2015年1月26日公開
富士通総研 経済研究所 主席研究員
榎並利博
マイナンバー制度を簡単に表現するならば、国民一人ひとりにマイナンバーを付け、法人には法人番号を付けて、行政手続きを効率化するとともに国民の利便性を高めようということに尽きる。そして、プライバシー問題が起きないよう、国民に個人番号カードを交付し、個人情報保護に気をつけながらマイナンバーを使っていくことになる。一方、法人についてはプライバシーとは無関係のため、法人番号はインターネットで公開され、誰でも自由に使うことができる。
10年前稼動した住基ネットの住民票コードは、秘匿すべき番号であり他人に見せてはいけない、民間企業での利用を一切禁止するなど非常に制約の強い番号であった。さらに、税の目的で住民票コードを使わないことが国会で付帯決議されたため、実質的に社会のなかで使われる番号制度にはならなかった。これに対してマイナンバーは、明示的に他人に見せて使うことができ、民間企業でも社会保障や税の事務手続きで使っていかなくてはならない番号となる。個人番号カードは住基カードの後継という位置付けとなり、マイナンバーと顔写真が記載され、他人のマイナンバーを騙る「なりすまし」を防ぐという役割を果たす。
マイナンバー制度の特徴とは、情報提供ネットワークシステムを使用して個人情報のやり取りを実現することにある。マイナンバー制度が実現しても個人情報が一元管理されるわけではなく、それぞれの機関が個人情報を従来どおり分散したかたちで管理する。そのため、他の機関が保有している個人情報を利用する場合、必ず情報提供ネットワークシステムを介して個人情報を提供してもらうことがマイナンバー制度のルールである。情報保有機関どうしが、勝手にマイナンバーの付いた個人情報をやり取りすることは法律違反となる。
例えば自治体の現場では、各種証明書などを添付した届出・申請などの手続きが行われている。住民は各情報保有機関から証明書を発行してもらい、それを届出・申請書等に添付して自治体の窓口に提出するという面倒な手続きを行っているが、今後はそのような証明書添付は不要となる。手続きで必要な証明書の情報は、自治体職員が情報提供ネットワークシステムを介して、情報保有機関から直接入手できるからだ。
なぜわざわざ情報提供ネットワークシステムを介して、個人情報のやり取りをするのか。情報提供ネットワークシステムでは、相互の個人情報のやり取りが適法であるかを常にチェックし、違法な個人情報の提供を排除すると同時に、個人情報の取引をすべて自動的に記録している。つまり、特定個人情報保護委員会や国民自らがマイポータルを介してこの記録にアクセスし、個人情報のやり取りに不審な点はないか、情報保有機関の行動を逐一監視することで、国民のプライバシーを保護する仕組みを実現しているのである。
では、住基ネットはまったくの無駄だったのだろうか。実は、マイナンバーや情報提供ネットワークで個人情報をやり取りする時の符号は、住民票コードから生成される。つまり、マイナンバー制度は住基ネットの基盤の上に構築されているのである。
実際にお客様よりいただいたご質問に対する、本コラムの著者である榎並氏の回答をご紹介します。
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Q1
日本在住の外国人はどの範囲までマイナンバーが付与されるのでしょうか。(永住者のみなのか、それ以外にも付与される場合、どこまでなのか、など)
Q2
マイナンバーはどのように作られているのでしょうか。どんなロジックなのでしょうか。
Q3
通知カードをなくした場合、本人がマイナンバーの再交付を受ける方法ありますでしょうか。
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