「ゴールデンウィーク時の一斉発売がピークをむかえても、IOウェイトによるレスポンスの低下は全くありませんでした。これには本当に驚きました」
2007年11月9日掲載/ 印刷用 PDF版ダウンロード (1.33 MB )
導入事例概要 | |
業種: | 定期航空運送事業 他 |
ソリューション: | 旅客予約システム 他 |
製品: | ETERNUS4000 ディスクアレイ モデル300、ETERNUSマルチパスドライバ |
格安航空券等、利用者にとって身近な航空会社として人気の高いスカイマーク株式会社(以下、スカイマーク)。同社では航空システムの自社開発、運用を行っています。予約から発券、搭乗、運航、精算、分析までをデータベースで一元管理。同社の心臓部である当システムは、ここ数年の顧客数の急増により負荷も増大し、予約アクセス集中時には時としてレスポンスが著しく低下していました。その要因であったサーバ内蔵ディスクアレイによるIOウェイトを解消し、また更なるお客様への信頼性と可用性の向上を図るべく、富士通のストレージ「ETERNUS4000」を導入。これによりIOウェイトはなくなり、ビジネスチャンスも拡大。RAID5とリダンダント・コピー機能の導入により信頼性も高まり、止まらないシステムとして現在24時間安定稼動を実現しています。
導入前の課題 | 導入による効果 | |
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サーバ内蔵ディスクアレイによるIOウェイトが要因で、予約アクセス集中時にレスポンスが著しく低下していた。 |
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予約アクセス集中時もIOウェイトがなくなり、お客様へ24時間安定した利用環境を提供することが実現出来た。 |
当社の心臓部、24時間止められないシステムの信頼性、可用性を一層高めたい。 |
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運用/待機のサーバクラスタ構成により信頼性が向上、マルチパスにより可用性と処理性能も向上した。 |
冗長性を高め、システムの信頼性強化を図りたい。 |
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RAID 5、リダンダント・コピー機能によりRAIDの冗長性を維持しながらディスクの予防交換も可能になった。
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1996年11月、定期航空運送事業の国内線市場に参入し、利用者の利便性の向上を目的にスカイマーク(当時、スカイマークエアラインズ株式会社)は設立されました。国内の幹線に特化した事業展開を進め、身近な航空会社としてのポジションを確立。その特長として安全運航を最優先とした徹底したコストの見直しを図り、"お客様によりお求めやすい運賃"を提供すること。通常運賃の低価格はもとより、お得感の高いスカイバーゲン、直前予約でも割安になる多彩な前割メニューも好評です。
2004年11月にはインターネットサービス事業会社のゼロ株式会社と合併し航空システムの自社開発、運用を開始。ITを活用した新しい航空ビジネスモデルの創造に取り組んでいます。
こうした同社の姿勢や特長に対する利用者の評価は、顧客数の増加としてもあらわれており、2006年に運航を開始した「東京-札幌(千歳)/神戸線」はともに搭乗100万人を突破、また2007年夏季輸送実績(8/10~8/19)では全路線平均搭乗率91.3%という驚異的な数字を達成しています。
このような搭乗実績を達成する中で、従来のシステムでは、ここ数年の急激な顧客数の増加によるシステムへの負荷が深刻な課題となっていました。
「携帯電話やインターネットからの予約はピーク時には膨大な数となります。それに伴い、昨年から今年にかけてシステム負荷の課題解決に取り組んできましたが、その対策を講じていなければ予想以上の搭乗率となった、2007年の夏は乗りきれなかったかもしれません」と、情報システム部の一ツ木氏は明かします。
ここ数年、利用者の急増により予約アクセスが殺到するピーク時に、サーバが対応しきれない状態が続いていました。「理論上は対応できるはずなのですが、富士通の力もおかりして分析・検討してみたところ、ボトルネックはサーバのCPUではなく、内蔵ディスクアレイの読み書きに相当時間を要しており、IOウェイトだけでもCPUの約60%を占めていることがわかりました」と、情報システム部の丸山氏は当時を振り返ります。
IOウェイトによるレスポンスの低下は販売機会の損失、業務の遅延等、深刻な問題を招く要因になる。こうした課題を解決するべくストレージに富士通の「ETERNUS4000」を選択し、採用・導入へとスムーズに決まりました。「サーバOSのSolarisとの親和性、圧倒的な性能の高さ、大容量、保守性、そしてなによりも当初、冗長性と信頼性からRAID 6を想定していましたので「ETERNUS4000」という選択以外は考えられませんでした」(一ツ木氏)。
しかし当時、RAID 6は市場に出たばかりで実績が少なかったこととスピード面から、同社はRAID 5を選択。「2つ以上のドライブが同時に故障すると回復できないというRAID 5の弱点を、RAIDの冗長性を維持しながらディスクの予防交換を可能にするリダンダント・コピー機能という富士通独自の技術で解決している点が採用への決め手となりました」(丸山氏)。
2006年10月、富士通よりご提案、同年11月採用決定、2007年1月に導入、1ヶ月間のテストの後、同年2月に本稼動。最も注意したポイントは切替です。「移行時間は深夜午前2時から午前4時の間。その間に全て完了し、動作確認を行う必要がありました。何度もテストを繰り返しましたが、結果的には短時間でスムーズに実施できました」(丸山氏)。
システムの概要は、UNIXサーバの運用/待機のクラスタリング構成で、高性能、高信頼性の「ETERNUS4000」へ接続。「予約、発券、搭乗、精算等の旅客機予約システムと、精算、運航スケジュール等社内システムのデータの蓄積、活用を「ETERNUS4000」が担っています。まさに心臓部です」(一ツ木氏)。接続はETERNUSマルチパスドライバによるマルチパス構成で可用性と処理能力を兼ね備えています。「データベースサーバが一台だけだとCPUへの負荷が高くなるので、二台にして負荷を分散し、マルチパスを使って同じETERNUSにいくような工夫をしています。こうした様々な工夫を行う過程で富士通にしっかりとサポートしていただきました」(丸山氏)。
導入効果の第一のメリットはIOウェイトがなくなったことです。丸山氏は「ETERNUS4000」の真価について次のように証言する。「ゴールデンウィーク時の一斉発売がピークをむかえてもIOウェイトによるレスポンスの低下は全くありませんでした。これには本当に驚きました」。
「そして現在、IOウェイトがなくなり、バックアップ時もシステムに負荷をかけず、かつスピードアップを実現できたことから、夜中でも安定して24時間稼動が行えるようになりました。従来みられた、バックアップ中に発生したテーブルのロックによるレスポンスの遅延もなくなりました」(一ツ木氏)。同社独自のデータベース仕様により、オンラインバックアップは利用できませんでしたが、それでも「数時間かかっていたものが、半分以下の時間でバックアップが可能となりました。」(一ツ木氏)。
信頼性の面での効果もあります。従来、ディスクが壊れるとシステム全体に影響を及ぼしかねないことから、オペレーションでの対応が必要でした。「自社運用ですので、休みの日も気にしながら過ごしていますが、いまは保守運用支援サービスのリモート通信機能を利用し、すぐにエラーを検知できるようになっているので、安心感があります。ディスクの交換も抜き差しだけで、交換に伴うオペレーションも不要です。それも富士通のCEに対応していただけるのもいいですね」(丸山氏)。
ディスク量も従来の4倍になり、これまでは経理が分析するデータの中で古いものを削除していましたが、その必要もなくなりました。また副次的な効果としてIOウェイト問題の解決により、さらなるシステム強化につながったことも注目点です。「IOウェイトが解消され、サーバがCPUをフルに使えレスポンスも向上したことから、アクセス数も急増しました。これに応えるべく、サーバのCPUやネットワークの強化等を図り、販売機会を逃がすことなく、ビジネスチャンスのさらなる拡大に貢献するシステム基盤を確立できました。その一翼を担っているのが「ETERNUS4000」です」(一ツ木氏)。
今年10周年目に入るスカイマークでは、次のステップに向かって利用者の需要を見据え、機材(飛行機)の適材化を進めています。同社の企業戦略にITは不可欠なファクターです。今後の展開について一ツ木氏は「システムの安定稼動が当部門のミッションです。それを根底に、自社化をさらに進め、顧客動向や機材等を見定め、フットワークの良いシステムとして当社の企業戦略に柔軟に対応していきたい」と、力強く語ります。
設立 | 平成8年(1996年)11月12日 |
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代表取締役会長兼社長 | 西久保 愼一 |
本社 | 東京都港区浜松町1-30-5 浜松町スクエア12階 |
事業概要 | 定期航空運送事業 他 |
資本金 | 42億246万5,625円 |
従業員数 | 1,075名(派遣社員・受入出向者を除く) |
URL | http://www.skymark.co.jp/ja/ |
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