注目されています。富士通は、4Gよりもエネルギー効率に優れ、パフォーマンスとネットワーク品質の向上を可能にする、サステナブルな5Gネットワークソリューションの提供に注力しています。企業のビジネス革新に向けて、世界規模の複雑なネットワーク環境の変革をリードするJohan Axenに話を聞きました。

目次
  1. 5Gテクノロジーが持つ潜在力とは
  2. 5Gの先にある未来のネットワークへ投資
  3. 富士通と築くサステナブルなネットワーク

5Gテクノロジーが持つ潜在力とは

超高速ネットワークへの要求が高まるなか、企業の施設や工場、倉庫、病院などで導入が急増しているプライベート5Gネットワークは、新たな問題、つまりエネルギー消費の増大の原因になりかねないということをご存知でしょうか。

現在3Gおよび4Gを使用する通信事業者が、価値あるカスタマーサービスを提供するために信号強度を高めようとすると、結局は消費電力を増やすことになるのが実情です。その結果、年間のエネルギー消費量が高まり、CO2の排出量も増大します。エネルギー消費とCO2排出量の削減が求められるこの時代とは逆の動きになってしまいます。

その点、5Gテクノロジーのエネルギー効率は、項目別に見れば潜在的に4Gより優れています。しかし、5Gは、4G/LTEよりも周波数が高く、信号伝搬が短い特徴があり、通信効果を活かすには電波が届きにくい場所をカバーするために、スモールセルの設置場所を増やすことが必要となります。そのため、5Gネットワーク構築に必要なインフラが浸透するにしたがい、優位であったエネルギー効果が失われてしまう可能性があるのです。

富士通は、エネルギー効率に優れ、パフォーマンスとネットワーク品質の向上を可能にする、サステナブルな5Gネットワークソリューションの提供に注力しています。高パフォーマンスの実現とエネルギー消費の抑制を同時に実現する新しい5G vRAN技術の開発に成功しました。これにより、従来のvRANテクノロジーと比較してシステム全体のCO2排出量が50%以上削減されます。

5Gの先にある未来のネットワークへの投資

2030年に実現見込みとされている6Gの登場まで、高帯域幅の5Gネットワーク網は増大が続くでしょう。今後、パブリックおよびプライベートネットワークに行き交うデータが大幅に増加し続けると、現在のコアネットワーク(バックボーン)テクノロジーではもはや十分な対応が満たせなくなるのは明らかです。

富士通では、6Gはもとより電気・電子を光に置き換えてエネルギー効率の高い信号に変える光電融合コンピューティング技術による研究開発を続けています。新たな光電子融合技術の適用により、より小型で省電力と高性能な基地局が実現可能となりエネルギー消費を大幅に減少します。

富士通と築くサステナブルなネットワーク

プライベート5Gが生み出す価値について各企業は可能性を模索し始めたばかりです。ここまで、ネットワーク投資の要件として、サステナビリティが重要不可欠であることを述べてきました。例えば、収益化に至るスピード、ベンダーロックインを避けるためのオープンスタンダード、データのセキュリティとプライバシー、ネットワークの可用性、すべてを所有することで発生するコストなど、他にも重視すべき要素は数多くあります。

お客様の中で、これらの課題やニーズに対し理解し、かつ解決策を導ける方は多くないでしょう。富士通も残念ながら現状において100%のソリューションを提供できると言い切ることはできません。しかし、将来に必要となるサステナブルな5Gネットワークを構築できるパートナーとして、富士通は独自のテクノロジー開発に取り組み続けています。

富士通は、AIや量子インスパイアード技術などの革新的テクノロジーを活用してvRANテクノロジーを最適化し、効率改善、コスト削減、パフォーマンス向上を実現してきました。解決すべき課題の多い通信事業者の運用環境に最適化されたネットワークインフラを構築するために必要な、深い専門知識と豊富な経験もあります。

富士通は、ネットワークハードウェア製品に加えてvRANなどの関連ソフトウェアを提供できる、数少ないベンダーの1つです。また、Open RANのようなオープンスタンダードを活用しネットワークソリューションを開発してきました。これは、ベンダーロックインのない優れた相互運用性を保証するものです。

単一のベンダーがすべてを独占することが難しいデジタル化の時代において、エコシステムによる取り組みについて以前にも増して重要性が高まってきています。
これからも富士通は、エネルギー効率が高く、より優れたパフォーマンスを保証し、より高いネットワーク品質を実現する持続可能な5Gソリューションの提供に注力しています。

Fujitsu Sweden
CTO Scandinavia
Johan Axen(ジョアン・アクセン)

Johan Axenはスカンジナビア地域を担当するFujitsu Swedenの最高技術責任者です。世界規模の複雑なIT環境を新しいテクノロジーおよびサービスソリューションへ移行・変革を専門としています。民間企業や公企業の問題解決にも注目しており、ビジネスケースと要件を詳細に検討し、テクノロジーおよびサービスのロードマップの開発と実装を担っています。

  • この記事はFujitsu Blogに掲載された「Making Private 5G fit for Sustainability Transformation」の抄訳です。
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