まっちーの仮想化講座
第23回：これでクラウド環境の構築も大丈夫
- Unified Archivesを活用したクローンインストール 1 -
2015年7月28日
富士通のUNIXサーバ SPARC M10は、標準で豊富な仮想化機能を有しており、これらを活かしてクラウドインフラ基盤の構築ができます。詳しくはこちらをご覧ください。
クラウドインフラを運用するにあたってポイントの一つとなるのが、如何に速く仮想環境を構築できるかです。
Oracle Solaris 11.2には、新たにUnified Archivesという機能が実装されました。この機能とAIインストール機能を組み合わせると、Oracle Solaris 10でのCustom Jump StartとFlash Archiveのような使い方ができます。あるOracle Solaris環境をアーカイブして、そのアーカイブを元にOracle Solaris環境のクローンを作ることができます。
今回から全3回に渡って、このUnified Archives 機能を用いてクラウドインフラの仮想環境（ゲストドメイン）を構築するための方法をご紹介します。
全体の流れは以下のようになります。今回は①～②までをご紹介します。
Unified Archives 機能には、OS環境のクローンを作る機能の他にも、バックアップ/リカバリやゾーン環境のクローンを作る機能もあります。詳しくはこちらをご参照ください。
今回は、こちらのようなIaaS環境を想定した構築運用方法をご紹介します。既に制御ドメイン、DHCPサーバ、マスターとなるゲストドメインは構築済みとしています。
アーカイブの作成
まずはマスターとなる環境からアーカイブを作成します。
アーカイブの作成にはarchiveadm（1M）コマンドが必要となります。このコマンドを使用するために必要となるパッケージがインストール済みであることをpkg（1M）コマンドで確認します。インストールされていると、IFOの欄に「i」が表示されます。
アーカイブを作成します。保存するディレクトリを指定しない場合、カレントディレクトリに作成されます。
master# archiveadm create s11_2_master.uar
Initializing Unified Archive creation resources...
Unified Archive initialized: /root/s11_2_master.uar
Logging to: /system/volatile/archive_log.1338
Executing dataset discovery...
Dataset discovery complete
Creating install media for zone(s)...
Media creation complete
Preparing archive system image...
Beginning archive stream creation...
Archive stream creation complete
Beginning final archive assembly...
Archive creation complete
作成したアーカイブを確認します。
master# ls -lh
total 5027895
-rw-r--r-- 1 root root 2.4G 6月 11日 13:27 s11_2_master.uar
master# archiveadm info -v s11_2_master.uar
Archive Information
Creation Time: 2015-06-11T04:18:21Z
Source Host: svl-00
Architecture: sparc
Operating System: Oracle Solaris 11.2 SPARC
Recovery Archive: No
Unique ID: 4294315b-abaa-4b10-a471-d2caf8ddf101
Archive Version: 1.0
Deployable Systems
'global'
OS Version: 0.5.11
OS Branch: 0.175.2.10.0.5.2
Active BE: sru10_5
Brand: solaris
Size Needed: 3.5GB
Unique ID: 32bec373-7e2d-4d00-beb8-d1fe102d5a10
AI Media: 0.175.2_ai_sparc.iso
Root-only: Yes
作成したアーカイブをFTPなどでインストールサーバに配置します。
master# ftp inst-srv
・・・省略・・・
インストールサーバの構築
次はインストールサーバを構築します。インストールサーバには、既にOracle Solaris 11.2がインストール済みです。
まずは、インストールサーバにDNSを設定します。ここでは、dns-srv1, dns-srv2を設定します。
inst-srv# svccfg -s dns/client:default \
> setprop "config/nameserver=(dns-srv1 dns-srv2)"
inst-srv# svccfg -s dns/client:default refresh
/etc/resolv.conf ファイルを確認します。/etc/resolv.conf ファイルは、上記コマンドを実行することで作成されます。
inst-srv# cat /etc/resolv.conf
・・・省略・・・
# See resolv.conf(4) for details
nameserver dns-srv1
nameserver dns-srv2
サービスが以下の状態であることを確認します。異なる場合には、適宜設定します。
inst-srv# svcs dns/client
STATE STIME FMRI
online 11:01:00 svc:/network/dns/client:default
inst-srv# svcs name-service/switch
STATE STIME FMRI
online 10:27:11 svc:/system/name-service/switch:default
inst-srv# svcs dns/multicast
STATE STIME FMRI
disabled 15:51:27 svc:/network/dns/multicast:defaul
DNSの設定ができたら、インストールサービスを作成します。その前に必要となるinstalladmパッケージがインストールされていることを確認します。
inst-srv# pkg list installadm
NAME (PUBLISHER) VERSION IFO
install/installadm 0.5.11-0.175.2.8.0.1.2 i--
installadm（1M）コマンドを使用して、インストールサービスを作成します。サービスを作成するには、AI（Automated Installer）のBootイメージが必要になりますので、予め用意しておきます。今回は/ISO配下に配置していて、-sオプションで指定します。また、-nオプションでサービス名を指定します。
inst-srv# installadm create-service -n s11_2 \
> -s /ISO/sol-11_2-automated-installer-boot-image-iso.iso
OK to use subdir of /export/auto_install to store image? [y|N]: y
0% : Creating service from: /ISO/sol-11_2-automated-installer-boot-image-iso.iso
・・・省略・・・
100% : Created Service: 's11_2'
100% : Refreshing SMF service svc:/network/tftp/udp6:default
100% : Refreshing SMF service svc:/system/install/server:default
100% : Enabling SMF service svc:/system/install/server:default
100% : Enabling SMF service svc:/network/tftp/udp6:default
100% : Service 's11_2' has been added to the mDNS registry
100% : Service 'default-sparc' has been added to the mDNS registry
インストールサービスの作成が終わったら、状態を確認します。
inst-srv# svcs install/server
STATE STIME FMRI
online 11:08:43 svc:/system/install/server:default
inst-srv# installadm list
Service Name Status Arch Type Secure Alias Aliases Clients Profiles Manifests
------------ ------ ---- ---- ------ ----- ------- ------- -------- ---------
default-sparc on sparc iso no yes 0 0 0 1
s11_2 on sparc iso no no 1 0 0 1
以上でマスターとなる環境からアーカイブを作成して、インストールサーバを構築するところまでが完了です。
次回は実際にクラウド環境を想定して、仮想環境へクローンを作成したいと思います。
第22回
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