持続可能な未来都市の実現に向けた
川崎市と富士通の挑戦

急速に変化し複雑化するVUCAの時代において、様々な社会や地域の課題をテクノロジーによって解決し、持続可能な未来都市の実現に向けて連携を強化した、神奈川県川崎市(以降、川崎市)と富士通株式会社(以降、富士通)。2021年6月23日のプレスリリースを経てスタートを切った両者は、今後どのような未来都市を目指すのか、その想いと展望について、川崎市の重信悟士さん、富士通の池田圭佑さん、伊藤沙希子さんに話を聞きました。

目次
  1. 両者の強みを活かしたまちの価値向上へ
  2. 富士通創業の地こそが最善のスタート地点に
  3. 市民目線で掲げられた4つの重点テーマとは?
  4. 始動した2つのプロジェクト
  5. 川崎市と富士通のタッグが叶える“最幸のまち”、川崎

両者の強みを活かしたまちの価値向上へ

――川崎市と富士通の連携強化はいかにして実現したのでしょうか?

富士通 池田さん: 富士通の「イノベーションによって社会に信頼をもたらし、世界をより持続可能にしていく」というパーパス実現のため、当社創業の地である川崎で市との連携を強化し、当社テクノロジーを活用しながら様々な社会課題を解決していきたいという想いを川崎市さんへお伝えしたのがきっかけです。

――富士通の想いを川崎市はどのように受け止められたのでしょうか?

川崎市 重信さん: 川崎が持続可能な都市として発展していくためには、まちの価値を向上させ、市民に選ばれ続ける必要がありますが、あらゆる環境が目まぐるしく変化し続け、社会課題や市民ニーズが多様化、複雑化する中、行政だけでそのすべてに対応していくことは非常に困難で、多様な主体との連携の重要性は益々高まっています。そのため、富士通さんから前向きなお声がけをいただけたことは大変ありがたく、心強く感じました。最先端のテクノロジーを有し、共感できるパーパスを掲げる富士通さんとなら、想いを共有しながら新たな取組にチャレンジしていけるのではないかと感じています。

富士通創業の地こそが最善のスタート地点に

――協業プロジェクトの舞台は富士通川崎工場(川崎市中原区)およびその周辺地域が拠点となるようですね。

富士通 伊藤さん: はい、川崎工場周辺には約2,000人の当社従業員が居住しており、市民としての声を集めやすく、また川崎工場という自由に活用できる実践環境が整っています。そういった地の利を活かし、市民の声を集め、まちづくりに還元するようなモデルを作っていきたいです。

市民目線で掲げられた4つの重点テーマとは?

――今回、重点テーマとして「健康」「安全・安心」「環境」「仕事・暮らし」の4つを掲げていらっしゃいますが、その背景を教えてください。

川崎市 総務企画局 都市政策部 企画調整課 担当係長 重信悟士さん

川崎市 重信さん: 昨今の社会課題等を踏まえ、両者で検討を重ねた結果、市民にとって身近なテーマであり、まちの価値の向上につながるものと考え選定したものが4つのテーマです。

まず、「健康」については、誰にとっても身近で、関心の高いテーマだと思います。実際、川崎市が毎年行っている市民アンケートでも、健康に関心があると答える方が圧倒的に多いです。私自身もそうですが、新型コロナウイルスの感染拡大により、健康意識はますます高まっているのではないでしょうか。

「安全・安心」は幅広いテーマですが、近年、風水害の頻発、激甚化が顕著ですし、南海トラフ地震や首都直下地震といった巨大地震も想定されるなど、特に防災に関する意識が高まっていると思います。日常生活においても、例えば予測不能な交通事故などは、ある日誰にでも起こり得るものであり、やはり安全・安心という観点は欠かせないと思いました。

「環境」については、一見、とっつきにくい印象もありますが、地球温暖化に伴う気候変動は風水害激甚化の要因と指摘されており、もはや他人事と捉えることはできませんし、ごみの分別やリサイクルなどは、とても身近なテーマだと思います。
また、川崎市には、市民や事業者とともに公害問題の克服に取り組んできた経過もあります。

そして、「仕事・暮らし」はまさに市民生活そのものといえると思います。新型コロナウイルスの感染拡大以降、テレワークが急速に広まり、ワークスタイルだけでなく、ライフスタイルも大きく変化していく中で、富士通さんが推進されている「Work Life Shift」をヒントに進められる取組があるのではないかと考えました。

富士通 未来社会&テクノロジー本部 池田圭佑さん(左)、伊藤沙希子さん(右)

富士通 池田さん: これら4つの重点テーマにおいて、当社のテクノロジーをどのように掛け合わせれば、住みたい・訪れたいまちの実現につながるのか、市民視点でまちを捉え検討を進めていきたいと考えています。

始動した2つのプロジェクト

――すでに動き出したプロジェクトがあると聞きました。どのような活動でしょうか?

富士通 伊藤さん: 大きく二つのプロジェクトが動いています。一つは、市民中心のインクルーシブなまちづくりに向けた、川崎市立聾学校様との「未来の通学」ワークショップです。「音の無い世界の子どもたちはどのように社会が変われば、毎日安心・安全に、楽しく通学できるのか?」について、当事者の子どもたちが、ユーザ視点で課題解決策を考える時間となりました。今後も身近な生活のシーンに、当社のスーパーコンピュータ等先端テクノロジー適用の可能性を検討していきます。

もうひとつのプロジェクトは、市民が能動的に関わり、ワクワクする持続可能な未来を共に創り上げる「リビングラボ」の取組です。7月には、川崎工場周辺に居住する当社従業員および川崎市役所/中原区役所の方にも参加いただき、未来のまちの姿について「こうあってほしい!」という想いを生活者の視点で自由に語り合うオンラインワークショップを実施し、住民視点でのご意見やアイデアをいただく場となりました。

川崎市 重信さん: そうですね、オンラインリビングラボでは、どうすればまちをもっとよくできるか真剣に考えていただいて、前向きな意見やアイデアなどもいただき、大変貴重な体験をさせていただきました。

富士通 池田さん: 今後も、継続性を持たせながら、本取組から生まれたアイデアや仮説の深堀・施策化につなげていきたいですね。

川崎市 重信さん: 現状では難しいですが、新型コロナウイルスの動向など社会状況を踏まえつつ、より多くの市民の声をお聴きしながら取組を進めていきたいと考えています。

川崎市と富士通のタッグが叶える“最幸のまち”、川崎

――最後に、今後の展望についてご意見をお聞かせください。

富士通 伊藤さん: 4つの重点テーマを主軸にし、市民の皆様の声に基づいた、市民・自治体・企業一体となった市民参加型のまちを、当社の最新テクノロジーを掛け合わせながら川崎市さんとともに作っていきたいと考えています。

川崎市 重信さん: そのために必要なのは、市民の生活にとって身近な分野に様々な最先端技術が実装されることですね。それが更なるまちの価値の向上につながり、川崎に住む人、訪れる人、皆に笑顔があふれるような、そんな未来の実現を目指していきたいです。

富士通 池田さん: その通りですね。例えば、市民が生活の中で特別意識せずとも、さらなる健康や安全が担保される社会を最先端のテクノロジーを使って裏で富士通が支えていく。そういったまちを川崎市さんと一丸となって実現させていきます。

次の100年へ向けて「Colors,Future!いろいろって、未来。」というブランドメッセージを掲げる、川崎市。
今回の連携強化においても、多様性を尊重し、すべての人の幸せを願って推進されているということを、改めて感じました。
持続可能な未来都市の実現は、すぐそこです。

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