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持続可能な行政経営の実践に向けて-公共施設マネジメントの導入 第1回

公共施設マネジメントの意義と背景

2011年8月4日(木曜日)

近年、地域住民にとって最も身近な基礎的自治体である市区町村において、急速に導入が進みつつある、マネジメントの視点を取り入れた公共施設の維持管理を実践するためのポイント等を3回シリーズで紹介する。

1. 今後、急速に膨張する公共施設の維持管理コスト

近年、我が国では、世界にも類を見ないスピードで進行する少子高齢化に伴う社会保障関係費の増大と、これまで消費の牽引役を担ってきた生産年齢人口の減少による需給のミスマッチの拡大等を背景として、国・地方ともに、かつて経験したことのない極めて厳しい財政運営を強いられている。

さらに、現在、多くの市区町村では、昭和40年代~50年代の人口急増期に相次ぎ建設された庁舎や小・中学校、公民館を始め、いわゆる箱モノといわれる公共施設の老朽化が一斉に進行し、その建て替えや大規模改修に要するコストが、今後の財政運営にも多大な影響を及ぼすことが大いに危惧されている。
注)過年度に富士通総研がA自治体を対象に実施した調査結果によると、新耐震基準が施行された昭和56年6月以前(築後30年超)に建築された公共施設は、延床面積ベースで全体の約4割を占める。(【図1】参照)

A自治体における公共施設の年代別延床面積

【図1】A自治体における公共施設の年代別延床面積

2. 公共施設の実態把握に取り組む市区町村が急増中

今後ますます厳しさを増すと見込まれる財政状況を踏まえ、各市区町村が行政運営の基本原則である「最小の経費で最大の効果を上げる」ためには、公共施設の維持管理や運営面においても、施設の配置や管理運営の形態等を適切に見直し、費用対効果を最大化することに重きを置いた、成果重視型の「行政経営(マネジメント)」を実践することが極めて重要な政策課題となっている。

このような状況下、近年、自らが所有する公共施設を対象に、施設配置の偏りや老朽化の進み具合、利用の状況、さらに、現状の保有総量を維持した場合に今後発生が予想される維持管理コスト等の実態把握を目的とした「公共施設白書」の作成に取り組む市区町村が全国的に急増している。

3. マネジメントの第一歩は、正確な実態把握と課題の洗い出し

白書を起点に、最善・最良のマネジメントを展開していくためには、公共施設の現状や現在の保有総量を維持した場合に見込まれるコストの見通し等を、行政職員はもとより、施設を介した公共サービスの受益者である住民にとっても、正確かつ分かりやすく伝え、マネジメントの実践に向けた理解と協力を獲得することが極めて重要な鍵といえる。

しかしながら、これまでに公表されている白書は、単なる現状把握の域を脱しきれておらず、説明も冗長で、当該市区町村において、何に重点を置いてマネジメントを進めていかなければならないのか、課題の精査が不十分なものも決して少なくはない状況にある。

今後、各市区町村では、より多くの住民が医療・福祉・介護など各種行政サービスのコスト負担者から受益者へと移行することで、財政面の制約がより一層強まり、従来聖域とされていた保有総量の大幅な削減にまで踏み込んだ公共施設マネジメントの導入は、もはや不可避な時代に突入している。

次回以降は、このような、かつて経験したことのない時代潮流の変化を踏まえつつ、白書の作成を通じ、公共施設の実態を庁内外の関係者にどのように客観的かつ正確に伝えるのか、さらに、施設を介した公共サービスの持続性を確保するためには、どのような観点でマネジメントに取り組まなければならないのか、具体的な方策について言及する。

シリーズ

持続可能な行政経営の実践に向けて-公共施設マネジメントの導入 第2回

持続可能な行政経営の実践に向けて-公共施設マネジメントの導入 第3回

関連サービス

【総合計画など各種行政計画策定支援】
様々な利害関係が錯綜する公共分野特有の問題点を踏まえ、行政計画策定支援など、行政経営の基盤となるPDCAサイクルの確立を支援します。


長谷川 一樹(はせがわ かずき)
(株)富士通総研 公共事業部 マネジングコンサルタント
総合計画の策定支援、行政評価システム及び公共施設マネジメントの導入支援など、行政経営に関わる各種コンサルティング業務に従事。