7月5日、「世界デジタルカンファレンス2021 レジリエントな社会の実現に向けて ~DXで変わる社会・ビジネス~」(主催:日本経済新聞社、協賛:NEC、NTT、KDDI、ソフトバンク、富士通)が開催され、当社理事 首席エバンジェリストの中山五輪男が登壇しました。
「世界デジタルカンファレンス 2021」を振り返りながら、ポイントを2人のエバンジェリストが深掘りします!
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首席エバンジェリストに聞く・講演後インタビュー

武田さん: 講演お疲れ様でした。昨年に引き続きの登壇でしたね、いかがでしたか?
中山さん: 2年連続で機会を頂き、とても光栄なことだと思っています。昨年は「ニューノーマル時代におけるデジタル変革とは」というテーマでしたので、「Reimagine 企業戦略を再構築」というタイトルでニューノーマル時代への提言をさせていただきました。そして今年のテーマは「レジリエントな社会の実現に向けて」だったので、タイトルは「The Power of Resilience」とシンプルにして、最新テクノロジーとDX最新事例から考察する未来社会についてのお話をさせていただきました。
武田さん: 昨年は提言、そして今年は具体的なDX最新事例を中心にした構成で、2年連続でとてもわかりやすい内容になっていたと思います。社会課題解決に対する富士通の取組みをお客様にわかりやすく伝える役割がエバンジェリストですからね。さて、ここは触れておきたいところですが、当日は大ホールでの無観客での講演でしたが、2年連続とはいえやはり難しいですよね?
中山さん: この質問多いんですが、実際はカメラの向こうのお客様に説明しているイメージなので、普段と変わらないんですよ。
武田さん: 本当ですか?
中山さん: あはは、本当はやりにくいですよ。1日でも早く日常を取り戻して、皆さんの目の前で講演をしたいですね。一方で、これからはこのようなスタイルがスタンダードになると思いますので、私は勿論のこと富士通社員全員がレベルの高いプレゼンテーションが出来るように育成したいと考えていますよ。
富士通に転職してきて早4年になるけど、イワオ塾(社内の通称:エバンジェリスト育成講座)で何人もの優秀なエバンジェリストが誕生しており、今も全国各地にて講演してくれていますからね。武田さんももっと頑張ってね(笑)。
武田さん: はい、頑張ります(笑)。今はエバンジェリストに加え、エコノミストも一緒に活動していますので、トレンド、最新技術、先端事例などについての講演依頼があれば、是非お気軽にお声掛けいただけると嬉しいですね。
レジリエンスとは

武田さん: それでは、先日の講演内容について触れていきましょうか。オープニングは「不確実な時代の到来」という内容でしたが、今企業に求められているものとは何でしょうか?
中山さん: それは、今回のテーマでもある「レジリエンス」です。企業経営で優先的に取り組むべき課題は何か、世界9か国で企業の意思決定層の方々1,200人を対象に、調査を行いました。その中で、半数以上となる57%の方が、変化への対応力「レジリエンス」を課題として挙げています。改めてですが、レジリエンスとは、変化していくビジネス環境や社会情勢において、柔軟に対処できる力のことです。企業において、テクノロジーを最大限活用しながら劇的な変化に対応できるかが今もっとも必要とされていることでしょうね。
武田さん: 年間200本の講演をしている中山さんが肌で感じたコメントですね。今すべきことは、アジャイルに変革を実現できる組織能力やカルチャーを築き、人間中心のマネジメントを実行するということですね。
中山さん: そうだね。これまで企業は最小のコストで最大の成果をあげるために事業の効率化を推し進めてきました。しかし、今後は効率性以上に変化への対応力を重視する必要があるということですね。そして最も重要なことは、未来へのシナリオをどのようにつくるかだと思います。
サステナブルなよりよい未来の実現のために

武田さん: 講演の中では、富士通がイノベーションによってサステナブルな社会をつくる、ということでしたね。この辺をもう少し説明していただけますか?
中山さん: 富士通は過去86年の歴史において、ほぼすべての業種業態のお客様とビジネスをさせていただいてきました。この貴重な体験を最大限に活かすべく、そしてこれからのニューノーマル時代に向けて、ここに掲げた4つの重点分野に注力して、サステナブルな社会の実現を富士通が支えていくんだと思います。
武田さん: そうですよね。社会課題起点の、業種を横断したクロスインダストリーとしての重点分野ですよね。今回の講演資料には、私をはじめエバンジェリスト、さらには社内の各事業部の皆さんにもの凄く協力してもらいましたよね。
中山さん: そう、グローバルな実績含め、本当に多くの先進事例があったね。諸事情もあり、全てを紹介することは出来ませんでしたが、最近発表したものを中心に紹介させていただきました。
武田さん: 中山さんは直近1年のプレスリリースを全てご存知でしたよね。正直驚きました。
中山さん: 本当は全ての先進事例をご紹介したかったのですが、残念ながら、時間の関係上すべてをお話しすることは出来ませんでした。今後も多くのプレスリリースが出ると思いますので、様々なセミナーなどを通じて、タイムリーにご紹介出来ればと考えています。是非、楽しみにしていただければと思います。
“つかう” を支える「Comsumer Experience(顧客体験)」

武田さん: さて、それでは4つの重点分野について、触れていきましょうか。1つ目は 顧客体験の未来ですね。リアルとデジタルを融合し、一人ひとりに寄り添った顧客体験を提供するとは、具体的にどのような世界なんでしょうか?
中山さん: カメラや棚センサーなどのIoT機器とクラウド上のAIを組み合わせることで、来店客の動きや購入商品を判別し、自動で決済を行います。これにより、レジ待ちストレスが無い、スピーディーな購買を実現するとともに、来店客と店舗の従業員との接触機会を減らし、安心で安全な購買空間を実現します。
武田さん: 電子マネーやバーコード決済の浸透のみならず、昨今の新型コロナウイルスのパンデミックにより、これまでの「お金を払って物を受け取る」という購買スタイルが変わってきているわけですね。
中山さん: 例えば、リクルート様では社員向けコンビニエンスストア「Bee There Go」でタッチレスでの買い物を実現するAIレジレスシステムを導入いただきました。イオンリテール様ではAIカメラシステムで安心・安全な店舗運営や接客品質の向上を目指した活動を、そして、ローソン様ではマルチ生体認証により、マスク着用時でも本人確認が可能な非接触でクリーンな店舗を実現されていますね。今後もより一層速いスピードで新しい顧客体験を提案出来ると思います。
“つくる” を支える「Sustainable Manufacturing(ものづくり)」

武田さん: 2つ目は、ものづくりの未来です。データとデジタル技術をつかってエコシステム全体を再構築し、レジリエントな循環型のものづくりを実現するということですが。産業領域のシステムエンジニアだった私としては、大変興味のあるところです。
中山さん: 新型コロナウイルスの拡大に伴い、持続可能なものづくりをどのように実現するのかは喫緊の課題なんですよね。
武田さん: デジタルツインも1つのアプローチですよね。
中山さん: そう、最近はお客様先でもデジタルツインの話になることが多くなりました。今回の講演では、工場最適化ダッシュボードを一例に説明をさせてもらいましたが、工場内だけでなく、サプライチェーンを含めた未来を可視化、コントロールすることが可能になるんですよね。
武田さん: 今を可視化するだけでなく、未来を可視化する。まさに“つくる” を支える世界が、今実現しようとしているんですよね。
“社会” を支える「Trusted Society(公共サービスと都市)」

武田さん: 3つ目は、公共サービスと都市の未来ですね。生み出される多様なデータをつないで安心して活用し、誰も取り残さない持続可能な社会を実現するという、ちょっと壮大な感じですね。
中山さん: 人々が安心して暮らしていくために、テクノロジーを活用したレジリエントで信頼できる社会づくりへの取り組みが進んでいます。富士通の創業の地でありテクノロジーの中核拠点である川崎工場(川崎市中原区)及びその周辺地域において、AIや5G、さらに将来の活用が期待されるスーパーコンピュータ技術や次世代ネットワークなどの活用による先進モデルの構築を目指しています。
武田さん: 先般、某自治体様の首長向け講演、さらには首長とのワークショップなどのコラボレーションをさせていただきましたが、この領域に対する富士通への期待は大きいですよね。中山さんが考える、富士通の強みは、どのようなところだと思いますか?
中山さん: そうだなぁ、「声」=VOICEかな。1つの声が社員であり、地域住民であり、そして自治体様の声であり、これらの様々な声に耳を傾けた上で、データドリブンによる多角的な分析を実施することで、富士通らしさの提案が出来るんだと考えています。
“健康な暮らし” を支える「Healthy Living(健康な生活)」

武田さん: 重点分野のいよいよ最後、4つ目は、健康な生活の未来です。誰も取り残さない健康長寿の社会を実現するために、医療・健康データとデジタル技術の活用が重要な役割を果たすということですね。
中山さん: あらゆる人々のウェルビーイングを実現するために、医療の高度化やより効果的な治療薬の開発に加え、データを活用した、予防・予測が進んでいます。新型コロナウイルスの拡大を受けて、感染予防、まん延防止に向けたワクチン接種が進められる一方で、有効な治療薬も待ち望まれていますね。
武田さん: 今まさにタイムリーな話題ですね。低分子治療薬の早期獲得と変異株の特効薬の開発ですね。
中山さん: 東京大学様と共同で取り組んできた研究の成果として得られたIT創薬技術をもとに、新型コロナウイルス治療薬の開発につながる阻害化合物の獲得に向けた共同研究を、「富岳」を活用して本格的に開始しました。シミュレーション技術とスーパーコンピュータの相乗効果を高め、新型コロナウイルス治療薬の早期開発を支援するとともに、全ての人が安心して暮らせる社会の実現に向けて貢献したいですね。
最後に

武田さん: さて、そろそろお時間のようですので、改めて中山さんからフジトラニュースをご覧の皆さんにメッセージをお願い出来ますか?
中山さん: 今回の講演は、昨年に引き続きでしたのでとても光栄だったのと同時に、どんなメッセージを皆さんにお伝えしようか悩みました。そこで、毎年富士通が発表している「Fujitsu Technology and Service Vision(FTSV)」をベースにしました。FTSVはどのような未来を皆さんと一緒に創っていけばいいのかを伝える、未来洞察のストーリーだからです。テクノロジーには、世界の困難な課題に取り組み、よりよい社会に変革しようとする人々を支える大きな力があると私は信じています。
武田さん: 本日はお忙しい中、笑顔で対応していただきありがとうございました。
中山さん: こちらこそありがとう。でも講演後にこのように取材してもらうのもいいね。この記事を見ていただいて、是非講演を聞いてみたいと思っていただけるとありがたいですね。最後に、講演でもご紹介しましたが、富士通にはエバンジェリスト、エコノミストがいます。皆さんのニーズにあわせた講演をさせていただきますので、是非お声掛けいただければと思います。
武田さん: 本日は理事 首席エバンジェリストの中山へのインタビューでしたが、いかがでしたでしょうか? これからも、エバンジェリストの視点で富士通の最新の取組みをお届けします。ご期待ください!