企業成長に欠かせないドライバー、「社内起業家」が新しい事業の芽を育てる

「Fujitsu Innovation Circuit」ひとりひとりの挑戦が未来を拓く

「挑戦が当たり前の富士通」を掲げて、2021年11月より、社内起業家の育成と新規事業の創出を目指して開始したプログラム「Fujitsu Innovation Circuit」。今回は、本プログラムを通して、産学連携で新しい事業活動を推進する社員に、活動にかける想いや今後のビジョンについて聞きました。富士通はこのプログラムを通し、これからの富士通の10年を牽引する人材を輩出し、サステナブルな世界の実現を目指します。

目次
  1. 3年間で1,000人の社内起業家育成を目指す「Fujitsu Innovation Circuit」
  2. 参加のきっかけは、人々の健康とスポーツ市場への想い
  3. 産学連携の実証実験で得られたもの
  4. 一歩踏み出す勇気が、新しいキャリアや未来を拓く

3年間で1,000人の社内起業家育成を目指す「Fujitsu Innovation Circuit」

Fujitsu Innovation Circuit(以下、FIC)」は、「挑戦が当たり前の富士通」へと進化するべく、3年間で1,000人のイントラプレナー(社内起業家)を育成することを目指して、2021年11月に開始した新規事業創出プログラムです。
本プラグラムは、アントレプレナーシップ(起業家精神)の教育分野で、世界的にトップクラスの評価を得ているバブソン大学の准教授を務める山川恭弘氏監修のもと、「Academy」「Challenge」「Growth」の3ステージで構成されています。Challengeステージに挑戦した10チームによるピッチコンテストが行われ、その中から2チームがGrowthステージに進出し、事業化に向けた取り組みを開始しています。

FICプログラムのステージ

大企業はサイロ・縦割りになることが多く、業種や業界を横串で行動する経験値や成熟度が低いと言われており、富士通も同じ課題を抱えています。スタートアップの感覚に触れ、イノベーションのマインドを持つ多様な人々とのコラボレーションは、今後の富士通の成長に欠かせないドライバーとなります。
富士通は本プログラムを通し、これからの富士通の10年を牽引できるような、社会課題の解決に挑む人材を輩出していきます。これにより、業種の垣根を越えて企業をつなぎ、それぞれの強みを大きな力に変え、地球や社会をより良いものにしていきます。

今回は、FICへの参加をきっかけに、「誰もが元気で健康に過ごせる社会」を目指して、新事業の創出に取り組む社員に、活動にかける想いや今後のビジョンについて聞きました。

参加のきっかけは、人々の健康とスポーツ市場への想い

Q1 FICに参加したきっかけや想いを教えてください

前職はスポーツメーカーで営業をしておりました。国内スポーツ市場、特に競技スポーツ市場の伸び悩みに危機感を感じ、もっと裾野を広げるためには、テクノロジーの活用が必須と考えて富士通に転職しました。富士通でスポーツ団体向けの新規事業企画を推進する中で、あまり運動していない人に軽くでも運動を始めて貰う事でスポーツ市場の拡大につながる、そして何より本人の健康増進につながる、このアイデアを事業化したいとの考えに至りました。そのような時に、プロによる支援を受けながら、6カ月間専任で新規事業開発を行えるFICのChallengeステージを知り、これはぜひ挑戦したいと思いました。
専門家のアドバイスのもと、まずはヒアリングを通じて自分のアイデアの仮説検証を徹底的に3か月間実施しました。顧客課題の掘下げや競合調査をする中で、多少の路線変更をしながら事業の方向性を確立し、後半3か月で行動変容技法を用いた運動の習慣化アプリをつくって社内検証を実践しました。

Q2 今回の挑戦によって得られたことを教えてください

行動変容理論や社内検証に協力いただいた早稲田大学の皆さん、検証用アプリ開発に協力いただいた大道さんと小島さん、アイデアに共感いただいた顧客企業や協業企業の皆さん、社内検証に参加していただいた社員の皆さん、チームを支えてくれた専門家やFIC事務局の皆さん、そして同じChallengeステージの挑戦者たち、多くの仲間に出会えたことが今後のキャリアの中でも大きな支えになると感じます。
また、今回は次のGrowthステージへの進出は叶いませんでしたが、事業内容に共感していただき複数の部門から事業継続のお誘いをいただきました。その中で、方向性が合致した当社の主力事業である「Fujitsu Uvance」のHealthy Living領域を推進する部門にジョインし、引き続きアイデアの事業化に向けて推進中です。

富士通株式会社 Uvance本部 Healthy Living 青木 陽介

産学連携の実証実験で得られたもの

Q1 今回お取り組まれたことや富士通との関係について教えてください

早稲田大学応用健康科学研究室(代表:竹中晃二教授)では、主に身体活動、食事およびメンタルヘルスについて、対象者の属性に合わせた行動変容技法をもとに介入研究(*1)を行っています。富士通との共同研究は、早稲田大学出身の青木陽介さんからの研究室への相談がきっかけで、私も含めた大学院生が加わりました。
今回開発に携わったスマホ・アプリでは、行動変容技法として「Volitional help sheet」という介入方法を用いました。この方法は、身体活動を実践できそうな状況(イフ)と身体活動(ゼン)を複数提示し、ユーザーにそれらの中から自分に適合した内容を選択してもらい、普段からイフとゼンの組み合わせを意識して実践することで、身体活動の習慣化を促進するというものです。
このアプリの効果を確認するために、富士通の社員105名を対象に実証実験を共同で行いました。その結果、歩行などの身体活動が介入前よりも増加し、特に興味深いことに、中高年層では、このアプリが身体活動の習慣化に役立ち、メンタル面で良い変化が生じることがわかりました。

  • (*1)
    疾病と因果関係があると考えられる要因に対して、研究を意図し積極的に介入をして、新しい予防法、診断法や治療等を試み、従来の予防法や治療等を行うグループと比較して、その有効性を検証する研究のこと

Q2 今回の挑戦について、周りからどのような評価が得られましたか

実証実験で得られた結果については、生活習慣病の予防医学に特化した日本ライフスタイル医学会学術集会で発表し、最優秀演題賞を受賞することができました。この受賞では、スマホ向けに開発された数あるアプリの中で、特に行動変容技法を組み込み、対象者の特徴にテイラー化して効果を高めたことが評価されました。富士通の皆さんと一緒に受賞が出来てとても嬉しく感じております。

早稲田大学大学院 人間科学研究科 吉田 椋氏

一歩踏み出す勇気が、新しいキャリアや未来を拓く

Q1 FICに参加したきっかけや想いを教えてください

私は過去にスポーツに関する事業化経験がありました。小学生の縄跳びをセンシングし、運動の多様性や楽しさを伝えより良い社会を作っていこうといった事業で、商品化まではできたのですが、大成功したとは言えないまま終わってしまい、やり残した思いがずっとありました。現部署で、FICを知り、挑戦したいという思いと現業務との兼ね合いに悩みました。1on1ミーティングで上司に悩みを相談したところ、Crewという形で挑戦できる道があることを知り、メンバーと出会い、ともに活動しています。

Q2 今回の挑戦によって得られたことを教えてください

失敗を恐れずに挑戦することの大切さを改めて学びました。今回で言うと、Growthステージ進出は叶わなかったものの、メンバーには新たな道が開け、結果として「Fujitsu Uvance」という会社の事業の中心地で事業化に向けて進んでいます。これは挑戦しなければ起きなかったことであり、正直、驚きました。やってみないと何が起こるかなんてわからないんです。
また、このような機会を与えてくださった関係者の皆様に、改めて感謝をお伝えするとともに、これからは行動していくことの大切さを周りに伝えていきたいと思います。小さなこと、例えば本屋に行くでもいい、何かを感じたら具体的に行動していくことがとても大切で、失敗しても見直しながら何度も立ち上がれば良いだけです。その先に挑戦したことでしか得られない何かがあります。それがやがてキャリアや未来につながる、ということをお伝えしたいと思います。

富士通株式会社 CEO室 CDXO Division 和泉 良太

プロフィール

青木 陽介
富士通株式会社 Uvance本部 Healthy Living
スポーツメーカーを経て2019年に富士通に入社。富士通ではスポーツ競技団体向けの新規事業企画に従事し、2022年1月よりFIC Challengeステージ0期生として本プロジェクトをリード。9月より現職。

吉田 椋氏
2016年 文京学院大学 人間学部心理学科 卒業
2018年 文京学院大学大学院 人間学研究科 修士課程 修了
早稲田大学大学院 人間科学研究科 博士後期課程に在籍。現在、本プロジェクトを含めた学位論文を執筆中。

和泉 良太
富士通株式会社 CEO室 CDXO Division
メガバンク、官公庁/公共系のアカウント営業部門、ビジネスクリエーション部門を経て、現在はCDXO Divisionにてフジトラプロジェクトに従事。フジトラを起点とした顧客とのコミュニケーションに従事しつつ、事業企画経験を活かし本プロジェクトに参画。

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