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Fujitsu

Japan

Oracle Solaris 10 オペレーティングシステム
Solarisボリュームマネージャ

概要

Solarisボリュームマネージャは、ソフトウェアにてRAID機能を実現します。
ソフトウェアRAIDの機能を使うことにより、大規模なファイルシステムの構築、性能の向上、ディスク障害に対する可用性や信頼性を高めることを可能とします。

機能説明

  • Solarisボリュームマネージャでは、以下のRAIDレベルをサポートします。
    1. RAID-0(ストライピング機能)、コンカチネーション(連結機能)
      複数のディスクを連結することにより、1つの大きな論理的なディスクを構築することができます。ストライピング機能を使用することにより、ディスクへのアクセスを分散させ、I/O 性能の向上を可能とします。なお、ストライピングおよびコンカチネーション機能ではディスク障害に対する冗長性はありません。
    2. RAID-1(ミラーリング機能)
      同じ内容を読み書きするディスクを二重化または多重化することにより、ディスクの単純障害時でもデータアクセスの継続を可能とします。
      サポートされるRAIDレベルの中で最も冗長性が高いものとなります。また、RAID-0 機能と組み合わせることで、RAID-1+0 を使用可能とします。ストライピング機能と組合わせて使用することで、性能面での効果も期待できます。
    3. RAID-5(パリティ付きストライピング機能)
      ストライプ化されたディスクの1本が破損しても、パリティにより破損したディスクのデータが計算できるため、データへの継続アクセス、データの復元を可能とします。
      読込み性能はストライピング方式による効果が得られるため、I/O 性能の向上を可能とします。
  • ルート、スワップ、/usr、/opt、/var 等のシステム領域は、RAID-1(ミラーリング機能)のみサポートされます。
    システム領域での、RAID-0,RAID-1+0,RAID-5は未サポートです。
  • ホットスペア機能
    RAID-1,RAID-1+0,RAID-5機能使用時に、スペアディスクを用意することによって、ディスク障害が発生した時、障害ディスクを自動的にスペアディスクと置き換えます。
  • Solarisボリュームマネージャでは、システムが活性状態でのディスク交換を可能とします。
    ただし、ハードウェア的にディスクの活性挿抜が可能であることが条件のため、該当する装置のハードウェア ハンドブック(ホスト内蔵ディスク、マルチパック装置)もあわせて参照してください。
  • UFSロギング機能
    システム再起動後のファイルシステムの全体的な可用性を高めることができ、システムハングやシステム クラッシュ等のシステムの突然の停止による、ファイルシステムのリカバリー(fsck)時間を短縮することが可能となります。
  • ソフトパーティション機能
    スライスまたは論理ボリュームをより小さい1つまたは複数のボリュームに分割することが可能となります。
    この機能により、1ディスクドライブを8つ以上のパーティションに分割が可能となります。
  • MPxIO機能(Sシリーズのみ)
    Sun Fire V880/V890 などの内蔵ディスクをMPxIO機能と組み合わせて使用することをサポートします。
    この機能により、マルチパスにより冗長化された内蔵ディスクに対してRAID構成を作成できます。

システム構成

以下の推奨構成図は、富士通S series/GP-SファミリーではマルチパックD1000、PRIMEPOWERではファイルユニット装置を各々2 台使用した例です。1台のディスク筐体内でサブミラー(ストライプ)を構築し、2台のディスク筐体間でミラーリングを行ってメタミラー(RAID1+0 構成となります)を構築したものです。また、各ディスク筐体にホットスペアディスクを定義することで、より冗長性を高めています。

システム構成図

補足1)RAID-1,RAID-1+0とRAID-5の比較

RAID-1,RAID-1+0は、データの完全な二重化を行う(ミラーコピーを持つ)ことで、Solarisボリュームマネージャでは最も信頼性の高い構成となります。
また、二重化されたRAID-1+0は複合ディスク(複数の物理ディスク)障害に対しても、障害ディスクと対となっているミラーのもう片側が正常であれば、継続運用が可能となります。
Solarisボリュームマネージャ でのRAID-5は、システムやディスク構成によりホストバスアダプター障害やSCSI/FC-AL等のインターフェース障害の影響を受けやすく、複合ディスク障害に発展することがあります。 この時、論理ディスク上のすべてのデータが失われる危険性があります。
また、RAID-1+0,RAID-5において論理ディスクに対するI/Oを複数の物理ディスクに負荷分散するメカニズムを持ちますが、RAID-5ではパリティ情報の演算や更新を行うため、書き込み性能の低下(約2~10倍)が発生します。 また、ディスク障害によるRAID-5縮退状態では、パリティによるデータ復元のため、読み込み性能も著しく低下します。
Solarisボリュームマネージャ を使用する場合は、RAID-1,RAID-1+0(上記推奨構成図)を強く推奨します。また、ホットスペアの適用 もあわせて推奨します。なお、ミラー元とミラー先のホストバスアダプターを分けることで、ホストバスアダプター障害 やSCSI/FC-AL等のインターフェース障害にも耐えうる構成を可能とします。