ユーシーカード株式会社様
このページの情報は、2005年に掲載されたものです。
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2003年9月。会計システム再構築プロジェクトは、いよいよ第2次フェーズに入った。
「第2次フェーズでの最大の目的は、本来目指していた会計データの戦略活用の実現です。経営トップからも、経営判断のベースとなる精度の高い会計情報を提供するよう、強い要請がありました」と柴田氏は語る。
またこれに加えて、もう一つ大きな業務要件が課せられた。それは決算日程の早期化である。
UCカード 財務部 シニアマネージャー 増田 勝氏は「2002年4月の経営統合によって、当社はみずほフィナンシャルグループの一員となりました。当然決算業務においても、みずほグループの連結決算に対応できるよう、業務のスピードを上げていかなくてはなりません。正確な決算データをできるだけ早く提供できるよう、様々な取り組みを行いました」と語る。
第2次フェーズにおける取り組みの具体的な内容としては、「勘定科目・費目・細目の整理」「費用収益計上基準・締切日の統一」「発生源入力の拡充」「債権債務管理システムの導入」などの項目が挙げられる。
「業務の洗い出しを行った上で、新たな業務カテゴリ/分類コードに基づく体系作りを行いました。特に細目の整理についてはかなり力を入れて取り組み、費用構造の明確化を実現しています。何のために費用をいくら使ったのか、それは間接費か直接費かといった点を明らかにすることで、原価計算や月次の損益、さらには部門別の損益などを非常に高い精度で管理できるようになりました。しかもGLOVIA/SUMMITには色んな切り口でデータを抽出できる『DataViewer』が用意されているため、いま述べたような分析作業を迅速に行えます。これは大きな進歩と言えます」と塩瀬氏は語る。
「またこうしたデータは実績の把握に留まらず、次年度の目標設定や予算計画にも活用できます。会計情報の精度が飛躍的に高まったことで、経営トップのデータに対する信頼度も大幅にアップしました」と柴田氏も続ける。
発生源入力については、Web入力機能をアドオン開発して、本格的な展開が進められた。
「従来は各拠点から伝票起票用の資料を送ってもらって財務部で起票する、あるいはExcelシートにまとめたデータを財務部でExcel仕訳に変換して投入する形で業務を進めていました。しかし基本的には、仕訳が発生する部署でそのまま入力した方がスピーディーに業務が行えます。そこで各部署に説明して、直接仕訳入力を行う方式に転換しました」と増田氏は説明する。
もっともWebを使った発生源入力を推進する上では、一つ注意すべきポイントもあった。それはデータの精度をどう確保するかという問題である。以前は各部署と財務部の両方で伝票のチェックを行っていたが、発生源入力を行うとなると財務部でのチェックは行われなくなる。このため異常なデータを自動的にチェックする仕組みが必要になったのだ。
「コンサルタントに業務分析を行ってもらった際にも、効率化のためにはチェック作業を減らすことが必要との指摘がありました。とは言えデータの精度を落とすわけにはいかない。そこで入力されたデータをオンラインでチェックする仕組みを新たに構築。またExcelシートで送られてくるものについても、システムへのアップロード時にチェックを行う仕組みを作りました」と小関氏は語る。
こうしたデータ活用の高度化に向けた取り組みと並行して、業務改善の観点から取り組まれたのが、債権入金管理システム、債務出金管理システムによる債権・債務管理業務の効率化である。
「債務出金業務については第1次フェーズ時から取り組んでいましたが、以前はファームバンキングを使った振り込みの自動化に留まっていました。それ以外にも銀行口座引き落としや現金出金など様々な出金形態がありますので、これら全体をカバーできる債務出金の仕組みを作りました。また同時に債権管理についても、入金を総合的に管理できる仕組みを構築。新しいシステムでは、この両方のデータを一元的に管理できるようになっています」(増田氏)。
たとえば資金繰りの調整などについても、以前は様々なデータを手作業で集計していた。取引銀行数が多いだけに、作業には相当の労力を必要としたという。しかし入金データと出金データがトータルに管理できるようになったことで、債務出金・債権入金業務の大幅な効率化が実現。増田氏は「債権入金管理システム、債務出金管理システムは2004年10月に導入しましたが、既に資金繰りの効率化などのメリットが現れています。今後データの蓄積が進めば、より効果が上がると期待しています」と手応えを語る。
懸案であった決算日程の早期化も、無事実現することができた。旧システムの時代には、経営トップが集まる会議当日の朝まで徹夜し、ギリギリで資料を間に合わせたこともあったという。
「しかし現在では、遅くとも二日前までには決算資料の作成を完了。残りの日程で、会計情報の分析作業なども行えるようになりました」と力強く語る柴田氏。増田氏も「業務の標準化を進めたことで、当社の決算業務に精通していない人員でも処理が行えるようになりました。また従来は特定のデータをチェックしようと思ったら膨大な紙帳票を調べる必要がありましたが、今ではDataViewerを使って即座にデータを探し出せます」と続ける。
富士通のサービス・サポートに対しても高い評価が寄せられている。塩瀬氏は「システム的には素人の我々を確実にバックアップし、熱意と誠意を持ってシステム構築に取り組んでくれました。何かあった時の対応も非常に素早く、非常に助かりましたね」と満足げに語る。
GLOVIA/SUMMITで次世代の会計業務インフラを実現したUCカード。しかし挑戦はまだまだ続いている。柴田氏は今後の抱負を「今回構築した環境を用いれば、他のパートナー企業の会計業務受託など、これまでにない分野に事業展開を行っていくことも可能です。こうしたインフラが実現できた意義は非常に大きい。『攻めの経理』をさらに進めていく上で、GLOVIA/SUMMITをより活用していきたい」と熱く語る。
[図]DataViewer画面
[図]振替伝票入力画面(振替仕訳)
[図]現場承認選択画面