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持続可能な行政経営の実践に向けて-公共施設マネジメントの導入 第2回

公共施設マネジメントの現状と課題

2011年9月30日(金曜日)

近年、地域住民にとって最も身近な基礎的自治体である市区町村において、急速に導入が進みつつある、マネジメントの視点を取り入れた公共施設の維持管理を実践するためのポイント等を3回シリーズで紹介する。

今回は、シリーズ2回目として、公共施設マネジメントに関わる各自治体の実態を踏まえながら、マネジメントを導入する上での課題等を紹介する。

1. 施設情報の整理という、越えなければならない大きなハードル

公共施設マネジメントの導入の必要性については、8月号の寄稿において触れたとおりである。導入にあたり、まず自治体が取り組まなければならないのは、施設の実態を把握できる情報の洗い出しと、それらを現時点での実態と照らし合わせ、できる限り正確な情報に更新するという作業である。

自治体の施設に関する情報のデータ化は進んできてはいるものの、未だに紙台帳で情報管理を続けているという自治体は多いというのが実態であり、膨大な数の施設に関する情報を、方々からかき集めなければならないというハードルを乗り越えることが必要となる。

自治体の所有する施設に関する情報の管理状況

【図1】自治体の所有する施設に関する情報の管理状況
(出典)財団法人建築保全センター/自治体のストック調査2009年度

2. 継続的に情報を管理・更新できる仕掛けづくり

施設情報の整理の過程で特に問題となるのが、情報の精度という観点である。土地や建物などの固定資産に税金がかからず、当年度の現金の出入りを基本とした会計を採る自治体にとっては、施設に関わる情報は、土地や建物等を取得する時と売却などで手放す時以外に、その情報の正確性が外部から問われることはほとんどない。それゆえ、民間企業であれば考えにくいことであるが、自治体の経営に関わる情報である土地や建物などの財産情報が、実態に即して適切に更新されていない自治体も多い。

また、自治体の場合、同じ土地や建物に関する情報であっても、土地や建物等を取得・建築する際に施設に関わる情報を作成する建築部門と、土地や建物などの有無や異動の状況を決算情報として作成する管財部門と、建物等の維持保全を担当する営繕部門で、個別バラバラに作成・管理を行っている。そのため、1つの自治体で保有する施設について、全体像を俯瞰して見ることができ難いばかりか、部門間でのデータの齟齬が生じている場合も多い。

こうした問題・課題の解決策として、情報の一元化の観点がよく取り沙汰されるが、部門によって情報を利活用する目的が異なるため、必要となるデータ項目や機能なども大きく異なり、施設台帳の一元化はなかなか進まないのが実情である。そのため、それぞれの部門が保有する施設台帳データを連携させ、公共施設マネジメントという観点で必要となる情報を統合・連携させる仕組みと、それらを管理する体制の整備により、情報を的確に整えることが、今後重要となるものと考える。

公共施設マネジメントに関わる情報の統合・連携イメージ

【図2】公共施設マネジメントに関わる情報の統合・連携イメージ

3. 公共施設マネジメントに取り組む目的・目標の明確化

公共施設マネジメントといっても、自治体によって、その目的や目標とするところが異なる。例えば、人口増減に合った施設総量の見直しに重点を置きたい場合、より効率的・効果的な維持管理を行うために民間活力の導入を含めた維持管理の見直しに重点を置きたい場合、老朽化施設の適正保全に向け、将来見込まれる施設の更新コストの平準化に重点を置きたい場合、遊休地や空間の有効活用に重点を置きたい場合など、様々な方向性が考えられる。

公共施設マネジメントの推進にあたっては、個々の施設を評価・分析し、方向性を定めていくことが必要となるが、各自治体がどの方向に主眼を置いたマネジメントに取り組みたいかによって評価軸が異なり、必要となる情報も大きく異なってくる。手当たり次第に施設の現状データを収集し羅列しただけの施設白書を作成・公表している自治体もあるが、より効率的・効果的に取り組んでいくためには、まず目的や目標の明確化を図るとともに、それらについて庁内で合意し、それに向けた情報収集・分析を実践していくことが必要である。

次回は、施設の実態把握や目的・目標を明確にした上で、具体的に、将来を見据えてどう分析し、どうマネジメント方策を立案していくかなどについて言及する。

シリーズ

持続可能な行政経営の実践に向けて-公共施設マネジメントの導入 第1回

持続可能な行政経営の実践に向けて-公共施設マネジメントの導入 第3回

関連サービス

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様々な利害関係が錯綜する公共分野特有の問題点を踏まえ、行政計画策定支援など、行政経営の基盤となるPDCAサイクルの確立を支援します。


櫻田 和子(さくらだ かずこ)
(株)富士通総研 公共事業部 シニアコンサルタント
総合計画の策定支援、新地方公会計制度及び公共施設マネジメントの導入支援などの行政経営に関わるコンサルティング業務の他、地域活性化に関わるコンサルティング業務などに従事。