パナソニックモバイルコミュニケーションズ株式会社様

GLOVIA FORUM セミナーレポート glovia.com導入事例「ハイテク製造業におけるグローバルPSIの実現」〜パナソニックモバイルコミュニケーションズ株式会社様 (旧社名：松下通信工業株式会社様)〜 2

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グローバル連携によって生産の効率化を目指す

パナソニックモバイルコミュニケーションズ株式会社
旧社名：松下通信工業株式会社補足）
情報通信システムセンター所長
安尾勝彦氏

これに続いて、国内拠点においても、生産システムを再構築した。松下グループではもともと、日本国内で構築したシステムを海外に展開するケースが多いという。だが今回は逆に、先に海外展開したシステムを日本の生産システムに導入する手法が採用された。

安尾氏は「国内においては、まず携帯電話事業へ適用しました。携帯電話事業は、国内市場においては急激な普及の終焉と商品ライフサイクルの短命化、海外市場においては端末の低価格化と競争激化、拡大する市場環境の激変といった課題を抱えています。こうした状況に対応するためには、グローバルな生産体制を確立する必要がありました」と語る。

携帯電話の事業特性としては、「小型・軽量・高付加価値化」「生産プロセスは同一」「規格統一が進んでいる」「直接労働人件費比率は低い」といった点が挙げられる。たとえば、原価の内訳を例に取ると、液晶パネルや半導体、ソフト開発などの比率が直労人件費よりもはるかに高い。つまり、一般消費財と違って単純に海外生産すればコストが下がるというものではなく、「『最適地生産』『最適地購買』が極めて重要」(安尾氏)なのである。

「従来は、グローバルな生産コントロール体制が不明確で、拠点ごとに業務レベルやビジネスプロセスが異なるなど、様々な課題がありました。そこで、『グローバルなPSI(生産・在庫・販売)の把握によって意思決定のスピードアップを図る』、『グローバルな業務標準化によって事業環境変化への対応を図る』の2点の実現を目指しました」と安尾氏は説明する。

このために同社が推進したのが、世界中に展開する生産拠点のグローバル連携である。「コックピットセンター」と呼ばれる集中コントロール機能によって、グローバルなPSI立案・調整やグローバル集中購買が行われる。これによって、課題であった意思決定のスピードアップ、リードタイムの短縮、経営ロスの削減を実現しようとするものである。

現在は、日本でキー部品の調達・北京で基板の生産、チェコで組み立て生産を終えたのち、欧州市場へ出荷するといった形でグローバル連携が行われている。

グローバルPSIの最適化を「glovia.com」で実現

グローバル連携を支えるシステムの中核に採用されたglovia.com。その選択のポイントはどこにあったのだろうか。安尾氏は「経営目的として掲げたのは、『グローバルシェア15%以上を獲得するための経営基盤確立』『グローバルに連携されたPSIコントロール』『急激に変化する市場環境変化への俊敏な対応』の3点です。これを支えるシステムには、グローバルな生産活動をリアルタイム・フルタイムサポートできること、グローバルなシステム統合が行えること、最新ITの活用によって環境変化に迅速に対応できることなどが求められます。ところが、こうした要件を満たすシステムを、手作りで実現することは困難だったのです。そこでまず、パッケージによる構築を選択しました」と説明する。

既存のシステムでは、生産管理・販売・材料会計・製品会計などのシステムが個別に構築されていた。このためデータ連携を柔軟に行うことができず、メインテナンスにも大変な手間がかかっていた。新しいシステム基盤には、こうした従来の問題を解消し、グローバルなビジネス展開を支えることが求められたのだ。

「最終的には2つのパッケージに的を絞って検討したところ、既に海外拠点で実績を挙げていたこと、高速な処理能力によってタイミングよくMRPを処理できること、PSIの一元管理が可能であること、さらに、富士通とGLOVIA Internationalの充実したバックアップ体制を評価し、glovia.comを選択しました」と安尾氏は語る。

補足松下通信工業株式会社は、2003年1月1日付で、パナソニックモバイルコミュニケーションズ株式会社に、社名変更されました。