なぜ今“6G”か?2030年を見据えた富士通の覚悟

大容量の通信を可能とする5G(第5世代移動通信システム)は、高精細な映像のライブストリーミング配信やIoTの進化に伴うスマートホーム化など新たな体験をもたらしつつあります。そんな5Gによる高速で低遅延、大容量の通信が叶えるスマートな社会の到来が現実化してきた矢先に、通信の世界ではすでに“6G”社会に向けた取り組みが始まっているのです。先日発表したNTT(日本電信電話株式会社)様との協業も6G社会の実現を叶えるため。さて、6Gが普及する社会とは一体どのようなものなのでしょうか?私たちの生活はどう変わるのでしょうか?今まさに6G社会の実現に向けて奔走する当社IOWN/6Gプラットフォーム開発室長の宮田修次さん(以下:宮田さん)に聞きました。

目次
  1. 通信の雄との協業が6Gの土台を築く
  2. 6Gがもたらすのは、まるで映画のような世界!?
  3. 6G社会の実現とは、社会課題の解決である
  4. 2030年の6G社会実現に向けて

通信の雄との協業が6Gの土台を築く

NTTの澤田純社長(左)と、富士通の時田隆仁社長(右)

まず気になるのはこの度のNTT様との協業の背景でしょう。なぜこのタイミングに2社がタッグを組んだのか、その点から話を聞いてみましょう。

宮田さん: NTTさんとの協業は、6G社会の実現に向けたインフラを共に構築していくためです。といっても分かりづらいですよね。6Gについてご理解いただくためには、今話題の5Gに触れる必要があります。ご存知の通り、2G、3G、4Gと世代を重ねてきたワイヤレス通信はより速い、大容量の通信を目的に進歩してきました。そして、第5世代である5Gは自動運転や遠隔手術に代表されるように、通信の進化のみならず、周辺のサービスやデジタルインフラまでを巻き込んで、便利で豊かな社会を創出しつつあります。そうしたデジタル社会をさらに飛躍させるための通信技術が6Gなのです。こうした6G社会の実現に向けては、インフラをよりオープンな形で進化させていく必要があり、通信のトップランナーで、かつIOWN構想注1という具体的な姿を描き推進されているNTTさんと、豊かな将来社会の実現に向けたビジョンと先進的情報通信技術を持つ当社が協業に至った経緯となります。

6Gがもたらすのは、まるで映画のような世界!?

では、6Gが普及すると社会はどのように変化するのでしょう。生活者の皆さんに身近な例から、未来像について聞きました。

宮田さん: 6Gへの取り組みは始まったばかりですし、なかなか未来の予測は難しいのですが、私なりにケースをあげてみたいと思います。1つ目は目に見えるモノや空気のように感じるモノが広がっていくという点からホログラムが考えられます。宇宙映画を思い浮かべる人も多いと思いますが、どこにいても目の前に立体的な像が現れ、動いたり、喋ったり、コミュニケーションさえもとれるようになります。5Gよりも格段にリアルな世界が実現できると思います。2つ目は仕事や生活スタイルを大きく変える可能性があるという意味でアバターです。すでに様々なサービスでネットワーク上での分身となるアバターの活用が定着していますが、6G社会でのアバターはさらに進化するのではないかと考えます。アバターがユーザーのもつ知識・ノウハウを学習し、自主的に働くようになるのです。6G社会では定型化した仕事や翻訳、業務のマッチングなどはアバターが担うようになるでしょう。あくまでも例ですが、こうしたホログラムデータの伝送や高度なアバターを実現するためには、6Gネットワークは大きな力を発揮すると思います。

6G社会の実現とは、社会課題の解決である

より便利で快適な6G社会を望む人は多いことでしょう。しかし、5Gもまだ定着していないなか、なぜ今6Gなのでしょうか?6G社会の実現とはなにか。その本質について深堀したいと思います。

宮田さん: 6G社会の実現は、利便性の追求に終始することではありません。5Gから6Gへの革新は切れ目がなく連続性を伴うものですが、5Gと6Gは利便性の向上とともに社会課題を本質的に解決していけるレベルになるという点で異なると言えるのではないでしょうか。
例としてご紹介したホログラムの普及や高度なアバターの実現は、私たちの働き方を大きく変えるでしょう。リモートワークが今まで以上に円滑になり働く場所を選ぶこともなくなります。時空を超えてコミュニケーションや体験が可能になる世界です。それは、人と人が繋がりやすくなることを意味します。つまり、場所や年齢、言語などの垣根を超えて世界中でアイデアや知恵が結集するようになるのです。そうすることで、より複雑化する社会課題の解決が期待できます。世界中の知恵を結集して、安心で安全で誰もが自分らしく生活するための世界を実現する。これが、6G社会が目指すところなのです。

加えて、5Gより高速・大容量のデータ通信が求められる6Gでは多くのエネルギーが必要とされます。我々は技術革新により、インフラ全体の消費電力を大きく抑えることを目標にしています。具体的にはNTTさんが提唱し共に取り組んでいくIOWN構想にもあるように、消費電力1/100を目標に取り組んでいこうとしています。

2030年の6G社会実現に向けて

6G社会に向けてNTT様とともに前進する富士通。実現のため、さらにその先に何を描いているのでしょう?

宮田さん: NTTさんとの協業により、6G社会実現への土台を築いていきたいと思っています。しかし、実際に生活者の皆さんが6G社会のベネフィットを享受するためには、インフラの構築だけではなく、数多くの新しいサービスの創出が必要です。私たちは2025年に6G社会実現のためのプラットフォーム技術を整えることを目標としていますが、このプラットフォームは先進コンピューティング技術等を導入した革新的なものであり、かつ様々なパートナーが参画できるオープンな形を目指して行きたいと思っています。数多くのサービスが生まれるであろう2030年、私たちは、多様で急速に変化する社会に対応し、そこに生じる様々な課題を解決できる社会の実現に向けて邁進していきます。

まだ遠い先のようにも思えますが、SDGs期限である2030年を見据えると、今から様々な取り組みをしていく必要があります。今回のNTT様と富士通のタッグは持続可能な未来型デジタル社会実現への大いなる一歩になると思います。

IOWN/6Gプラットフォーム開発室長の宮田修次さん
  • 注1
    IOWN構想
    Innovative Optical and Wireless Networkの略で、NTTが提唱する、ネットワーク・情報処理基盤の構想です。富士通は、IOWN構想に賛同する企業が推進する国際フォーラム活動「IOWN Global Forum」(2020年1月設立)に、2020年3月よりSponsor Member、2021年4月よりBoard of Directorsとして参画しています。
    https://www.rd.ntt/iown/
    https://iowngf.org/

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