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VOICE ~ETERNUSの現場から

1つの技術・製品は、開発、販売、サービスなど、数多くの担当者の手を経て世に送り出されます。「VOICE ~ETERNUSの現場から」では、富士通ストレージシステム「ETERNUS(エターナス)」の技術・製品にかかわる担当者にスポットをあてて、開発や販売にまつわるエピソード、製品への熱い想いなどを紹介します。

ネットワークディスクアレイ「ETERNUS NR1000F series」
優れたOEM製品を信頼性とともにお客様に提供

今回は、ネットワークディスクアレイETERNUS NR1000F seriesについて。世界NAS市場をリードするNetAppのファイルサーバ製品をOEM化することになった理由や経緯、国内市場のトップシェアを誇る同製品の強みや展望を聞きました。


  • 富士通株式会社
    ストレージシステム事業本部
    ストレージソリューション事業部
    • シニアスタッフ
      金子 悟
    • プロジェクト課長
      阿部 忍
    • 土屋 直史

――1999年2月、富士通初のNAS製品が出荷された。現在NASの国内市場でトップシェアを誇るETERNUS NR1000F seriesの第1号機だ。ETERNUS NR1000F seriesは、世界のNAS市場をリードするNetApp, Inc.(以下、NetApp)のOEM製品である。富士通は早くからネットワークストレージの将来性に着目し、SAN対応のディスクアレイを自社開発するかたわら、NASについてはあえてOEMという手段を選択した。

NetApp製品をOEM化することになったきっかけは?


金子近影

(金子)1997年に、当時の代表取締役副社長の丸山武氏がNetAppの首脳陣に製品を紹介してもらう機会がありました。その際にNetApp製品に感銘を受けた丸山氏から、製品について詳しく調べるように指示があり、私ともう1名の担当者が米国に出張に行き、その調査結果の報告によりNetApp製品のOEM化が決まりました。

OEM化を決定した理由は?


(金子)実は、富士通では早くからネットワークストレージの可能性について議論をしており、1991年頃からファイルサーバに関して技術的な検討も行っていました。ところが、当時はファイルサーバに対するニーズがほとんどなく、イーサネットもまだ普及していませんでした。ファイルサーバを開発するための技術要素が不十分だったのです。そのため、時期尚早として製品化を一度断念したという経緯がありました。
NetAppは、そのときに富士通でやりたいと考えていたものをNAS製品として実現していました。自分たちが作りたかったのはまさにこのような製品だ、と。それが決め手の1つです。
もう1つは開発期間です。当時の富士通は、ファイルサーバで利用されるNFS(Network File System)というプロトコルに精通しているエンジニアがあまりいませんでしたが、NetAppには、仕様策定や標準化に携わっていた、NFSの第一人者が何人もいました。NetAppと同じレベルの製品を開発するまでには何年もかかるだろうという試算結果もあり、NetAppと協力関係を築くことが有益であるとの結論に達したのです。

――1998年、OEM化に向けての取り組みが本格的に始まった。製品を徹底的に調査し、テストすることはもちろん、販売推進、品質保証、工場といった各種部門との社内調整、NetAppとの契約処理などの作業も並行して行われ、1999年2月に販売を開始。最初は順調とは言えなかったが、確実に売上実績を伸ばしていき、2000年代後半には国内NAS市場でトップシェアを獲得することになる。

販売開始時に苦労したことは?


(金子)富士通にとって、ハードウェア、ソフトウェアを含む完全な製品を購入してOEM製品として販売するのは、ETERNUS NR1000F seriesが初めてのケースです。そのため、契約に関して前例がありませんでした。お盆休み中に英語の契約書のドラフトを自分で作成して、法務に無理を言って大急ぎでチェックしもらい、それからわずか3ヵ月足らずという驚異的なスピードで、1998年11月初めにNetAppとの契約を締結できました。
販売開始後には、全国の営業本部や営業所を回り、営業担当に手取り足取り製品について教育を行いました。ETERNUS NR1000F seriesを購入していただくには、お客様にファイルサーバがどのようなものか、ETERNUS NR1000F seriesがどのような製品かを知っていただかなければなりません。そのためには、まず営業に製品知識を身に付けて貰う必要があります。当時はオープンシステム向けのストレージ製品の拡販を行う部署がなかったため、これも自分たちで行いました。


1998年発表当初のETERNUS NR1000 ネットワークディスクアレイ

2000年代半ばから急激に売上実績が伸びた要因は?


(金子)製品を販売する営業担当や製品サポートを行う保守担当を含め、製品に関わる各人の努力が実を結んだというのが一番の理由です。ただ、市場拡大の追い風となる技術の進歩もいくつかありました。
まず、ネットワークテクノロジーが進化し、インフラの整備が進んだことが挙げられます。昔は、ネットワークがない、あるいはネットワークの性能が悪いために、導入できないというお客様が多かった。今ではギガビットイーサネットが当たり前ですから、大量のユーザーがファイルサーバにアクセスしても、ストレスを感じずに利用できます。

阿部近影

(阿部)Windowsのファイル共有機能が強化されたことも大きいでしょう。ETERNUS NR1000F seriesが出た当初、開発などの業務で大量データをNFSで共有するというニーズを持ったお客様にはすぐに受け入れられましたが、スタンドアローンのパソコンで十分というお客様が大半でした。その後、パソコンの普及とともにWindows上でのExcelやWordの利用が業務に不可欠になると、業務データが急増し、さらにそれを共有したいというニーズが出てきました。Windows 2000以降は、TCP/IPベースのファイル共有プロトコル、CIFS(Common Internet File System)やネットワーク上のユーザーやリソースを包括的に管理するActive Directoryが標準で実装されています。富士通社内でも導入して活用していますが、ETERNUS NR1000F seriesのように信頼性の高いファイルサーバ専用製品を利用して、Windowsベースで部門ごとではなく全社的に容易にファイル共有を行えるようになったのです。ETERNUS NR1000F seriesは複数のファイル共有プロトコルをサポートしていますが、今ではNFSよりWindowsからCIFSでファイル共有を行う事例がほとんどです。

国内NAS市場シェア第1位を獲得した、この製品の強みは?


(金子)国内では富士通以外の企業もNetApp製品を販売していますが、その多くはリセールです。つまり、NetAppから製品を購入して販売し、保守などは他社に委託する形態がほとんどです。一方、富士通は、OEMとして部材を入手し、富士通の品質・製造工程を経てETERNUS NR1000F seriesという富士通製品として出荷するため、お客様のもとへ品質の高い製品をお届けできます。また、お客様からの問い合わせがあったり、問題が発生したりした場合にも、富士通が責任を持って対応します。保守についても全国にいる8,000名もの保守担当により迅速な対応が可能です。優れた製品であることに加え、このようなサポートの体制や品質、信頼性がお客様に評価された結果、トップシェアを獲得できたのだと思います。

――ETERNUS NR1000F seriesはOEM製品である。NetAppから新しい製品が出てから富士通製品として出荷するまでのプロセスは自社開発製品とはどう異なるのだろうか。OEM製品ゆえの制約などもあるだろう。また、ETERNUS NR1000F seriesは、どのような場面で利用すると効果的なのか。SAN対応のディスクアレイ製品とはどのようにすみ分けが行われているのか。

OEM製品の出荷プロセスは?


(阿部)NetAppから新しい製品が出ると、まずその製品の評価を行い、機能が間違いなく動作するか、性能はどうかなどをハードウェアとソフトウェアの両面から確認します。また、問い合わせなどにも対応できるように機能の徹底調査も行います。製品そのものに手を加えることはありません。評価の結果は社内の営業担当や保守担当に渡すハンドブックにまとめます。また、インストールや設定のための日本語マニュアル作成も行います。
事業部での評価が終わると、品質保証部門に渡して評価を行ってもらいます。事業部を出てから出荷するまでのプロセスは自社開発製品と同じです。事業部での評価作業が、自社開発製品での設計作業に当たります。

OEM製品であるがゆえの制約などは?


土屋近影

(土屋)富士通として品質を保証するために、製品の評価は漏れなく行う必要があります。しかし、他のリセラーに負けないためには、一刻も早く新製品を出荷しなければなりません。時間をかけて徹底的に評価したいが早く製品を世に出したいという、相反する気持ちの板挟みになることがちょっとつらいです。そのジレンマを解消できるように、リードタイムを短縮するためのいろいろな工夫をしています。
また、製品には手を加えないので、不具合などがあると、NetAppに修正を依頼します。以前は、日本法人を介して米国の本社と情報をやりとりするために、時間がかかったり一度で思うような回答が得られなかったりしてもどかしい思いをすることもありました。現在では日本法人とより良い関係を築くことで、このような問題がないように努力しています。

NAS製品とSAN対応製品の違いは?


(金子)ETERNUS NR1000F seriesなどのNASは、NFSやCIFSなどのファイル共有プロトコルをベースにしています。NFSやCIFSは複数ユーザーからのアクセスに対し、ファイル単位でデータを転送します。そのため、多くのユーザーがサーバ上のファイルを共有して作業を行うような環境に適しています。
一方、SAN対応のディスクアレイを接続するFC(Fibre Channel)というプロトコルは、SCSI(Small Computer System Interface)をベースにします。SCSIはもともとコンピュータと周辺機器を接続するためのプロトコルで、基本的には1対1で接続を確立してブロック単位で転送を行います。そのため、FC接続のSAN対応ディスクアレイは、データベースなどのように、ユーザー数が限られた環境で大量のデータを高速に転送する用途に威力を発揮します。多数のユーザーによるファイル共有は少し苦手です。

――最後に、動向を注目している技術、今後の展望、そしてETERNUS NR1000F seriesへの担当者ならではの熱い思いを聞いた。

今後の展望は?


(金子)今後はストレージ仮想化とストレージ統合がキーになっていくでしょう。ストレージ仮想化は物理的な詳細を隠して論理的に大きなストレージプールを提供する技術です。ストレージ統合は、部門ごとのサーバに設置していたストレージを、全社的に利用できる大きなストレージに統合しようというもの。どちらも、大勢のユーザーによりさらに便利にファイル共有を行おうという概念と言えます。
同様に、シンクライアントもさらに注目されると思います。シンクライアントはセキュリティなどの問題から、クライアントには最低限の機能のみを実装し、アプリケーションやデータの多くをサーバ側に持たせようという考え方です。クラウドによるサービスが普及すれば、シンクライアント化も進んでいくでしょう。
いずれもお客様がより便利にシステムを利用できるようにするための技術です。これらの技術の動向に注目し、お客様のニーズを適格にとらえ、そのご要望に十分応えられる優れた製品を今後も提供していきたいと思います。

自分にとってETERNUS NR1000F seriesとは?


(金子)ETERNUS NR1000F seriesは世界の最先端をいく製品です。NetApp社もそれを自負していて、次々と新しい機能を出してくる。自社開発製品とは異なり評価や保守において大変なこともありますが、世界レベルの新しい技術を手掛けられる点がとても魅了的だと思っています。

(土屋)入社の翌年からずっとETERNUS NR1000F seriesを担当しています。他の製品に興味がないと言えば嘘になりますが、この製品を担当することで、何よりもNAS市場のトップであるNetApp社の最新技術に触れられることにやりがいと楽しさを感じています。

(阿部)初めてNetAppの製品を導入したとき、それまで使っていたファイルサーバと比べると格段に性能が良く、可用性も高くて、仕事の生産性が劇的に改善されました。縁があって今の部署に移り、ETERNUS NR1000F seriesを長く担当していますが、まったく飽きることがありません。今でもこの製品に愛着を感じています。

――2010年10月、富士通はNetAppとグローバルアライアンス契約を締結した。NetAppとの協力をより密にすることで、より優れた製品の提供が可能になる。今後もお客様にとっての価値を常に考えながら、積極的に製品の提案・提供、サポートの充実に取り組んでいきたい。

(注)取材日:2011年1月14日
本稿記載の肩書きや、固有名詞等は取材日時点のものであり、このページの閲覧時には変更されている可能性があることをご了承ください。

次回 『LTO対応テープライブラリなど「ETERNUSテープ製品」
半世紀にわたる磁気テープ装置の変遷と富士通の開発の歴史』

掲載日:2011年3月1日


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