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未来を目指す大学生が「大切にしていること」「実現したい未来」
今回、参加していただいた3名の大学生の皆さんは、日頃から街頭であしなが育英会の募金活動をされるなど、社会的な取り組みに積極的に参加しています。そんな皆さんは、理想の未来をどのように思い描いているのでしょうか。まずは「日々大切にしていること」と「実現したい未来のイメージ」について語っていただきました。
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文学部英文科 佐伯 千鶴さん(以下、佐伯さん)
- 大切にしていること:
「感謝」「チャレンジ」「個性」 - 実現したい未来:
みんなが平和で平等で、お互いの個性を尊重しながら共生していける未来
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文学部哲学科 佐藤 雪飛さん(以下、佐藤さん)
- 大切にしていること:
「自律」「思考」「貪欲な吸収」 - 実現したい未来:
科学技術の進化や価値観の変化にともない、人間の精神も変化していく未来
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工学部数学科 松永 響さん(以下、松永さん)
- 大切にしていること:
「出会い」「家族」「チャレンジ」 - 実現したい未来:
多様性、感謝、自由が達成された平和で優しい、誰もがお互いを認め合える未来
日々感じているモヤモヤは多様性を認め合うことの難しさ
続いて実施されたワークショップでは、大学生の皆さんが日々感じている「日常のモヤモヤ」や「違和感」に目を向け、それらの要因について対話を進めました。
松永さん: 日々の大学生活の中でマイノリティとマジョリティがあることにモヤモヤを感じることはよくあります。
佐伯さん: 就職活動をきっかけに髪を黒く染めましたが、それによって自分の個性が失われた気がしました。同時に社会に受け入れられようとして安易にマジョリティになってしまうことをとても怖いと思いました。
佐藤さん: SNSなどで「これは少数派です」などと書かれていると、きっとその通りなのだと疑問も抱かずに思ってしまいます。自分で判断をしないで「そうなんだ」と受け入れてしまうことはやはり怖いと感じます。
マイノリティとマジョリティに関するさまざまな問題にどう取り組むか。それはSDGsで示されている「誰一人取り残さない」持続可能でより良い社会の実現を目指す上でもとても重要なことであり、対話を進める中で大学生の皆さんからは理想の社会の実現に向けて、さまざまな意見が出てきました。
松永さん: 自分とは違うなって思うことは別にいいのではないでしょうか。それが、自分と違う意見や考え方だからといって「あいつはヤバイ」となったらアウトだと思います。
佐藤さん: マジョリティとマイノリティという分け方自体をなくして、人としてラベルのない生き方をしていきたいと感じました。
佐伯さん: 誰もがお互いを認め合える平和で優しい世界、それを実現するためには、人々の精神を変化させていく必要があると強く思いました。
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理想の未来を創るにはWill(意志)を持ち、歩みを止めないことが大切
多様性を認め合う社会、大学生たちが理想と考える未来の実現に向けて富士通はどのような取り組みや貢献ができるのでしょうか。ワークショップの後には社長の時田を交えた座談会が実施され、さまざまな意見が交わされました。まずは、時田が富士通のパーパスについて大学生の皆さんに説明し、社員がお互いの多様性を認め合う環境を醸成していることについても紹介しました。
時田: 富士通には、「イノベーションによって社会に信頼をもたらし、世界をより持続可能にしていく」という会社としての存在意義、パーパスがあります。同時に、富士通の全世界12万4,200人の社員一人ひとりが、個別に自分自身のパーパスを明確にするようにしています。
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次にSDGsにも掲げられている「誰一人取り残さない」持続可能でより良い社会を実現するためには、どのような取り組みが必要なのか、大学生の皆さんが時田に意見を求めました。
時田: 誰一人取り残さない社会の実現、これは正直、相当に難しいことです。哲学的に考えなければいけない側面もありますが、現在は、社会・文化的にも経済的にもボーダレスなグローバリゼーションから、分断や対立が顕在化した世界に一部変わってきており、人々の価値観も変化しています。アメリカ、中国といった大国で利害が異なり、ロシアがウクライナを侵攻しているという世界の中で、「誰一人取り残さない」社会の実現というのは、人類に突きつけられた非常に難しい課題です。
「誰一人取り残さない」ということがいかに難しいか、わかりやすい例をあげると、全世界のデジタルテクノロジーに関する企業のトップが集まる場で議論されることは「5Gを使って世の中をどれだけ良くしようか」ということではなく、いまだに「インターネットを使えない人たちとの格差をどう解消するか」ということなのです。世界では4Gどころか、3Gだって使えない国の人たちがまだたくさんいて、インターネットさえ使えない人も存在しています。このような状況をどう是正するか、そこから取り組もうとしています。
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「誰一人取り残さない」という目標は、おそらく100人いたら100人が賛同する目標ですが、正直に言うと実現にはクリアすべき課題が多く、難しいことばかりです。ただ、そう言ってしまったら歩みは止まってしまいます。 常に「誰一人取り残さない」という「Will」、つまり、理想の社会を実現しようという強い意志を持つこと、持ち続けることがとても大切なのです。
松永さん: 私たちの学生団体での活動を通しても「誰一人取り残さない」というのは、現実問題としては無理なのではないかと思えてしまうことがあります。それでも、今の時田社長の言葉を聞いて、大切なことは目の前で1人でも2人でも救われれば少しでも良くなると考えて歩みを止めず、「Will」を持って前に進むこと、その行動を起こすことが未来のために必要なことなのだと感じました。
佐伯さん: 大切なことは、「誰一人取り残さない」社会をどうしたら実現できるかといういわば「正解のない」ことについて考え続けていくことだと思いました。ディスカッションをして、そこで出た新しい意見をその場で止めておくのではなく、次の場、違う場に持って行き発表してみるなど、繋げていくこと、それが歩みを止めないことにもなるし、大切なのだと実感しました。
一人ひとりが社会を変える意志を持ち、社会成長の「ドライバー」になる
時田: 「Will」という意志が大切なことは、経営でも同じです。富士通もパーパスを成し遂げるために、絶対に歩みを止めない。これは意志です。企業や組織、そして一人ひとりの個人も意志を持ち続けることが大切です。「誰一人取り残さない」社会をどう作るのか、今は正解がありません。ただし、取り残されている大勢の人がいるという現実は目の前にあります。
佐藤さん: 「Will」を持つことが重要であることに強く共感しました。もしかしたら完璧な結果よりも、何かしらより良いものを目指し続ける姿勢のほうが大切なのではないかとも思うようになりました。そういったところを考え合わせると、私が勉強している哲学の分野でもより良い未来を作っていくことに貢献できるところが、まだまだありそうだなと思えてきました。
大学生たちと時田が未来について対話する車座座談会も終盤に差し掛かったところで、時田が座談会を振り返り、大学生たちの未来に向けた思いについて、話し始めます。
時田: 多様性を認めつつ、「誰一人取り残さない」社会を実現すること。これには正解はなく、こうすれば完璧ということもありません。特に、時代の流れや変化が急速な今、いかに緻密に計画して完成度を高めても、完成した時にはすでに時代遅れになっているリスクもあります。これは富士通の経営においても同じです。
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これからの社会を生き抜く大学生の皆さんに向けて求められるものは、いかなる変化に対しても柔軟に適応できる力です。完璧に精緻に作り上げていく能力も重要ですが、修正しながら理想に近づけていく、前へ前へと進んでいく力です。ぜひ、自分自身が社会の成長の「ドライバーとなる」という意識を強く持ち続けてください。変化を受け入れ、自らの考えに取り入れながら、社会を進化させていく、という取り組みがこれからはより一層求められていくでしょう。
大学生の皆さんも自分が目指している目標に向けてさまざまな取り組みをしていくでしょうが、学ぶことも身に着ける内容もフレキシブルに変えていくことが必要だと思います。変化に柔軟に対応しながら、目標を成し遂げるという意志を持って歩みを止めずに進んでください。
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富士通では、サステナブルな世界の実現に向けて、人・地域・企業・もの・データをつなげ、生活者の視点での価値を提供し、課題を解決するためのイノベーションを創り続けていきたいと考えています。そして、未来を担う大学生の皆さんや子どもたちへのサポートに、より一層取り組んでいきます。
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