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Fujitsu

Japan

第10回 山﨑貞一賞(材料分野)を受賞

11月19日、日本学士院にて、財団法人材料科学技術振興財団主催の「第10回(平成22年度)山﨑貞一賞」表彰式が行われ、富士通グループからは2名が受賞しました。


(左から)武智 敏、野崎 耕司

【山﨑貞一賞】

山﨑貞一賞は、財団法人材料科学技術振興財団の初代理事長を務めた故山﨑貞一氏の人徳を偲び、その功績を称えるとともに、わが国の科学技術の普及啓発と科学技術水準の向上に寄与することを目的として創設された賞です。

本賞は、「材料」、「半導体及び半導体装置」、「計測評価」、「バイオサイエンス・バイオテクノロジー」の4分野からなり、優れた論文の発表、特許取得または方法・技術の開発を通じて、実用化につながる創造的業績をあげている方について贈呈されるものです。今回は、この内、材料分野での受賞となります。当日は贈呈式に引き続き、受賞者の方々による講演も行われました。

《受賞者》  
武智 敏 富士通セミコンダクター 知的財産本部標準推進部 プロジェクト課長
野崎 耕司 富士通研究所 基盤技術研究所 主管研究員

《受賞理由》
「ArFエキシマレーザリソグラフィ用新規レジスト材料の開発と実用化」

半導体大規模集積回路(LSI)の微細化では、写真製版技術(リソグラフィ)が欠かせない。この微細化では、用いる光の短波長化に対応した感光材料(レジスト)の研究開発が鍵となる。21世紀初頭に要求された90nm世代のLSI製造には、従来より短い波長のフッ化アルゴン・エキシマレーザ(ArF, 波長193nm光)を用いたArFリソグラフィ技術が不可欠であった。

受賞者両氏は、それまでの波長光では有効であったベンゼン環を含んだレジストがこれ以下の波長では無効となるのに対し、アダマンチル基を使った新規材料のコンセプトを1990年に世界で初めて提案した。その後、アダマンチル基とラクトン基等を組み合わせたArFエキシマレーザリソグラフィ用新規レジスト材料の実用化が実現した。現在では、本技術が世界の標準となっており、特許の引用回数も極めて多い。本レジスト材料は、300億円/年以上の市場規模となり、約20兆円の半導体市場のうち、このレジストを用いて生産されるLSIは、年間10兆円規模の市場と推定される。


武智 敏の受賞講演