サステナビリティやダイバーシティ、これからの経営に不可欠な要素とは

富士通執行役員EVP CMOの山本のセッション登壇時の様子

サステナブル・ブランド国際会議とは世界各地で開催される、グローバルで活躍するサステナビリティのリーダーが集う、長い歴史を持ったイベントです。2023年は2月14日、15日の2日間に渡って東京・丸の内で開催され、世界を代表する多くのリーダーによる数々のセッションが行われました。

本記事では、その中でも富士通社員が登壇した2セッションの内容をそれぞれご紹介します。執行役員EVP CMOの山本は、当社のサステナビリティ経営における戦略や実績について、DE&I推進室長の木村はセッションのテーマである「ウェルビーイングが欠かせないDEI&“B”」に関連する当社の取り組みや自身の見解について述べました。

目次
  1. 競争力強化のためのサステナビリティ経営
  2. ウェルビーイングに欠かせないDEI&“B”
  3. これからの経営に不可欠な要素

競争力強化のためのサステナビリティ経営

「サステナビリティ経営は競争力強化につながるか?『トレード・オン型』に転換するための秘訣とは?」のセッションでは、日本ロレアル株式会社、ライオン株式会社と共に、富士通からはCMOの山本が登壇し、各社のサステナビリティ経営について議論を展開しました。
トレード・オンとは、何かを得るために何かを犠牲にするという意味のトレード・オフとは逆で、何も犠牲にすることなく利益を得ようという考え方です。本章では山本が語ったトレード・オン型を目指す当社のサステナビリティ経営についてご紹介します。

富士通のサステナビリティ経営

富士通では全ての事業が、パーパス「イノベーションによって社会に信頼をもたらし、世界をより持続可能にしていくこと」の実現に向けた活動となるよう、財務指標とともに、非財務指標を定め、両輪でサステナビリティ経営を行っています。財務だけでなく、非財務も含めて経営を行うことで、社会に対して長期的で安定した貢献ができ、それが当社の成長機会の創出につながるという正のループを描いています。

チェンジ・メーカーの説明スライド資料

また、当社は世界各国の経営層や意思決定者を対象に調査を行い、ビジネスリーダーによるサステナビリティへの意識や、彼らが考えるサステナビリティ目標達成に向けての鍵や障壁を分析しました。その結果、テクノロジーとサステナビリティの両方を重視する企業が、より良い事業成果を得ていることが判明し、このような企業を「チェンジ・メーカー」と名付けました。真のSX(サステナビリティ・トランスフォーメーション)を実現するために、富士通自らもチェンジ・メーカーとなり、そしてお客様もチェンジ・メーカーになれるようサポートしていきます。
そのために「Fujitsu Uvance」という事業ブランドを立ち上げ、お客様の先にある社会課題の解決に挑戦しています。このようなパーパスを起点とした企業活動の実践を通じて当社のブランド評価もここ数年向上し続けています。

Fujitsu Uvance

セッション後半には質疑応答の時間が設けられ、参加者から「経営に大切なパーパス(自社の存在価値)をどのようなプロセスで作り上げたか、トップ層だけでなく社員の想いをどう引き出したのか」という質問が投げられました。
富士通では専門のパーパスチームを立ち上げ、まずは社長自らの考えについて集中的にインタビューを実施しました。またお客様やOB・OGの声も拾い上げています。そして策定したパーパスについて考える機会を作るために、社員に対してはパーパスカービング(カービング=掘り下げる)を実施しています。幼い頃から好きだったことや大事にしていたことは何かを振り返ることで自らのパーパスを再確認し、企業のパーパスと掛け合わせ、落とし込んでもらうという取り組みです。このパーパスカービングにより、社員満足度の向上も徐々に見受けられています。

また、「トレード・オンに持っていくためにどのようにKPI・目標を設定するか」という質問に対して山本は、ロイヤルティ(忠誠心・愛着)も項目の一つに組み込むと回答しました。売上の推移を見ると、お客様のロイヤルティが高い部門の売上が高いという傾向からです。これに対しては、他登壇者からもTrust beyond contract(契約を超えた信頼関係)を実現し、お客様との関係性を高めていくためにも、ロイヤルティを重視する視点は大切だという意見が続きました。

ウェルビーイングに欠かせないDEI&“B”

社員が心身ともに健康でいきいきと働くことができる状態である「ウェルビーイング」を保つためには、人材の多様性(=Diversity)を認め、公平に(=Equity)受けいれて活かすこと(=Inclusion)、DE&Iが必要不可欠です。近年では、このDE&Iにプラスして帰属意識と呼ばれる“B”(=Belonging)も外せない要素として意識され始めています。自身が社会に属していることを実感し、組織に役立ちたいと思う、心身ともにやる気がみなぎっている状態でないとウェルビーイングは実現できません。

「ウェルビーイングが欠かせないDEI&“B”」のセッションでは、サステナブル・ブランド国際会議のプロデューサーがファシリテーターとなり、この領域に対して意識の高い株式会社QVCジャパン、株式会社インテージとともに、富士通からはDE&I推進室長の木村 博美がパネリストとして登壇しました。セッション前半では各社の取り組み紹介、後半ではパネリストたちによるDEI&“B”をテーマにしたトークが行われました。本章では、主に富士通の取り組み事例や、木村自身の見解をご紹介します。

FUJITSU Way

すべての富士通社員の「行動の拠り所」となるFujitsu Wayの実践とDE&Iには深い関わりがあります。Fujitsu Wayでは、各人がオープンマインドで自由闊達に自身の意見や価値観を共有・議論することが、イノベーションの鍵と考え、多様性/ダイバーシティを「挑戦」(=イノベーション創出)の価値観と結び付けています。ダイバーシティの力が真に発揮されるためには、エクイティ(公平)も重要です。ここでいうエクイティとは、人は皆、異なる属性やスキル・経験を持っているため、ツールや機会を提供する場合は、その人に合ったものを提供する必要があるというものです。私たちそれぞれの持つ経験や価値観を尊重し、お互いの違いを意識したアクションを行うことで、真にパフォーマンスを発揮できる組織を目指しています。

富士通では、グローバルのDE&I担当者や従業員グループが何度もディスカッションを重ねて、DE&Iにおけるありたい姿を2022年4月にリニューアルしています。重視した価値観「Belonging」については、わくわく感を連想させる「一体感」という言葉で表現しています。

ありたい姿:

  • 多様性を尊重した責任ある事業活動に取り組みます。
  • 誰もが一体感をもって自分らしく活躍できる、公平でインクルーシブな企業文化を醸成します。
  • 個人のアイデンティティに関わらず、誰もが違いを認めあい、活躍できるようにします。
  • 私たちは、インクルーシブなデザインやイノベーションを通じて、社会により良いインパクトをもたらすよう努め、エンパワーし合うことで、持続可能な世界の実現を目指します。

具体例として、富士通では以下のような施策を実施しています。

重点領域ごとの施策例(ジェンダー、健康、障がい、アクセシビリティについて)
重点領域ごとの施策例(LGBTI+、民族、文化について) 富士通の主な施策例

セッション後半のディスカッションでは、ウェルビーイング実現のために何が欠かせないのかというテーマの元、登壇者間で熱い議論が交わされました。ここで木村は瞬間的にハッピーと感じるだけでなく、先が見通せる希望に満ちた環境の下、ハッピーを継続的に重ねていかなければウェルビーイングは実現できないとコメントしました。そのためには、多様な人材がいる中で他者や自らを変えたりするのではなくありのままを受け止めること、また自分の価値観の中だけで物事を見ず、様々な価値観を持つ人がいることへの理解が必要だと話し、相互に敬意を持ってコミュニケーションを取り合い、他者との違いが素敵だと思える人でありたいと自身の見解も述べました。
さらに、Z世代の仕事観などについてのテーマでは、Z世代と一括りにしていること自体がバイアスとなることもあるので、個人個人を見てその人の価値観に合う言葉をかけることが大切だと持論を展開しました。

富士通 DE&I推進室長 木村のセッション登壇時の様子

これからの経営に不可欠な要素

利益ばかりを追求する企業は生き残れません。サステナビリティへの高い意識を保持し、対顧客で留めることなく、対社会、対未来を見据えながら経営に活かしていくことが大切です。DEI&“B”に関しても同様です。目を背けている企業はいずれ競争力を失っていくでしょう。しかし本当は、企業単位ではなく一人ひとりがDEI&“B”を見つめ直すべきことも忘れてはなりません。

今後も社会の変化を見据えながら、デジタルイノベーションでより持続可能な世界の実現に挑戦し続ける富士通にご期待ください。

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