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Japan

コラム「マイナンバー導入における企業の実務対応」
第2回 民間実務への影響とその対応

2015年2月4日公開

富士通総研 経済研究所 主席研究員
榎並利博

企業の実務への影響を考える上でまず理解しておきたいのは、マイナンバーを取扱う立場として個人番号利用事務実施者と個人番号関係事務実施者という2つの立場があるということだ。前者はマイナンバーを自らの業務で利用する立場であり、主に行政機関が該当する。後者はマイナンバーを自らの業務(ビジネス)で利用できるわけではないが、行政機関がマイナンバーを利用するうえで補助的にマイナンバーを扱うという立場になる。民間企業はこの後者の立場に該当する。

個人番号関係事務で影響が及ぶ民間企業の実務としては、社員のマイナンバーを扱う人事給与関係事務と、取引先(個人)のマイナンバーを扱う国税の法定調書関係事務が主なものとなる。

1. 人事給与関係事務

民間企業では、社員の所得税の源泉徴収、住民税の特別徴収、社会保険料(医療保険、介護保険、年金保険、労働保険)の支払いや届出・申請など各種手続きを行っている。例えば、社員の採用・退職や住所変更についても行政機関と異動連絡の事務を行っており、今後はこれらの事務手続きにおいて、マイナンバーを使っていくことになる。

民間企業では、2016年1月からマイナンバーを利用する準備をしなければならない。まず、マイナンバー関連手続きを実施するために、社員および家族からマイナンバーを取得・保管するという作業が発生する。そして、雇用保険の届出事務などはすぐにでも開始されるため、その準備も必要となる。

所得税に関しては2016年分の所得から対象となるため、2016年12月の年末調整に向けて、社員本人および配偶者や扶養親族のマイナンバーも取得する必要がある。住民税については翌年課税のため、2017年1月の給与支払報告書の提出からマイナンバー付きで提出することになる。また、健康保険・厚生年金保険の届出書は2017年1月の提出分からが対象となり、医療保険の事務については被保険者および被扶養者のマイナンバーを取得しなくてはならない。

このように社員に関する税や社会保障関係業務にマイナンバーが導入されることで、業務運用が変更になるとともに、人事給与システムなどの改修作業も準備しておかなくてはならない。

2. 国税の法定調書関係事務

国税については法定資料の提出において、マイナンバーおよび法人番号を記載する必要がある。特に、一時的な報酬や配当金などを支払った相手についてもマイナンバーの告知を求め、管理していくことが必要となる。企業が通常税務署に提出することが多いものとしては、配当や剰余金分配などの支払調書、報酬・料金などの支払調書、給与所得や退職所得の源泉徴収票などがあり、講演料・原稿料の支払いや退職所得源泉徴収票などは2016年1月からすぐにでもマイナンバーの利用が始まる。また、法人番号については制限なく利用が可能であり、法定調書や申告書など公的機関へ書類を提出する場合には、今後すべからく自らの法人番号を記載して申告することを想定しておいたほうがよいだろう。

金融関係など膨大な法定調書を扱う業界はもとより、法定調書の管理をシステム化している企業は、やはりマイナンバー対応のシステム改修が必要となる。

なお、民間企業でも個人番号利用事務実施者となる企業年金関係の事務があるが、これはマイナンバー法に規定されているものの、昨年厚生労働省から「マイナンバー制度施行当初からのマイナンバー利用を見送る」との発表があり、当面対応は不要と考えられるため割愛する。また、健康保険組合についても割愛するが、これは個人番号利用事務実施者という立場になることに注意が必要である。

民間企業のマイナンバー対応スケジュール

Q&Aコーナー

実際にお客様よりいただいたご質問に対する、本コラムの著者である榎並氏の回答をご紹介します。
回答をご覧になりたい方は、是非お問い合わせください。


Q1

正社員だけでなくパートアルバイト、扶養家族についても番号を収集する必要があるのでしょうか。

Q2

番号収集開始時期について、これまで法人は2016年1月から収集開始が可能と聞いておりましたが、番号が通知される2015年10月からも可能ではないかという話も聞こえてきておりますが、実際はいかがでしょうか。

Q3

番号利用について、番号収集は1年かけて行い2016年度年末調整に間に合えばよく、2016年度の年末調整から全従業員についてマイナンバーを付与した源泉徴収票等の作成が必要であることは理解していますが、2016年1月以降に途中退職者や新入社員など社会保険加入があった場合はその時点でマイナンバーは必要になりますでしょうか。

Q4

持株会は法人番号が付番されると思いますが、持株会の会員のマイナンバーの取扱いはどのようになるのでしょうか。

Q5

源泉徴収票を所得証明として使うことは可能でしょうか。

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