サステナブルな社会の実現に向けて、最高峰のコンピューティング技術を誰もが使える社会へ

スーパーコンピュータのような高度な数値計算に用いられるコンピューティング技術は、これまで学術的な研究など用途が限定されていました。しかし、環境、天候、経済、人流など考慮すべきデータが増え続け、民間企業においてもDX化が進展する中、高度な計算能力の需要が拡大してきています。そこで富士通は、スーパーコンピュータ「富岳」や「デジタルアニーラ」に代表される高度なコンピューティング技術と、AIなどのソフトウェア技術を、誰もが容易に利用できるサービス群として「Fujitsu Computing as a Service」(以下、「CaaS」)を発表。今回は、「CaaS」の第一弾として販売開始した「Fujitsu クラウドサービス HPC」の詳細も含めて解説します。

目次
  1. 学術・研究分野以外にも利用が広がる高度なコンピューティング技術
  2. 「富岳」など高度なコンピューティング技術を、誰もが利用できるように
  3. 「CaaS 」の第一弾として「Fujitsu クラウドサービス HPC 」を販売開始
  4. 最高峰のコンピューティング技術の民主化で世界をより持続可能に

学術・研究分野以外にも利用が広がる高度なコンピューティング技術

私たちは日々、地球規模での社会課題に直面しています。地球温暖化、大規模災害、新型コロナウイルス感染症の蔓延など、さまざまな社会課題の解決に取り組むには、デジタル技術の活用が不可欠です。とくに高度な計算能力を持つスーパーコンピュータに代表されるコンピューティング技術は、地球温暖化による気象変化の予測、大規模災害の被害シミュレーション、感染症に有効な新薬の開発をはじめ、宇宙開発分野における人工衛星や探査機の軌道計算など、さまざまな分野で活用されてきました。

このように、これまで高度なコンピューティング技術の活用は各国の政府系研究機関や学術機関に限られていました。民間企業が個別に導入・活用するには、設備や機器の一括購入にともなう投資負担や、導入・運用面での専門技術者の確保などが課題となり現実的ではなかったのです。一方で、複雑化する社会課題の解決や企業競争力強化のため、いまや幅広い分野の企業、団体でビッグデータ活用といった高度な計算能力が求められています。

そこで、富士通は、スーパーコンピュータ「富岳」や「デジタルアニーラ」に代表される高度なコンピューティング技術とAIなどのソフトウェア技術を、従来の学術・研究分野での活用にとどまらず、誰もが容易に利用できるようにしたサービス群「Fujitsu Computing as a Service」(以下、「CaaS」)を発表しました。様々な企業、団体に、本サービスをご活用いただくことで、金融サービス、サプライチェーンの効率化やトレーサビリティの管理、電力需給予測、創薬の効率化、災害シミュレーションなど、幅広い業種における課題解決に貢献します。

4月6日に実施した記者会見の様子。富士通株式会社 執行役員 SEVP CTO ヴィヴェック・マハジャン(左)富士通株式会社 執行役員 EVP 高橋美波(右)

「富岳」など最高峰のコンピューティング技術を誰もが利用できるように

富士通は「CaaS」を、サステナブルな世界の実現を目指す新事業ブランド「Fujitsu Uvance」を体現する、重要な取り組みとして位置付けています。「CaaS」を利用すれば、「富岳」に採用されたCPUをはじめとする世界最高峰の技術を適用した最新鋭スーパーコンピュータ「FUJITSU Supercomputer PRIMEHPC FX1000」(以下、「PRIMEHPC FX1000」)をクラウド型で活用でき、「デジタルアニーラ」やAIもクラウドで利用できるようになります。

さらに、これらのクラウドサービスと合わせて、その上で動作するソフトウェアやサービス連携基盤、コンサルティングやチューニングサービス提供し、各サービスをシームレスに連携させることができます。
これにより、導入や運用負荷を軽減でき、民間の企業や団体でも、個別のアプリケーションやサービスを意識することなく、手軽に高度なコンピューティング技術を活用することができるようになります。

「CaaS」の第一弾として「 Fujitsu クラウドサービス HPC 」を販売開始

富士通はサービス群「CaaS」の第一弾として、2022年4月6日から「FUJITSU Supercomputer PRIMEHPC FX1000」(以下「PRIMEHPC FX1000」)をクラウド型サービスとして提供する「Fujitsu クラウドサービス HPC 」の販売を開始しました。本サービスを活用いただくことにより、クラウド上で数値計算、流体解析、構造解析などを高速に実行していただくことが可能です。

「Fujitsu クラウドサービス HPC 」は、単にコンピューティングの使用環境を提供するものではありません。導入時に課題となるソフトウェアやライブラリを標準搭載しており、さらに運用では性能チューニングやアプリ分析のサポートサービスをご提供することで、サービス利用者は、研究や解析へ専念していただくことが可能になります。
また、HPCの使用には、専門知識を持つ人材が必要となりますが、本サービスでは、大規模HPC運用に知見を有する技術者がサポートをすることにより、HPCの専門知識を持たない企業や団体も、導入や運用をスムーズに進めることができます。

最高峰のコンピューティング技術の民主化で世界をより持続可能に

富士通は、2030年の社会で起こりうる社会課題を解決し、誰もが夢に向かって前進できるサステナブルな社会を作っていきたいと考えています。
まず今回は、誰でも容易に高度なコンピューティング技術とソフトウェア技術を利用できる「CaaS」を発表させていただきました。2022年10月には、「CaaS」の販売開始となり、HPCを皮切りにデジタルアニーラやAIをクラウド上のサービスとして使用していただくことが可能となります。その後も順次ソフトウェアサービスの拡充を予定しており、お客様のご意見を伺いながら様々な業務アプリケーションを追加していく予定です。将来的には、量子コンピューティング、量子シミュレータも「CaaS」上で提供していきたいと考えています。
また、「CaaS」の先行事例として、製造業向けの設計最適化や、創薬効率化など、機関や企業のみなさまとの実証実験を予定しています。今後も、最高峰のコンピューティング技術とノウハウをご提供し、様々な業種のみなさまと共にサステナブルな社会の実現を目指します。

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