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VPS 導入事例

東芝テック株式会社 様


“生煮えデータ”による“お持ち帰りVDR”でフロントローディング試作後の手戻りを20%削減

東芝テックの画像情報通信カンパニーでは、デジタル複合機の開発・製造連携に富士通のVPSを活用している。設計部門から出た製品情報を製造部門がいったん持ち帰って検討する“生煮えデータ”による “お持ち帰りVDR”でフロントローディングが実現。開発途中の設計変更内容はPLEMIAで一元管理している。開発拠点の静岡県三島事業所と中国の工場間で遠隔地会議を活用した生産準備連携も実現するなどコラボレーションも進化している。

導入事例キーワード
設計品: デジタル複合機、POSシステム
ソリューション:
PLMソリューション
製品:
VPS

東芝テックの複合機「e-Studio166」東芝テックの複合機「e-Studio166」

コピー、ファクシミリ、プリンタ、スキャナの機能を1台に集約したデジタル複合機(MFP)。東芝テックの画像情報通信カンパニーの開発製品であるMFPは、流通情報ビジネスカンパニーのPOSシステムとともに東芝テックグループの主力製品である。MFPは開発を静岡県の三島事業所で行い、生産を中国・深の工場で行っている。

導入の決め手は下流で必要な機能の充実

金子 泰郎 氏 金子 泰郎 様
東芝テック株式会社
技術本部
本部長付
首席主幹

東芝テックでは“モノづくり力強化”を目指してMFPの設計・製造連携プロセス革新プロジェクトを推進中。そこで富士通のVPS(Virtual Product Simulator)が大きな役割を果たしている。「設計部門が作ったCADデータを製造用データとしてスムーズに活用するために導入しました。開発・生産・販売などすべての業務分野でプロセスイノベーションを同時に起こし、その相乗効果によって持続的成長を実現しようという全社の取り組みに沿ったものです」とプロジェクト責任者である東芝テック技術本部本部長付首席主幹の金子泰郎氏は語る。

同社は1999年1月、東芝から複写機事業を譲り受けるとともに、それまでの社名であるテックを現在の東芝テックに変更した。最初に取り組んだデジタルプロセス革新は、東芝の複写機事業の拠点だった東芝・柳町事業所とテックの三島事業所の双方のCADの統一。これにより両事業所間の設計部門の連携が実現した。しかし、3次元CADによってどんなに質のいいモデルができても、製造側で上手に生かされない限りフロントローディングは望めない。

同社では従来、生産準備作業を設計の出図完了後に行っていたが、製造側の要望を設計に反映させる余地が少なく、準備作業期間も十分に取れなかった。そこで、デジタルモックアップツールを使って出図前の設計情報を製造技術部門に渡し、生産準備作業を前倒しようと考えた。

4社のデジタルモックアップツールを比較検討したところ、富士通のVPSの評価が他を圧倒した。「単に3次元モデルを見るだけのビューワーならほかにもありましたが、それを使ってVDR以外の下流で必要な機能が充実していたことが一番のポイントでした」と導入担当の東芝テック生産本部情報システム部グループ技術情報システム担当主務の臼杵剛氏は語る。

また、CADのビューワー機能を使わずVPSを採用したことについて、東芝テック画像情報システムのデザインサポート部業務改革推進担当主幹、松本秀夫氏は「CADのデータを見られることもさることながら、後工程のものづくりで活用しやすいことに大きなメリットを感じました。EBOM(設計部品表)とMBOM(製造部品表)があるように、設計と製造は似て非なるもの。CADで作ったモデルは、そのままものづくりにはつながりません。それを前提に、1つのマスタモデルから双方が使いやすいようにこのVPSをカスタマイズしていただける富士通さんのソフトウェア開発力を評価しました」と語っている。

“生煮えデータ”による“お持ち帰りVDR”で出図前のデータを事前検証

臼杵 剛 氏 臼杵 剛 様
東芝テック株式会社
生産本部 情報システム部
グループ技術情報システム担当 主務

松本 秀夫 氏 松本 秀夫 様
東芝テック画像情報システム株式会社
デザインサポート部
業務改革推進担当 主幹

VPSの活用は大きく2つある。1つは、設計途中の“生煮えデータ”を使って製造部門で事前に形状の確認や組順などを検証する“お持ち帰りVDR(Virtual Design Review)”。もう1つは、組順から生産時間の検討や工程分割などを行う「製造性評価」である。前者は主として三島事業所における設計・製造技術連携、後者は三島事業所の製造技術部門と中国・深の工場の生産部門との連携である。

一般に、設計と製造技術部門の打ち合わせでは、設計部門がCADデータを使って製品構造や設計のポイントを説明する。しかし、その場ですぐ製造技術部門の人が、製造性や保守性について指摘することは至難の業である。そこで同社では、設計部門からVPSで設計途中の情報が出ると、製造技術部門ではその情報をいったん自らの部署に持ち帰り、製造技術のメンバーで製造や組立上の問題点を検証した上でフィードバックするようにした。他部門の人が、早めに自分たちが気づかなかったミスを指摘してくれることは、設計側から見てもモデルの完成度を上げるのに役立つ。こうした双方の誠実な対応が真のコラボレーションとなって実を結んでいるのである。しかも、検証結果を口頭で伝えるのではなく、きちんとリスト化し、設計部門に確実に伝わるようにした。

設計部門では出図の始まる約1カ月前から、VPSを使って1週間に1度程度の割合で"生煮えデータ"を提供する。製造技術部門のお持ち帰り期間は、原則として3日間を目標としている。

開発途中の設計内容はPLEMIAで管理 日中間の遠隔地会議も実現

e-StudioシリーズのVPS画像

e-StudioシリーズのVPS画像

設計部門が提供する3次元データは、時間の経過とともに変更されるものも少なくない。これに対しVPSでは、生産準備を行った3次元データと、新たに入手した3次元データを対比して確認することができ、部品の削除、置き換え、形状変更、移動を考慮した作業が可能である。さらに同社では、こうした開発途中の変更内容を「差分伝播情報」として富士通のPDMシステムPLEMIAで一元管理することで、使いやすくした。

一方、製造性の検証も早いタイミングでできるようになった。三島事業所と中国の工場間でVPSデータを共通言語として、同じ画面を見ながら行えるからだ。これにより、作業者の習熟度に合わせた工程の組み直しなど、組立手順の検討を中国工場独自で行えるようになった。

MFP開発へのVPSの適用は、2006年4月の開発モデルから本格的に始めた。現時点では前機種のデータ整備作業を平行して行っているため、定量評価を行うことは難しいが、「マイナーチェンジを含む5機種の開発を行った現在、試作後の手戻りが20%程度削減できたことを実感している」(松本氏)。今後は生産設備計画との連携にもVPSを役立てる考えだ。

【会社概要】

東芝テック株式会社

  • 本社:東京都品川区東五反田2-17-2 オーバルコート大崎マークイースト
  • 設立:1950年(昭和25年)2月
  • 資本金:399億円
  • 従業員:3950人(連結:1万9958人)
  • 事業内容:BtoBに特化した東芝グループの情報機器メーカー。デジタル複合機(MFP)の製造販売を中心とする画像情報通信カンパニーと、POSシステムを提供する流通情報システムカンパニーが事業部門の柱。国内3カ所、海外5カ所の製造拠点と国内外合わせて約100カ所の販売拠点がある
  • URL:http://www.toshibatec.co.jp/Open a new window