2023年定時株主総会開催レポート

富士通は2023年6月26日、第123回定時株主総会(以下、株主総会)を新横浜プリンスホテルにて開催しました。新型コロナウイルスの感染拡大防止の観点から株主様には2020年以降ご来場を控えていただくようお願いしていましたが、今回は来場制限を解除しての開催となりました。当社代表取締役社長の時田隆仁(以下、時田)が議長を務め、報告事項や決議事項の説明後、質疑応答、議案の決議を行い全て可決されました。本記事では、その概要についてポイントを絞りお知らせします。

目次
  1. 業種の垣根を越えてより良い社会に変えていく
  2. 富士通が対処すべき課題
  3. お客様や社会の課題解決と持続的な成長をテクノロジーで支援

業種の垣根を越えてより良い社会に変えていく

会場でははじめに、議長の時田による開会のご挨拶の後、映像にて富士通を取り巻く環境について以下のとおり説明しました。

「2022年度、新型コロナウイルス感染症に関する規制が世界中で緩和されたことに伴い、人々や経済が動き始めました。AI(人工知能)やデータ活用などデジタル化に向けた投資は社会や企業の成長だけでなく新しい生活様式に対応するためにも必要とされており、今後もさらに拡大すると予想されています。その一方で、地政学的リスクの高まりやインフレなどの新たな問題が発生し、また気候変動、地球温暖化といった環境問題も深刻化しており、世界は依然、先の見通しがつかない不安定な状況が続いています。

このような状況において富士通グループは、『イノベーションによって社会に信頼をもたらし、世界をより持続可能にしていく』というパーパスを実現するため、社会課題の解決にフォーカスしたグローバルな事業である『Fujitsu Uvance』を強力に推進しております。この『Fujitsu Uvance』を通じ、富士通グループは、業種の垣根を越えて企業やアカデミアなどをつなぎ、それぞれの強みを大きな力に変え、地球や社会をより良いものにしていくことを目指してまいります」

次に、映像にて2022年度の富士通グループ全体の業績概要について以下のとおり説明しました。

「2022年度の売上収益は、デジタル化やモダナイゼーションなどのDX関連ビジネスの受注が増加したことや、半導体不足に起因する部材供給遅延による減収影響からの回復が進んだことにより、3兆7,137億円(前期比3.5%増)となりました。
営業利益については、3,356億円(営業利益率9.0%)と過去最高益を達成することができました。剰余金の配当は年間240円(前期比20円増配/年)で7期連続の増配となりました。増配に加え株主様への還元のさらなる充実を図るため、約1,500億円の自己株式取得を行いました」

富士通が対処すべき課題

続いて時田から、富士通が考える対処すべき課題について説明しました。まずこの3年間で取り組んできた施策とその結果を以下のように振り返りました。

「富士通は2020年より、『お客様の価値創造』と『自らの変革』の2つを軸に7つの課題を定めて取り組みました。

『お客様の価値創造』では、グローバルビジネスの再構築として、グローバル共通となるFujitsu Uvanceの提供をスタートし、2022年度で2,000億円の売り上げを達成しました。お客様の課題解決力強化のため、グローバルで1万1,000人の営業担当のうち8,000人にリスキリング※1を行いました。お客様事業の一層の安定化への貢献では、グローバルデリバリーセンターとジャパン・グローバルゲートウェイのリソースを3万人に増強し、グローバルで安定してサービスを提供するための基盤を強化しました。

  • ※1
    リスキリング:新たに必要となる業務・職種に順応できるように、スキルや知識を再習得すること

お客様のデジタルトランスフォーメーション(DX)のベストパートナーとなるために、DXに特化したコンサルティング会社であるRidgelinezを設立し、ここを起点に全社でのコンサルティング力強化を図りました」

「『自らの変革』では、データドリブン経営の強化として、その中核となるOneFujitsuの取り組みを進めました。また、社員の新たな働き方や働く環境の整備、そして社員が自律的にキャリアを形成するための人事制度や人材マネジメント変革など様々な施策を進めてきました。その結果、非財務目標において、お客様との信頼関係を表すお客様ネットプロモータースコア(NPS)、社内DXの進捗度を示すDX推進指標で目標値を達成できました」

続いて、2023年度からの新たな中期経営計画を次のように説明しました。

「今回定めた中期経営計画の期間である2023年度から2025年度までの3年間を、2030年およびそれ以降の目指す姿の実現に向けて、持続的な成長と収益力向上のモデルを構築する期間と位置づけています。

富士通は、パーパスの実現に向けて、『地球環境問題の解決』『デジタル社会の発展』『人々のウェルビーイングの向上』の3つをマテリアリティの必要不可欠な貢献分野として定め、さらに、気候変動、情報セキュリティの確保、生涯教育・リスキリングの推進など重点的に取り組むべき11の課題を新たに設定しました(図1)。先端テクノロジーや多様な人材といった富士通の強みをフルに活用しながら取り組んでいきます」

図1:必要不可欠な貢献分野(11項目)

また、時田は2030年に向けた価値創造の取り組みについて、以下のとおり説明しています。

「2030年に向けて、『社会、お客様、株主様、社員などのステークホルダーにとってネットポジティブを実現するテクノロジーカンパニーになる』というビジョンを定めました。

富士通にとってのネットポジティブとは、『社会に存在する富士通が、財務的なリターンの最大化に加え、地球環境問題の解決、デジタル社会の発展、そして人々のウェルビーイングの向上というマテリアリティに取り組み、テクノロジーとイノベーションによって、社会全体へのインパクトをプラスにすること』です。

今回の中期経営計画で定めた4つの重点戦略、『事業モデル・ポートフォリオ戦略』『カスタマサクセス戦略/地域戦略』『テクノロジー戦略』『リソース戦略』に沿ってマテリアリティに取り組み、財務・非財務の両面で成果を生み出し、それをまた資本として投じる、これを継続することで提供価値の向上を図っていきます。

2025年度の目標については、連結売上収益4兆2,000億円、調整後営業利益5,000億円、調整後営業利益率12%と定めました。Fujitsu Uvanceを成長のドライバーとしてサービスソリューションを中心に、全社の収益性拡大していきます。

また、非財務面においても、環境、お客様、生産性、そして人材の4つの項目において目標を定めています。財務、非財務の両面での目標達成に向けて取り組むことで、事業を通じた社会課題解決への貢献に取り組むとともに、当社自身が持続可能な企業となるための礎をしっかりと築いていきます」

お客様や社会の課題解決と持続的な成長をテクノロジーで支援

会場では、2022年度の業績に対する見解、今後の見通しやAIビジネスへの取り組みなど様々なご質問をいただき、時田から真摯にお答えしました。また、時田からの回答に加えて、従業員の定年後再雇用制度に関するご意見についてはEVP CHROの平松 浩樹から、環境への取り組みに関するご質問についてはEVP CSuOの梶原 ゆみ子からも回答しました。

質疑応答を経て、「取締役9名選任の件」「監査役1名選任の件」「社外取締役に対する譲渡制限付株式ユニットに係る報酬決定の件」の3議案の採決が行われ、全ての議案が原案通り承認可決されました。
今回の株主総会では、新たな社外取締役として、バイロン ギル氏が就任しました。当社は、同氏に機関投資家としての豊富な経験に基づく公正かつ客観的な立場からの監督および助言を期待しております。

富士通グループは、今後もパーパスの実現に向け、自らの変革を継続して推進するとともに、お客様や社会の課題解決と持続的な成長をテクノロジーで支援してまいります。これからもどうぞよろしくお願いいたします。

第123回定時株主総会についてはこちらからご覧いただけます。

  • 「Fujitsu Software LiveTalk」による当日の字幕をそのまま表示しております。
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