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Fujitsu

Japan

VPS 導入事例

京セラミタ株式会社 様


「試作回数1回」を目標に開発期間短縮に取り組む
指導書作成工数でも30~40%の大幅削減の効果

京セラミタ様は、製品の開発期間短縮のため、富士通のVPSを活用し、開発の初期段階における設計検証レベルの向上と早期生産準備のための開発・製造部門の協業体制づくりに取り組んできました。導入スタートから約3年。開発のフロントローディング化をはじめ、製造部門の作業指導書作成工数の30~40%削減など、大きな効果が現れています。今後、ハーネス設計や電気系CADとの連携のほか、Concurrent Design Managerと連動した設計業務の効率改善、組立評価システムへの適用、海外工場との生産連携の強化などに役立てていく方針です。

導入事例キーワード
設計品: カラー複合機
ソリューション:
PLMソリューション
製品:
VPS

京セラミタの最新鋭カラー複合機 京セラミタの最新鋭カラー複合機

京セラミタ様では2002年以降、BI(Business Innovation)プロジェクトの名のもと、全社を挙げて社内の業務改革に取り組んできました。SCM(Supply Chain Management)、CRM(Customer Relationship Management)と並ぶ同プロジェクトのメインテーマの一つが「商品開発」における業務革新です。目標を「開発期間の短縮」に定め、 目下、開発・製造に関わる各部門で努力が続いています。

仮想試作機により「試作回数1回」達成を目指す

福田 英生 氏 福田 英生 様
京セラミタ株式会社
第1技術本部
第1統括技術部
第12技術部
部責任者

開発期間を短縮するためには、開発のフロントローディング化が不可欠です。そこで京セラミタ様では、CADとVPS(Virtual Product Simulator)を活用した3次元モデルのデータ活用と、それによるメカ設計の効率化に取り組んできました。

京セラミタ様がこの1~2年で構築した開発プロセスの特長は、設計後、実機試作を行う前段階で、データによる設計検証を実施し、設計品質を高めることと、実機試作の回数を減らし、本来実機で行うべき検討内容のみ確認するようにしたことです。

このプロジェクトは社内ではVDR(Virtual Design Review)と呼ばれ、従来2~3回行っていた試作を、仮想試作機によって、実機試作を最終的に1回で見極めることを目標にしています。 京セラミタ様ではBIプロジェクトが発足した時から、富士通のVPSに注目していました。しかし、効果がはっきり確認できるまでは導入せず、多くを準備期間に費やしました。

本格導入は2004年4月。だがその直前まで、VPSの機能評価と平行して既存の業務プロセスの問題点を分析し、運用方法を決めるなど、周到に準備しました。

1製品をモデルに業務改善期待値を確認
設計・開発工程の後工程でも有効

堀川 仁志 氏 堀川 仁志 様
京セラミタ株式会社
生産本部
MFP1事業部
製造技術部
製造技術2課

林 之久 氏 林 之久 様
京セラミタ株式会社
第2技術本部
第5統括技術部
第52技術部MD2課
課責任者

特筆に値するのが、VPS導入によるフロントローディング期待値の算出です。1製品をモデルにして、開発時の問題点を抽出して実測値を出す一方、VPSを導入した時の改善効果、いわゆる期待値を比べました。

それによると、1次試作~2.5次試作、さらにDMT(開発部門での金型試作)、PMT(量産前確認の金型試作)、そして市場に出た段階までの全開発プロセスにおける問題点は、総数にして約2200件。中には、動的(機構)な干渉、組立・分解の干渉、取り付け時の作業性が悪い、などの致命的な問題も含まれました。

これらの問題点を「致命度」によってランク付けし、さらに開発工程ごとに割り振りました。

こうして分析を行うと、既存プロセスの問題点がはっきりと浮かび上がりました。京セラミタ株式会社第1技術本部第1統括技術部第12技術部の部責任者、福田英生様は「実測値で最も問題発生の多かったのは、PMTなどの下流工程であり、これらが開発期間短縮の足かせになっていることが分かりました。しかも、その多くがVPSで検出できることだったのです」と語っています。

京セラミタ様では当初、VPSを主に設計・開発工程の効率化に使おうと考えていました。しかし、期待値の算出結果から明らかになったのは、それだけでなく、後工程の業務改善に有効なことが分かったのです。

開発・製造の連携で顕著な効果
新組立評価システムの構築も

量産中の最新鋭カラー複合機のVPS画像 量産中の最新鋭カラー複合機のVPS画像

実際、効果が顕著に現れているのが製造技術部門です。「従来、我々は開発部門で試作品が出来ない限り、情報を得られませんでした。物を見て、初めて組立手順などの工程設計や作業指導書の作成にとりかかれたのです。しかし今では、開発部門でモデルを作成した時点で、我々なりの評価が行えるので、試作品ができる前に、改良すべき内容などを開発側にフィードバックできるようになりました」と京セラミタ様生産本部MFP1事業部製造技術部製造技術2課の堀川仁志様は語っています。

その結果、工程設計がスピードアップされ、指導書の作成工数も30~40%削減されたといいます。

右上の画像と同一個所の写真 右上の画像と同一個所の写真

製造技術部門では、次なるステップとして、新組立評価システムを構築しています。設計自由度の高い構想段階から、3次元データによる組立評価を行える環境をVPSに実装中です。評価項目も従来の内容を見直し、新たに体系化しています。併せて組立評価と同時に組立工数を算出するデータベースを構築することで、一層のフロントローディングに寄与することが狙いです。

ところで、BIプロジェクトが始まった当初、VPSの導入計画はなかったといいます。その理由は「ハイエンドCADとそれに付随するビューアを使って設計・検証を行おうとしていたからです」と京セラミタ株式会社第2技術本部第5統括技術部第52技術部MD2課の林之久様は説明します。「しかし、一般のビューアは、単にCADで作成した特定個所のモデルを見せるだけのツールであり、とても設計検証に使えなかったのです。今から振り返ると、早い段階でVPSに切り替えることができたのが幸運でした」。

今後の課題は、ハーネス設計の定着化や電気系CADとの連携、Concurrent Design Managerと連動した設計業務の効率改善、事例検索によるナレッジ開発システムの構築などです。開発期間短縮に向けた取り組みは、ますますハイレベルなものになりそうです。

【会社概要】

京セラミタ株式会社

  • 本社:大阪市中央区玉造1-2-28
  • 設立:2000年(平成12年)1月18日(1934年創業)
  • 資本金:120億円
  • 従業員:1万2160人(京セラミタグループ全体、2006年3月末現在)
  • 事業内容:京セラグループの一員として、プリンタ、複合機、ファクシミリおよびサプライ製品を製造販売する。世界に26の販社と4つの生産拠点を持つ。環境保全と経済活動の両立を目指し、全商品がエコシス(ECOLOGY=環境性、ECONOMY=経済性、SYSTEMから成る造語)コンセプトに基づいて製造されている。
  • URL:http://www.kyoceramita.co.jp/Open a new window