【変革のキーテクノロジー】AIは発見で革命を推進させる新しいエンジン

この不確実な時代、持続可能な社会に向けて、企業はどのように変革を起こすべきでしょうか。ビジネス変革を成功に導く5つのテクノロジーについてご紹介する連載企画。前回のネットワーク技術に続き、4回目の今回は、AIに焦点をあてご紹介します。

人間は、観察や経験から得た情報をもとに推論し、新たな知識を導き出すというすばらしい能力を持っています。この能力こそが、これまで科学革命と呼ばれる時代を特徴づける進歩をもたらしてきました。

そして今、人工知能(AI)がこの人類の能力をさらに拡大させ、新しいディスカバリー革命における最も強力な原動力の1つだということが明らかになっています()。これまで私たちの身の回りにある情報の大半には意味のないノイズにしか見えなかったデジタルデータが、AI機械学習によって、人間の能力をはるかに上回る規模で知識や価値へと変換されているのです。人間さえも超えようと進化が止まらないAIの未来の姿について、AIタスクフォースをリードする松本安英に話を聞きました。

目次
  1. 社会課題解決に向けて活躍が広がるAIテクノロジー
  2. 求められる説明可能なAI
  3. 人間の創造力をAIテクノロジーに活かすには

社会課題解決に向けて活躍が広がるAIテクノロジー

富士通は、持続可能な社会の実現に向けたお客様のサステナブルビジネスに、AIがどのように活用できるか、お客様と共に長年探り続けてきました。

例えば、食品の安全性を守る分野では、毎年およそ6億人の人々が、細菌、ウイルス、寄生生物、化学物質に汚染された食品を食べ病気になっています。富士通は、農業食品分析企業と共同で、分光分析および病原体の検出を自動化するための機械学習を導入。AIシステムで一度トレーニングが完了することで、誤った結果が出力される確率を2%以下にすることを可能にしました。これにより、これまでのプロセスより高い精度結果を一貫して出力することができます。

また、AI創薬およびゲノム医療などの分野では、複数の医療研究所が富士通のAIテクノロジーを利用して、デング熱や新型コロナウイルス感染症などの病気の治療薬を開発するために、有望なタンパク質分子の発見を加速させています。例えば、AIとスーパーコンピュータ富岳を用いたソリューションにより、ヒトの全遺伝子20,000個の計算にかかる時間を4,000年から1日に短縮することに成功しました。
富士通は、愛知県がんセンターと協力し、患者のがんの種類と遺伝子変異に基づいて個々の患者に合った薬物治療を選択できるように、医療関係者の支援をしています。

求められる説明可能なAI

次に解決すべき課題は、テクノロジーの進化により取り沙汰されている倫理的観点からの取り組みです。
倫理面から言えば、AIはもっと人々からの信頼を得る必要があり、そのためには、公平性、説明責任、透明性の確保が求められます。富士通は信頼と信用を築くために、説明可能なAI(XAI)に取り組んでいます。例えば、オートメーションソリューションプロバイダのLARUS社は、富士通のAIスコアリングプラットフォームサービス「Finplex EnsemBiz」を組み込んだGalileo XAIプラットフォームの導入により、金融機関が直面する潜在的なリスクとコストを軽減しています。「Galileo XAI」は、高度な解析および機械学習によって、巧妙で複雑な不正取引を自動的に検知することを可能とします。

富士通は、機械学習において精度の高いアルゴリズムを見つけるために、構造化データ向けのMLコードを自動的に生成するAutoMLにも取り組んでいます。富士通のAutoMLは、データ量が少なく制限されたリソースのなかでも高品質のMLモデルを迅速に構築することが可能となります。これにより、AIを実際の業務に組み込むことで企業における能力が強化され、ビジネスや社会を悩ます問題の解決にAIを活用する新たな機会がもたらされます。

人間の創造力をAIテクノロジーに活かすには

これからもAIを支える基盤となるのは人間であり、AIは人々に信頼されるものでなければなりません。富士通には、グラフAI、因果関係AI、説明可能なAI(XAI)の、3つのコアAIテクノロジーがあります。これらはすべて、信頼され、倫理的で透明性の高い人工知能であることを目指して構築しています。

AIと人間の創造性との間で繰り返されるフィードバックがなければ、解決すべき課題を設定することすら難しいでしょう。新たに発見された推測をいつになれば利用できるのか、価値を示すことが可能であるのか判断するために研究開発を続けています。
倫理的なAIがもたらす未来に向けて、富士通はどのようにテクノロジーを創り出しているのか。詳しくお知りになりたい場合は、お気軽にお問い合わせください。

富士通AI・SME(Subject Matter Expert)シニアディレクター 松本安英

富士通AI・SME(Subject Matter Expert)
シニアディレクター 松本安英

現在、AI、データサイエンス、データ活用をはじめとするAIタスクフォースのリーダーを務めています。それ以前から、富士通のサービステクノロジー部門およびデジタルビジネスプラットフォームの各部門を横断するプロジェクトでリーダーシップを発揮しています。

  • この記事はFujitsu Blogに掲載された「AI is the rocket fuel in the discovery revolution」の抄訳です。
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