ウクライナからの避難民を、Fujitsu Sportsの試合に招待

ロシア軍によるウクライナへの侵攻が始まって以来1年あまりが経過しましたが、いまだに終息の気配は見えない状況です。富士通はこの問題に対して、被災者への人道支援を目的とした国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)への義援金拠出、ロシアにおける事業の一時停止などの対応を行っています。

本取り組みに加え、ウクライナで困難な立場に置かれた方々に元気を届けようと、ユニークな活動に取り組んでいるのが Fujitsu Sportsの活動です。
一見、スポーツの分野とは縁遠いように思われる国際社会の問題に対して、富士通がチームを通してどのように関わろうとしているのか、その取り組みをご紹介します。

目次
  1. ウクライナ避難民が日々の不安を忘れ、バスケットボールの選手を思い切り応援
  2. アメリカンフットボールの試合で、ダイバーシティ・コミュニケーションツール LiveTalkが大活躍
  3. 自発的に活動したボランティア
  4. スポーツの力で、社会課題にどう向き合うか

ウクライナ避難民が日々の不安を忘れ、バスケットボールの選手を思い切り応援

バスケットボール女子日本リーグ(Wリーグ)において、常に上位で活躍する「富士通レッドウェーブ」 は、2023年1月22日、ウクライナからの避難民を初めて試合に招待しました。参加者へのアンケート結果が好評であったため、2023年11月11日に2度目となる避難民招待を実施しました。

前回同様、横浜市国際局・横浜市国際交流協会(YOKE)協力のもと、神奈川県に住むウクライナ避難民にSNS等でイベントを告知。当日はウクライナ人とその同伴者7名が、試合会場となる横浜武道館に集まりました。なおウクライナの成人男性は、国防上の要請で出国が制限されているため、参加者のほとんどは女性と高齢者の方です。

バスケットボールは世界で広く親しまれており、ウクライナ人の皆さんもルールに戸惑うことなく観戦をスタート。富士通レッドウェーブのファンと同様に、チームを応援する赤いハリセンを手に、コートで躍動する選手たちに声援を送りました。Wリーグの試合にはDJが参加しており、軽快な音楽とともに観戦を楽しめるので、言語の壁を越えて試合を楽しむことが出来たようです。

バスケットボールの観戦を楽しむ参加者 バスケットボールの観戦を楽しむ参加者

試合後、参加者からは 「深刻な状況で心配ばかりしているが、一時的であっても心を解放する時間が必要です。今日は無心に選手たちを応援でき、気をそらすことができて良かった!」 と喜びのコメントをいただきました。
ご協力いただいた横浜市の職員からは「日本で暮らす避難民にとって、ウクライナ人同士が集まって話をする機会は少ないですが、こういったスポーツ観戦をきっかけに、ウクライナ人のコミュニティが活性化することも期待できます」 と感想をいただきました。

アメリカンフットボールの試合で、ダイバーシティ・コミュニケーションツール LiveTalkが大活躍

バスケットボールの取り組みを横展開すべく、日本社会人アメリカンフットボールリーグ(Xリーグ)においても2023年11月5日に横浜スタジアムで開催された「富士通フロンティアーズ」の試合に、ウクライナからの避難民と同伴者9名を初めて招待しました。

富士通フロンティア―ズを応援するウクライナの人々 富士通フロンティア―ズを応援するウクライナの人々

アメリカンフットボール(以下、アメフト)は、ボールを使った陣取り合戦という基本ルールさえわかれば誰もが楽しめるスポーツです。これまでアメフトを観たことのないウクライナの方に、チームOBによる簡単なルール説明と実況解説を行いました。日本語からウクライナ語への翻訳には、富士通のダイバーシティ・コミュニケーションツール 「LiveTalk」 を活用。解説者の音声はリアルタイムでウクライナ語の文字に変換され、参加者はその文章をスマートフォン等で閲覧しながら、初めてのアメフト観戦を楽しみました。

LiveTalkの翻訳表示画面 LiveTalkの翻訳表示画面

重量感のある選手同士が音を立ててぶつかり合う迫力、広いフィールドを一気に駆け抜けていく爽快感は、誰にでもストレートに伝わります。
参加者からは 「アメフトは初めて見たが、大きな選手ばかりで迫力がありました」 「選手が力強く前進する姿に勇気をもらいました」 と高評価をいただきました。

自発的に活動したボランティア

バスケットボールやアメフトの避難民招待において、重要な役割を果たしたのが、富士通グループ社内で募集した社員ボランティアです。2日間でのべ18名が参加し、ウクライナの皆さんへのおもてなしを行いました。

ボランティア活躍の場はイベント当日だけに留まりません。試合開始の1か月以上前からミーティングを行い、自分たちにできることがないかを検討しました。社員ボランティアの中には、遠地に住んでいるため当日は参加できない人もいましたが、「試合観戦のしおり」をウクライナ語でまとめるなど、それぞれの持ち場で自発的に活動しました。

当日来場した社員ボランティアは、全員がウクライナの皆さんと積極的に交流し、皆でリラックスして試合観戦を楽しみました。Fujitsu Sportsは、社内におけるボランティア文化の醸成にも貢献しています。

活動を支える社員ボランティア 活動を支える社員ボランティア

スポーツの力で、社会課題にどう向き合うか

今回のイベントに参加したウクライナの皆さんが母国に帰られる暁に、日本でのスポーツ観戦を思い出の一つとして持ち帰っていただければ、選手・スタッフ一同嬉しく思います。

スポーツは、戦争を終結させる直接の手段にはなりませんが、人種や言葉の壁を越えて人々を結びつける力があると信じています。また今回のスポーツ観戦を通じて、ウクライナの方々と短時間であれ交流できたことは、国際問題という遠い世界の出来事を一人ひとりが "自分ごと" として考えるきっかけになったのではないかと思います。

Fujitsu Sportsは、今後もさまざまな社会課題に対して貢献できることを常に模索し、行動に移していきます。

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