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第3回 データ量の増加への対応

連載3回目となる「ストレージ市場動向」。第1回からストレージ管理における課題にフォーカスしてきた。今回も引き続いて「データ量の増加への対応」を取り上げたい。第1回に「バックアップの課題」を紹介したが、その際の課題の2番目として「データ量の増大への対応」があげられていた。管理者はこのデータ量の増加に、どのように対応しようとしているのだろうか。思わぬ秘策があるのだろうか。

(注)本連載ではIDCのレポートを基に、中小規模の企業=1人~999人以下、大規模の企業=1000人以上と定義している。

データ量の増加への課題

上記グラフに示したように「データ量の増加への対応」は、ストレージ管理者を悩ます最も大きな課題の1つである。これを裏付けるほかの調査もあるので紹介したい。「ファイルサーバ運用管理の課題」である。

これに関しては「データ量増大への対応」が抜きん出てトップ(52.1%)となっている。ファイルサーバは業務アプリケーションのデータベースに蓄積しない非構造型データが多い。一般のビジネス文書、画像・動画などの大容量データがファイルサーバを圧迫しているのではないかと考えられる。

課題解決のための投資

IDCではストレージ投資の重点項目を調査している。これは先にあげたストレージ管理の課題と対をなしているパターンが多い。トップが「バックアップの効率化」、次に「データ量増大への対応」、そして「セキュリティの強化」「災害対策」などが続いている。
データ量増大が避けられない課題となっており、そのための投資もやむを得ないと多くの企業は考えているのである。

外付型ディスクストレージシステム容量の利用率は?

「2009年度のストレージ投資の重点(トップ10)」からもわかるように、多くの企業が「データ量増大への対応」を大きな課題とし、そのための投資を考えている。
では、それほどストレージ容量にゆとりがないのだろうか。これもIDCで調査しているので確認したい。

下のグラフから見ると、意外と利用率の低いことがわかる。中堅規模では、20%未満と20%~30%未満がともに20.8%。これは30%未満が41.6%ということで、半分近くは30%未満しか使用していない。

外付型ディスクストレージシステム容量の利用率を上げる技術の利用状況

「データ量の増大への対応」として「投資」は必要だが、その具体的な投資内容までIDCは調査していない。だが、一般的に2つの方向が考えられるだろう。1つは当然のことながら「ストレージの買い足し」。もう1つが「ストレージ容量の利用率を向上させる技術の導入」である。

後者については、IDCが調査している以下「外付型ディスクストレージシステム容量の利用率を上げる技術の利用状況」から見てみる。これは999人以下の中小規模企業の場合であるが、「導入時の容量設計の最適化」が導入済みとして40%近くあり最も大きく、続いて、「2次ストレージへのアーカイブ(退避)」「中小型モジュラーストレージ利用」「重複排除機能(デ・デュプリケーション)の利用」「ストレージ容量の仮想化技術(シン・プロビジョニング)の利用」となっている。

総じて導入済みの技術は多いとは言えないが、実はこのあたりに「データ量の増大への対応」における模索が現れているのではないか。
例えば「2年以内に導入」「検討しているが時期未定」部分に注目してみる。「導入時の容量設計の最適化」「2次ストレージへのアーカイブ(退避)」は約30%。つづく「中小型モジュラーストレージ利用」「重複排除機能(デ・デュプリケーション)の利用」「ストレージ容量の仮想化技術(シン・プロビジョニング)の利用」も、20%以上の企業が導入検討を意識しているのがわかる。

「ストレージの買い足し」以外の秘策とは?

確かに現状を見る限り、「ストレージ容量の利用率を向上させる技術の導入」はあまり行われていない。おそらく、急増するデータ容量に追われ投資を検討しているものの、そのほとんどは「ストレージの買い足し」で対応していると思われる。
しかし、先述のとおり「ストレージ容量の利用率を向上させる技術の導入」への将来への期待は確実にあり、ここに「データ量の増大への対応」の秘策があるのではないか。
もっとも、これら技術が活発に導入されていない背景には、中小規模レベルの企業の、人員の確保や時間の限界や不安があるのかもしれない。これら技術の導入に関して、ストレージベンダーのさらなる啓蒙も必要となるだろう。

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掲載日:2009年7月14日


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