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Fujitsu

Japan

VMware/Tintri/富士通におまかせ!
~ハイブリッドフラッシュストレージを活用したVDI環境の課題解決法~

2014年9月1日(月)、富士通トラステッド・クラウド・スクエア(東京都港区)で、「VMware/Tintri/富士通におまかせ! VDI環境における課題の解決」セミナーが開催されました。
昨今、セキュリティ対策やBCP、管理工数削減などの観点から注目を集めるVDI(シンクライアント)。
VDI導入におけるパフォーマンスや運用の課題を解決する仮想化専用ストレージソリューションについて、複数の角度からそのメリットとアドバンテージが紹介されました。

セミナーの様子

掲載日: 2014年10月6日

VDI環境導入のトレンド

富士通より、VDIの定義の確認とともに、VDI導入効果として5つのPC運用課題が紹介された。

VDI導入効果がある5つのPC運用課題

VDIとは、アプリケーションの操作と実行の場所を分け、端末(PC)サイドでは操作のみを、処理の実行はサーバルームやデータセンターのサーバ側で行うこと。「セキュリティ、時間場所とデバイスの制約、PCの集中管理、PCキッティング、PC障害時の現地対応という5つのPC運用課題に対し、VDIを導入することでユーザーの利便性を確保しながら解決を図ることができます」(吉田氏)。


富士通株式会社  サービス&システムビジネス推進本部  プロダクト拡販推進統括部 VDIビジネス部
マネージャー 吉田和博

VDI導入によるメリット

まず、「①セキュリティ」について、PCの盗難、紛失、USBメモリなどによる情報漏洩リスクは大きな問題だが、VDIではデータを端末に持たせずサーバルームに集約するため、データの抜き出しなど意図的な持ち出しができない。端末の紛失や盗難にもデータがないため漏洩の危険はない。USBメモリなど外付けデバイスの使用禁止も可能なため、データの外部持ち出しのリスクは大幅に低減できる。物理的に守るべきポイントもマシン室に限定できる。豊田ハイシステム株式会社様では、社外開発拠点での出向者からのセキュアなアクセスを可能にし、ISO27001に基づくセキュリティマネジメント運営を実現している。

次に、「②時間場所とデバイスの制約」について、出張時や異動時、地方や海外拠点で業務継続維持が困難と言う課題について、VDIではその規制を外し、ログインすれば業務を継続できる。オフィスはもちろん、出張時の移動中や自宅、海外からも利用可能で、端末もシンクライアントやPC、スマホ、タブレットなど多岐にわたる。移動中の時間やその他の空き時間の利用が可能になるため業務効率がアップする。三共・立山ホールディングスグループ様では、テレワーク導入によって見積もり作成業務などで優秀な女性社員が育児・介護を理由に離職を防止している。労務管理含めてのVDI活用である。

VDI導入によって、運用面では「③PCの集中管理」が可能になる。通常500台、1000台のPCのバージョンアップやパッチの適用やアプリ配布の作業負荷は大きい。パッチで動かなくなって元の状態に戻したといった障害も発生する。VDIならマスターとその利用者を分けることができる。マスター形式で利用すれば、マスター1つで100人、200人が利用でき、また、セキュリティパッチやアプリ配布を一回で済ませることが可能である。個別のアプリがそれぞれの端末にインストールされる場合にはマスター形式は利用できないが、皆が同じ環境で使うケースでは運用工数を大幅に圧縮できる。東京電機大学では3D CAD教育用に仮想デスクトップ環境を導入、管理負荷の削減に成功している。

「④PCキッティング」も新入社員入社時や部署異動時、情報システム部門の大きな負荷になっている。この負担も標準化された端末の導入で大幅に手間と時間を短縮できる。大企業なら100人200人のキッティングも発生するが、VDIならマスターをコピーするだけで済み、個別にDVDを配布したりする必要はない。

「⑤PC障害時の現地対応」も同様に情報システム部の業務を圧迫する。しかし、VDIならユーザーの業務停止に対し現地対応の必要はなくサーバルームからの復旧が可能で運用負荷を削減できる。トラブルには端末側とサーバ側の可能性があり、端末側ならとりあえず隣の端末でログインして作業し、空き端末を手配すればいい。また、サーバ側は冗長構成なので、別のサーバで再起動すれば済む。このため運用が非常に楽になり、復旧時間を短縮しての業務再開が可能になる。北陸銀行では、2000台のデスクトップ環境を仮想化し、管理コストの大幅な削減に成功している。

このように富士通では、VDI導入によるPC運用課題解決の成功事例を豊富に持っている。この運用改善こそが、VDIが最も効果を発揮するポイントなのだと吉田氏は説明する。

「単純なPC更新と比べると、初期導入費用は高価なように思えますが、クライアント仮想化のコスト効果は運用費用を削減できる点にあります。3年5年の長い目で見るとVDIの方がコストは確実に安くなります」(吉田氏)。

PCの運用から見たVDIの効果

富士通のワンストップVDI提供とストレージ

富士通はこうした課題の解決に効果的なVDIを、ユーザーヒアリングを基にしたシステムの検討から設計・構築、導入後の運用までをワンストップで提供するが、工程のなかで、ストレージの問題は特に慎重に扱う必要がある。

「性能設計にあたっては、将来の要求も考慮します。コストを重視してぎりぎりの要件で導入すると、導入時には十分な性能と容量に思えても、時間が経てば必要な性能要件が上がっていきます。その場合、サーバ(CPU、メモリ)は台数を増やすスケールアウトで性能は上げられるのでいいのですが、ストレージ(容量、性能)はスケールアップの方が効果が出るため、足りなくなったり、遅くなった際には上位機種への買い替えが必要になります」(吉田氏)。

では、VDIのストレージ設計はどうすればいいのか? VDI特有のワークロードにあわせた機器選定が必要である。「システム領域」と「ユーザープロファイル」、「ユーザーデータ」の3種類のそれぞれの特性にあわせた設計が重要になる。

「『システム領域』は、たとえば出社時には100台が同時に起動するためにIOが集中しやすく、ブート時対応のIOPSを実現するパフォーマンスが必要になります。一方、各ゲストOSには同モジュールが含まれているため、重複排除によるパフォーマンスの向上が期待できます」(吉田氏)。

残りの「ユーザープロファイル」、「ユーザーデータ」2つはファイルサーバの領域だが、「システム領域」ではETERNUS TR seriesのフルフラッシュに迫るパフォーマンスと重複排除が有効だという。

VDIにおけるストレージ設計

情報システム部の負荷増大への対応

VDI導入にあたって、もうひとつ重要なのが情報システム部門の負荷増大だ。VDI導入で企業全体は効率化されるが、従来使用者に任せていた作業が集中することで情報システムに負担が集約されがちである。導入時にはその負荷を減らすためのツールや機能を用意することが重要になる。利用者環境のプール化運用統制やリンククローンによるマスタ集中管理に役立つVMwareHorizonView、稼働状況の可視化やPC追加時の自動化などに有効なServerView Resource Orchestratorなどの活用が負荷の軽減につながる。

VDIのシステムが止まると、対象PCの業務がすべて停止するため、信頼性の高い機器を設計時から選択し、障害対応にも安心できるサポートを準備しておくことが必要である。

「富士通はVDI対応の多様な製品を提供しています。個々の製品は富士通以外からも買えるものもありますが、すべてをワンストップで提供、サポートできるのが私たちの特長です。特にVDIは組み合わせるものが多いため、原因切り分けから早期復旧まで、私たちの経験とノウハウがお役にたてると思います」(吉田氏)。

情報システム部の負担増への対策

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VMware Horizon 最新事情

VDI導入によりコスト削減できる理由、端末管理の将来像について

ヴイエムウェア株式会社より、VDIに期待される高いROI(投資利益率)の実現とVMware Horizenの機能について紹介された。

高いROIが期待されるVDI導入

「IDCの調査によると、VDI導入でのROIは426.4%、投資回収期間は10.7カ月という数字があります。この数字を見てVDI導入を考える経営者の方は少なくないでしょうが、なかなか導入まで行きつきません」(岡山氏)。

VDI導入の見積りを取ると、1ユーザー当たり20万円という数字が出てきて、現在10万円そこそこで購入できるPCと比較して高いからと導入を止めてしまうケースや、複数見積りを取るとROIが700%という業者もあれば200%という業者もあり、何が正しいのかわからず導入を躊躇するケースなどを例に挙げた。


ヴイエムウェア株式会社
ストラテジックアカウントビジネス本部
岡山厚太氏

このようにROIについては調査結果とユーザー意識が乖離してしまいがちである。正しいROIを算出しようとすれば現状を把握し、初期投資費用と年間投資費用の算出、期待効果の算出をあわせてどのくらいの効果があるのかを見積もり、さらに投資費用と累計キャッシュフローを比較して回収期間を算出するなど複雑な計算が必要になる。

ROIの算出に必要なコスト項目はCapEX(初期投資)、OpEX(運用)、リスク(回避)、生産性、イノベーションの5項目で、前の3つはIT設備であり直接効果として数値化しやすいが、後の2項目はユーザーの体感やビジネス効果であるため間接的で数値化しにくい。特に顧客満足や競合優位といった内容を含むイノベーションは計算式に含めるより期待値としてプラスアルファで考えたほうが堅実である。

ROIを算出するのに必要なコスト項目

各項目を見て計算していけば、VDIでは初期投資はマイナスになるが、運用投資が減少することでROIが高くなることがわかるだろう。その際注意しなくてはならないのは、目的を明確にし直接効果だけでなく間接効果も考慮すること、ユーザー自身が見えていないコストに気付いてもらうこと、そして確実な現状把握を行うことである。

ITにおけるROIの考え方

Horizonで高ROIを実現

VDI環境を提供するVMware Horizon導入で高いROIが期待できる理由はいくつかある。たとえば生産性の向上についてはマルチデバイス対応が挙げられる。スマートフォンなどの小さい画面でもUnityTouchを提供しているため操作がしやすい。ゼロクライアントにも対応しており、OSのメンテナンスが必要なシンクライアントと異なり、接続のためのファームウェアしか搭載していないためメンテナンスフリーのゼロクライアントという選択肢も出てくる。

VMware Horizonには、管理性を向上させディスク容量を削減できるリンククローンという特長的な機能がある。リンククローンではOS領域を全ユーザーが共有して、個々のユーザーは差分情報のみを持つため、大幅に容量を節約できる。従来方式のフルクローンによる500仮想デスクトップでは5.25TBの容量が必要だが、リンククローンなら1.35TBで済み、約75%のディスク容量の節約が可能になる。OSのパッチなどもマスターテンプレートだけを更新すれば、各仮想デスクトップで共有される。

リンククローン機能

リンククローンは一括管理も楽だが、IOが増加しアクセス集中してしまう危険に注意する必要がある。ストレージとの連携機能として、仮想マシンのクローンがStorage vMotionなどのデータコピー処理をストレージにオフロードする VAAIのXCOPYや、リンククローンの機能をストレージにオフロードするVCAI(View Composer Array Integration)があり、処理の効率化が図れる。また、負荷集中時に自動的に仮想マシンを移動させ負荷分散を図るDRS(Distributed Resource Scheduler)もある。高負荷の時間帯にはvSphere上のRAMをキャッシュ的に利用するView Storage Acceleratorなど負荷集中に対策できる機能が用意されている。

最新版Horizon6ではRDS(Remote Desktop Services)ホスト型の公開デスクトップ・公開アプリケーション機能や、あらゆるアプリケーションにシングルサインオンできるポータルを提供するアプリケーションカタログの機能が追加され、仮想ストレージを作成するVirtual SANなどの利用も可能になった。

「RDSによって、企業のさまざまな場面で公開デスクトップや公開アプリケーションも使えるようになりました。フルのデスクトップを使わなくても済むコールセンターなどの場合には公開デスクトップ方式で、工場での単一目的利用には公開アプリでといった対応で、ライセンス料を抑えることが可能になります」(岡山氏)。

Horizon 6のユースケース

そのほか、Horizonはセキュリティ面でも富士通独自のソリューションであるセキュアログインボックスなどに連携導入事例を持っている。将来的には、NSX(仮想ネットワーク)とアンチウイルスを連携することで、アンチウイルスが汚染されたPCを検知、NSXの管理するソフトウェアファイアウォールがそれを隔離、正常に復したらネットワークに戻すといった処理などを自動で行うことが可能になるという。VMware Horizonの機能を活用していくことで、VDIのさらなるROI向上が期待できるだろう。

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ストレージ環境からVDI環境を快適に

~ETERNUS TR seriesの導入効果をご紹介~

ティントリジャパン合同会社より、今回OEM提供が開始されたETERNUS TR seriesの開発背景とそのパフォーマンスについて紹介された。

なぜ仮想化専用ストレージを開発したのか

「仮想化専用ストレージの開発の動機は、従来の物理ストレージでは仮想化環境が理想的に作れなかったためです。ある仮想マシンで過大なストレージIOが発生すると他の仮想マシンがパフォーマンス上の影響を受けてしまいます。それでも性能を確保しようとするとコスト高になってしまう。また、ストレージはブラックボックス化しやすいので障害時の切り分けにも時間がかかっていました。インフラであるにも関わらずこうした性能の波が存在するという問題を解決したかったのです」(村山氏)。


ティントリジャパン合同会社
技術本部長
村山雅彦氏

仮想化環境における代表的なストレージの課題

従来の物理ストレージは、ボリュームとしてリソースを切りだし物理的にOSに割り当てる方式だが、仮想化にはそれはなじまないという。仮想化では逆に、プール化して共有し、効率的に使うことが向いている。しかし、既存のストレージ製品ではこのギャップは埋められなかった。そこで、ホスト側のハイパーバイザーに関する考え方をストレージにも使用できないかという考えで生まれたのがETERNUS TR seriesである。

仮想サーバは仮想マシン単位でスケールアウトしていけるのに、ストレージを物理的な設計から始めるは効率が悪い。そのためにETERNUS TR seriesは1台が1個のデータストアと考えることができる構成になっている。ストレージを分割するのではなく、データストアにVMを順番に乗せていって使い切ったら2台目を用意するという方式。これによってストレージの管理の観点を変換して、運用をVM単位のシンプルなものにすることができる。

仮想化環境に最適なアーキテクチャー

「従来のストレージはIOしているファイルの内容を理解していませんでしたが、ETERNUS TR seriesはVM単位での利用を可能にするために、ひとつひとつのIOがどの仮想マシンから来たかを把握、管理しています。VMを把握することでVM単位の見える化を実現し、性能予約を可能にしているのです。容量を目安にVMを追加していくだけでいいのです。ETERNUS TR seriesには33.5TBのTR650と13.5TBのTR620、2つのモデルがありますが、TR650で2000VMまで、TR620で500VMまでの搭載が目安になっています。VDIでいえばこれを仮想デスクトップ数と考えていいでしょう」(村山氏)。

快適で効率のよい利用を可能にしたハイブリッド構成

仮想化環境でのETERNUS TR seriesの快適かつ効率的な利用を可能にしているのが、フラッシュメモリとHDDによるハイブリッド構成である。フラッシュメモリベースのストレージは性能がいい反面高価だが、ETERNUS TR seriesはフルフラッシュではなくHDDとのハイブリッドの構成ながら、IOに関しては99%をフラッシュ(SSD)で処理できるようソフトウェアを改良している。一方、フルクローンなど大容量を必要とする処理も、VAAIを活用してストレージの使用容量を大きく効率化している。

ストレージは種類によって適用分野が違い、ETERNUS TR seriesは仮想化環境での利用に専用化している。それぞれのストレージの適用エリアを考えると、性能優先のフルフラッシュはIOPS当たりの単価を、ファイルサーバやビッグデータなど容量優先ならGB単価を考えなくてはならないが、仮想化環境においてはワークロード単価やVM単価の考慮が必要になる。ETERNUS TR seriesはこの分野での高いアドバンテージを持っているため、仮想マシンあたりのコスト最適化を実現できる。

ETERNUS TR seriesの適用エリア

快適なVDI環境をETERNUS TR seriesで実現

VDIインフラの課題として、村山氏は「性能とコストの最適解が見つからない」「運用コストが高い」「安定運用負荷が高い」「ブラックボックス化が運用を困難にする」という4点を挙げ、それぞれの解決にどうETERNUS TR seriesを使用するかを説明する。

VDIのストレージ設計に最適解がないのは、ユーザーごとのIO処理で想定外のことが起こりやすいため。これに対処して高性能のストレージを入れようとすればコストが高くなる。仮想PCとユーザープロファイルでは必要とする処理が違うため、適材適所の置き場を選択するのが適している。ユーザープロファイルとデータ領域は既存のNASに置き、仮想化OSのマネジメントはETERNUS TR seriesに任せることで、この問題を解決できる。

運用コストについては既存のNASストレージからETERNUS TR seriesへのリプレースで、ストレージのフットプリントを1/4~1/6に抑えることができるためコストの圧縮が可能である。初期費用以外にもTR650利用でNAS利用に対し5年間の電力で250万円、データセンターコストは2,000万円低減できる。

運用の手間については、従来の物理サーバでは拡張時に既存ユーザーに影響が出ないようにストレージ設計が必要だったが、ETERNUS TR seriesは1台が1データストアだから設計の必要がない。既存部分のIOに影響せずにVMの追加が可能。このため、運用負荷を大幅に削減できる。

運用の容易性に関しては、ETERNUS TR seriesは標準ツールでIOの遅延量をホスト、ネット、ストレージ別にGUI表示が可能で可視化が簡単である。VCenter連携で各VMの動きを把握でき、ボトルネックを可視化可能。このため、確実なストレージ運用が可能になる。加えて、数千の大規模な仮想デスクトップ迅速な導入・展開もVMwareと共同検証しており、信頼性は高い。

ETERNUS TR seriesは仮想化環境に特化したストレージで、従来的なNASの使用用途では効率を上げられないが、仮想化環境で最大の力を発揮するように設計されている。ETERNUS TR seriesを他のストレージ組み合わせ、適材適所に配置することで仮想化環境に強力なパフォーマンスを提供することが可能になる。

1,000デスクトップVMの迅速な導入・展開

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VDIの導入ならFSASにおまかせ!

性能とコストのお悩み解消事例のご紹介

ICTインフラ・サービス提供および富士通グループの保守サービス全般を担当する富士通グループの富士通エフサスより、1,400人が使うVDI活用事例が紹介された。

1,400人が利用するVDI案件

金融系企業から提示された要件は、VDI環境の構築以外に、DR(災害対策)のためにユーザーデータのファイルサーバを遠隔地にレプリケーションすることと、セキュリティ向上のための手のひら静脈認証を導入することだった。

必要容量の見積りはVDI領域が30TB以上、ユーザー領域が10TB以上と言う膨大なもので、性能的には40,000IOPSが必要と計算された。

富士通エフサスは初期提案において、VDIの仮想PC領域とユーザーデータを同一ストレージに保管することを考えたが、VDIのIOに高性能が要求されるため、全体のパフォーマンスを上げるとストレージコストが高価になりすぎるという課題が発生した。


株式会社富士通エフサス
マルチベンダービジネス支援センター
中川美穂氏

性能とコストの最適のバランスを実現

前述の課題に対し、仮想PC領域には高性能を実現できるフラッシュストレージを、容量が必要とされるユーザーデータ領域にはハードディスクの利用、という使い分けを考えた。当初、運用性の向上のために同一メーカーのストレージでの統一で提案していたが、別メーカー製品を組み合わせた構成を再検討した。

そこで、仮想PC領域用に選択したのが、まだETERNUS TR seriesとしてOEMされる以前にTintri社が自社ブランドで提供していた製品である。高性能が必要な仮想化部分をフルフラッシュのストレージにするよりも、SSDとHDDを組み合わせたハイブリッドストレージのETERNUS TR Seriesの方がコストメリットが大きい。しかも、インラインの重複排除処理によって、IOの95%をSSD上で処理するため、フルフラッシュ並みのパフォーマンスを実現できる。ユーザー領域用ストレージにはETERNUS NR1000 F2240-2を組み合わせることで、コスト問題を解決した。

「性能とコストの最適なバランスが実現できた」と、中川氏は振り返る。

最終的な構成では上記2製品以外に、仮想基盤サーバにPRIMERGY RX200 S8を採用、そこにVMwareHorizon Viewを載せ、DR用ストレージにはETERNUS NR1000 F2220、手のひら静脈認証を必要とするクライアント側はノートPCにLIFEBOOK A553/H、タブレットはARROWS Tab Q70/PVという組み合わせが提供された。

性能とコストのバランスがとれた最終提案

富士通エフサスは以前からTintri社に注目しており、2013年10月には第一号のソリューションパートナー認定を受けている。社内に検証機を保有し、設計・導入はもちろん仮想基盤導入や移行まで対応可能なためこうした柔軟な提案が可能になった。

初期の提案と最終提案の性能を見比べると、Tintri製品の導入効果は明らかだ。当初、40,000と見積られたIOPSは、納品時には60,000に向上。ストレージは当初予定だった18Uを1/2の9Uに圧縮、これに伴い重量も167kgから76.7kgに削減されている。もちろん、パフォーマンス面で、VM単位の性能予約がもたらす安定性も大きい。

また、導入工数は従来なら設計・構築からクローンの展開まで15日が見込まれていたところがわずか4日で導入が実現した。

「ディスクボリュームの設計が必要ないため、大幅な工数圧縮が可能になりました」(中川氏)。

Tintri製品導入によるメリット

初期費用以外にライセンスとファシリティ費用も圧縮

当初の提案からのストレージ変更がもたらしたコストメリットは、初期導入費用だけではない。

「フラッシュとハードディスクのハイブリッドストレージであるTintri製品を導入することで、ディスク搭載数が大幅に減りました。また、ストレージ筐体がコンパクトになったことで、電力料金やデータセンターのラックなどのファシリティ運用費用を削減できる効果を得られます。さらに、クローニングやレプリケーションの機能を有効にするためには、ストレージでライセンス費用がかかります。このコストはモデルなどの条件によって変わるのですが、Tintri製品の場合はクローニングライセンスが含まれるため、ライセンスの費用を抑えることができました」(中川氏)

また、ユーザー領域用のストレージをミドルからエントリーモデルに切り替えることで、レプリケーションのライセンスとウイルススキャンソフトのライセンス料も圧縮できたため、初期提案より大幅なコストダウンが実現できたと語る。さらに、「ETERNUS TR seriesはあとどのくらいストレージに余力があるかが、ディスク容量のみならずパフォーマンスについて使用量が見られる特長があります。これにより、現在の使用状況はもちろん、あとどれくらいの仮想マシンを搭載できるか、予測が立てやすいです。こうした性能管理のしやすさは、管理工数の削減につながります」と、中川氏は説明する。

ETERNUS TR seriesは発表直後ではあるが、すでにこうした導入成功事例が存在している。今後VDIニーズにとどまらずETERNUS TR seriesの導入が検討されていく多くのケースで先行例として参考になっていくだろう。

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富士通のストレージビジネスとOEM

富士通より、2014年9月に発表された仮想化専用ストレージETERNUS TR seriesとともに、多様化するニーズに応える富士通ストレージソリューションについて紹介された。

国内ストレージ市場No.1シェア

富士通のストレージ製品は昨年(2013年1月~12月)国内ストレージ市場で17.6%というトップシェアを獲得、あわせて日経コンピュータの顧客満足度調査でも2013年ストレージ部門で顧客満足度第1位に輝いている。富士通のストレージブランドであるETERNUS(ラテン語のeternal=永遠)は、「お客さまの大切な資産を永遠に守る」というコンセプトで名付けられた。ETERNUS seriesは多様化する業務のニーズに最適なストレージソリューションを提供している。


富士通株式会社 サービス&システムビジネス推進本部 プロダクト拡販推進統括部 ストレージビジネス部
マネージャー 木下和宏


富士通ストレージ製品の位置付け

富士通のOEMへの取り組みが評価される5つのポイント

「ETERNUSには自社開発製品に加え、NetApp、Brocade、IBMなどのOEM製品もラインナップされています。そのほかにはSymantecとのアライアンスを組んだ製品なども提供しています。昨年のNo.1はこれらOEM製品が下支えしたものです」と、木下氏は説明する。

NetAppとは1998年にOEM契約を結び、OEM製品であるETERNU NR seriesは国内トップシェア維持しつづけている実績がもつ。Brocade社とは1999年にパートナー契約を結び、ここ十年売上が伸び続けており、昨年OEM先のなかで富士通がNo.1の売り上げを記録している。

富士通のOEM製品が評価されるのは5つの理由がある。まず、「①富士通独自基準の評価・テスト」がポイントになる。これは、量産・部品・設計・製品品質の各フェーズで実施されている。次に「②国内最大規模のサポート体制」がある。全国に850店舗のサポート拠点を持つことで、国内92%の地域に対し2.5時間以内のオンサイトを実現している。

続いて挙げられるのが「③製品を熟知した技術者が提供する各種サービス」。NetAppの有資格技術者144名は世界No.1であり、現在も各ベンダーの資格取得を奨励している。

そして「④日本語ドキュメントやビデオライブラリーなど資料の充実」と「⑤富士通の豊富な導入実績と培われた経験」である。

こうした取り組みが、OEM製品への信頼を高めている。

仮想環境の伸張に対応するETERNUS TR seriesのリリース

今回、仮想環境が伸びている市場ニーズに応えて提供するのが、仮想化環境専用ストレージ ETERNUS TR seriesである。2008年に設立されたTintri社が開発、富士通のOEM製品として提供する。富士通は、Brocade seriesを使ってネットワークを最適化し、ETERNUS NR1000F seriesの大容量ストレージによりユーザーデータ管理を最適化。そこにETERNUS TR seriesのデータストアが加わることによる仮想化最適化により、強力なVDIソリューションを提供していく。

富士通が提案する最適なVDIソリューション

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