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Fujitsu

Japan

第2回 2009年度 スキル/人材不足の課題解決

ストレージ管理者が知りたいと思われる最新情報をお届けする「ストレージ市場動向」。第1回はバックアップにフォーカスしたが、その中で、中小規模の企業では「バックアップの効率化」と「データ量増大への対応」に続いて、「ストレージ管理者のスキル不足」「ストレージ管理者の不足」が続いていることを指摘した。そこで今回は、本社はもちろんブランチオフィス(本社以外の拠点)も含めて、中小規模の企業がどのようにスキルと人材不足の課題を解決しようとしているのか、IDCのレポートを基に分析してみたい。

(注)本連載ではIDCのレポートを基に、中小規模の企業=1人~999人以下、大規模の企業=1000人以上と定義している。


連載1回目の表「ストレージ管理の課題」を参照して欲しいが、「ストレージ管理者のスキル不足」は37.3%、「ストレージ管理者の不足」は34.4%の企業が課題として認識している(中小規模)。ほぼ3社に1社はいずれか、あるいは両方ともに悩んでいると考えていいだろう。
この人材の問題が顕著となるのがブランチオフィス(本社以外の拠点)の場合だ。

ブランチオフィスでの課題

下記グラフからもわかるように、「管理者の不足」44.1%、「管理者のスキル不足」37.9%がダントツの値を示している。

では、このブランチオフィスでの課題を解決するために、企業はどのような投資を考えているだろうか。

「ブランチオフィスのストレージ投資の重点」では、「メインデータセンターへのストレージの統合」「メインデータセンターへのバックアップ統合」「ブランチ/メインデータセンター間のファイルサーバ統合」そして、「ブランチオフィスのIT管理者の教育強化」へと続く。まず統合により運用負荷を無くすこと、そして人材の育成が課題と考えていることがわかる。

企業はどのような運用形態を目指しているのか

次に、企業が考えているストレージの運用形態を、次のグラフから確認してみたい。

現状、圧倒的に多い形態は「自社内でシステムを所有し、自社で運用する」であるが、今後は減らしたいと中小規模も大規模企業も考えている。
代わって増やしたいと考えているのが「自社内でシステムを所有しているが、運用サービスを利用する」(12.7%から14.3%へ 約1.1倍)という運用サービスの導入。さらに、データセンターを利用する「自社が所有しているシステムを外部事業者(データセンター)に運用委託する」は約1.7倍の伸び(9.1%から15.4%へ)。「自社でシステムを所有せず、外部事業者(データセンター)のシステム/サービスを有料で利用する」という完全なアウトソーシングも約1.6倍に伸びている(8.1%から13.5%へ)。

では、外部事業者のシステムを利用する理由は何だろうか。

「自社で所有せず、外部事業者のシステム/サービスを有料で利用」する理由では、トップ3が「運用/管理コストの削減」「運用/管理コストの平準化」「IT管理者不足への対応」。「IT管理者のスキル不足への対応」も26.1%を示している。コストもさることながら、人材の問題は製品選びや投資の方向、運用形態にも大きな影響を与えている。

また、IDCがストレージソフトウェアの選択基準を確認したところ、「ソフトウェアの信頼性」「ソフトウェアの価格」「ソフトウェアの性能」という上位は当然として、「運用の容易性」「ストレージ管理コストを削減できる」「ストレージ管理の効率化ができる」という運用および管理面も重視していることがわかる。
企業はスキルおよび人材不足という課題を抱え、それをカバーできる製品やサービスを探し求めているのである。

スキル/人材の課題解決のために

以上から、中小規模の企業はスキル/人材に関する課題解決を、2つの方向性から検討している。
1つはアウトソース。自社内の人材にもスキルにも過剰に期待せず、社外に運用をまかせてしまう方向性だ。ブランチオフィスも含めて考えると、ストレージも含めたインフラ全体を外部のデータセンターにおいて、完全なアウトソーシングも解決策となるだろう。
とはいえ、すべてのシステムがアウトソースに適しているわけではない。業務やシステムによっては標準化が困難で、アウトソースできない、あるいはコスト的に効果が得られないケースも多い。この場合は従来どおり社内運用を継続し、ストレージソフトウェアに運用の容易性やストレージ管理の負荷軽減を期待することになる。また、「ブランチオフィスでの課題」でも紹介したように、人材の育成も必要と考えているようだ。

関連情報

掲載日:2009年6月8日


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