「災害福祉支援ネットワーク、DWATの実態把握、課題分析及び運営の標準化に関する調査研究事業」(生活困窮者就労支援事業費等補助金 社会福祉推進事業)の実施について
富士通総研では、厚生労働省「令和4年度生活困窮者就労支援事業費等補助金 社会福祉推進事業」(国庫補助事業)として、「災害福祉支援ネットワーク、DWATの実態把握、課題分析及び運営の標準化に関する調査研究事業」を実施いたしました。
報告書について
全国で進む災害時の福祉支援体制
相次ぐ災害の発生、それによる二次被害防止への意識の高まりに伴い、災害時の生活を支える災害時の福祉支援の体制の構築が進んでいます。全国の都道府県では災害時の福祉支援体制の検討が進み、令和4年3月末において災害時の福祉支援体制のための災害福祉支援ネットワーク等の協議体を構築済と回答したところは47団体となり、令和2年度末の41団体から6団体増え、全ての都道府県において協議体がおかれていることになりました。また、災害時に支援活動を行う災害派遣福祉チーム(DWAT:Disaster Welfare Assistance Team)の確保や育成に取り組むところは44団体、残り3団体については2023年中に開始予定となっています。
新型コロナウイルスの経験を経て、チーム派遣の考え方、他県への応援・受援の考え方、そして平時におけるチーム員に育成方法にも変化が生じています。しかし、この変化は、まず自らの団体内で災害時の体制をきちんとつくることへの動機や意識づけにもつながることになりました。また、人が集まれない中での人材育成は難しさについても、オンライン研修等を効果的に組み合わせることで、多くがシフト勤務であるチーム員たちへの参加しやすさという検討にもつながることになりました。
実効性ある体制のために ~災害時にも地域包括ケアシステム/地域共生社会を実現する
災害派遣福祉チームの活動の標準化については、平成30年度のガイドラインの発出のほか、令和元年度の弊社調査研究において学識者・有識者と開発を行った導入研修(※現在、災害福祉支援ネットワーク事業で展開されている「標準研修」)の開発等により、災害派遣福祉チームが取り組むべき活動、育成すべき人材像の検討は進み、災害派遣福祉チームの活動は一定程度平準化されてきました。
しかし、都道府県の公的なチームとして設置された災害派遣福祉チームが災害時に速やかに活動を開始するには、災害福祉支援ネットワーク事務局の機能と新たに設置される災害福祉支援中央センターとの関係、災害派遣福祉支援チームの活動と災害時に都道府県に設置される保健医療福祉調整本部との関係等を予め整理しておくことが必要です。また、災害時の時間軸において、福祉は平時の生活につないでいくための特に重要な機能となりますが、災害派遣福祉チームの活動は災害時に緊急に福祉的な支援を実施することで一時的に被災地の機能を代替しようとするものであり、その活動の終期では実施している支援を平時の体制の中に段階的につないでいく必要があります。
以上はいわば災害派遣福祉チームの活動の「入口」と「出口」の問題ですが、現在はそれらが明確になっておらず、その中で災害現場での災害派遣福祉チームの活動の準備のみが進められている状況といえます。よって本調査研究では、災害派遣福祉チームの活動の入口と出口の考え方、そしてそれを可能とするための体制・環境の検討を進め、以上を災害派遣福祉チームの活動と連動させた災害福祉支援ネットワークの運営要領(案)として取りまとめることで、都道府県における災害時の福祉支援体制、災害福祉支援ネットワークの強化を進め、保健医療福祉による支援体制の構築、大規模災害に備えた広域間での支援ネットワークの強化を図ることを目指して取り組みました。
資料掲載
災害福祉支援ネットワーク、DWATの実態把握、課題分析及び運営の標準化に関する調査研究事業(PDF) (6.2 MB)
災害福祉支援ネットワーク、DWATの実態把握、課題分析及び運営の標準化に関する調査研究事業(デ―タ版)(PDF) (7.1 MB)
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