再生可能エネルギーの導入で、企業が社会にできること

目次
  1. 国際環境イニシアチブ「RE100」とは
  2. RE100で、富士通が日本のリーダーを目指す
  3. 現場が自分事に捉えたことで取り組みが進んだ
  4. 町を想い、地域に寄り添っていく活動を続けていきたい
  5. 持続可能な社会に向かって私たちができること

国際環境イニシアチブ「RE100」とは

脱炭素社会のための国際的なイニシアチブであるRE100注1。富士通はこのRE100の達成に向け、富士通グループで最大規模の事業所である川崎工場で、電力をすべて再生可能エネルギー(再エネ)に切り替えました。今回は富士通がそれに参加した理由、どう実現したのかを、サステナビリティ推進本部の濱川雅之さん、川崎工場の山口貴義さん、グローバルサプライチェーン本部の情野泰史さんに話を聞きました。

サステナビリティ推進本部
環境統括部長
濱川雅之さん

濱川: RE100という言葉は最近よく聞くかと思いますが、「Renewable Energy(再生可能エネルギー) 100%」の略で、企業が自らの事業で使用する電力をすべて再エネで賄うことを目指す国際イニシアチブです。現在、世界で300社以上、日本では50社以上が加盟しており、それぞれが目標を設定して参加しています。富士通の場合は2030年に40%、2050年には100%を再エネで賄うことを約束して2018年から参加しました。

川崎工場
工場長代理(兼)総務部長
山口貴義さん

山口: 持続可能な社会を実現するためのひとつの取り組みとして、私たちは、自然エネルギー100%を目指しています。もしそれを目指さなかったらどうなるでしょう。従来型のエネルギーで賄い続けるとすると、化石燃料はいずれ枯渇してしまうでしょうし、気候変動や大気汚染など、様々な問題が発生して社会を持続させるには限界がくると思っています。30年後、50年後の子供たちの未来のためにも、今私たちはSDGs(持続可能な開発目標)に取り組み、RE100をやっていかなければならないのです。

濱川: SDGsを目指さなかったらどうなるか。極端にいうと、社会は維持できなくなりこの世の終わりでしょう。世界中が貧困化し、国の歳入もなくなり水や食料をめぐって紛争も起こるかもしれません。当然、私たちのビジネス基盤は自然資本や社会資本の上に成り立っているので、それが毀損されるとビジネスそのものができなくなってしまいます。そういう意味でも、企業は根本であるSDGsやRE100にしっかり取り組んだ上で、ビジネスで戦う必要があるのです。

RE100で、富士通が日本のリーダーを目指す

これまで再エネの導入では、供給量が潤沢である欧米拠点と比較して、国内での導入拡大が課題となっていました。また、安定的な調達や経済合理性など様々な課題もあります。そんな中でも富士通としてRE100達成に力をいれる理由はなんだったのでしょうか。

濱川: 私たちは2017年にCO2排出ゼロを目指す中長期環境ビジョンを策定しました。その実現を後押しする一つの取り組みがRE100への参加です。省エネを極めても電力などのエネルギー利用は残ってしまいゼロエミッション達成は不可能です。そのため、残った電力を賄う再エネの利用は必要不可欠だと考えています。短期的にはコスト増となることもありますが、脱炭素社会への移行が進む中、お客様からのご要望に応えることで、サービス事業の売上げも増え長期的には利益もでてくると考えています。

山口: 確かに、経済合理性という面で見ると短期的にはコスト増になりますが、私たちは、それがRE100にブレーキをかける理由にはならないと考えています。サプライチェーンのみなさんとともに、エネルギーのマネジメントに今まで以上に取り組むことで、コスト削減につなげていきたいと長期的に捉え取り組んでいます。

濱川: 急速に世の中がカーボンニュートラルに向かっていますから、それに抗うのではなくむしろリードしていきたいですし、実際、私たちは国内でリーダーシップをとりやってきた自負もあります。
例えば海外のデータセンターでは、再エネ100%が前提条件になっていて、その証明書がある企業のクラウドがお客様にも支持されていました。日本にはそのような意識はまだ少なかったですが、富士通もそのようなニーズを先読みし、2022年までに再エネ100%でクラウドサービス「FJcloud」を運用すると宣言しました。
日本でも、異業種の方からもSDGs――特に気候変動について教えて欲しいと言われることが増えてきました。数年前と比べて皆さんの意識が変わってきたと感じています。
今は、世の中が気候変動の重要性に気づき始めてそこに向かって取り組み始めているという状態ですから、私たちがいち早く取り組むことによってノウハウを培い、これから再生エネルギーの導入を要求されるお客様に提供できればと考えています。

山口: そうですね。富士通グループがいちはやくRE100を目指すことで必要な技術や経験を蓄積し、富士通の得意分野であるセンシング技術やシミュレーション、ビッグデータ、AI、さらにスパコンの活用によって、持続可能な社会のあるべき姿という形で貢献していけると考えています。それが、富士通のパーパス「私たちは、イノベーションによって社会に信頼をもたらし、世界をより持続可能にしていきます」につながっていくと思いますし、中長期的なビジネスにもつながっていく、そんな風に様々な要素がすべてつながっていると感じています。

現場が自分事に捉えたことで取り組みが進んだ

富士通はRE100への取り組みを川崎工場から始めました。なぜ川崎工場から始めたのでしょう、そして、導入には実際にどんな苦労があったのでしょう。

山口: なんといっても、川崎工場は富士通グループ最大規模の事業所であることと発祥の地であること、そして技術の拠点であることですね。フラッグシップモデルとしてRE100を目指すという明確なメッセージを出すことができました。

グローバルサプライチェーン本部
サービス材調達統括部
情野泰史さん

情野: 全社で取り組んでいるSWITCH注2活動において、サステナビリティが重要なテーマとなっており、その一環として再エネ導入を推進しています。
再エネを導入していく、という明確な会社の方針があったのですが、ただ上から言われたからやるのではなく、現場の方からボトムアップで合意形成をはかっていくのが重要だと考え、取り組んできました。それには時間がかかりましたが、結果的に、現場の人たちが自分事として捉えて、具体的な方向性を上に伝えていくという理想的な形になりました。
誰も再エネに切り替えることには異論を唱えませんが、実際には各方面への調整や各拠点や関係会社の協力が必要なので、頭が下がる思いです。

一番意識したのは安定供給です。再エネにも様々な選択肢があるのですが、安く調達できることに加えて、それが再エネであることが証明できるのか、川崎工場で必要な量を長く安定供給できるのか、そこはちょっと苦労した点ですね。例えばデータセンターでは電力の品質もすごく重要になりますし。

濱川: 再エネというと、太陽光パネルを屋根の上に置くというイメージになりがちですが、実際には電力会社から再エネ起源の電力を購入するという手段があり、川崎工場も自分たちで発電するのではなく、調達によって100%を実現しています。
日本は、供給量や調達コストという面では不利でしたが、この半年くらいで電力会社の考え方も変わってきたのかなと感じています。
将来は富士通グループ自身が協力してくださるパートナーと組んで、再エネを作り出していくことに取り組んでいく必要もあるかもしれません。

町を想い、地域に寄り添っていく活動を続けていきたい

これまでご紹介した川崎工場での再生エネルギー導入の取り組みに対して、川崎市からもコメントをいただいています。
ここで一度、市長の福田紀彦様からのコメントをご紹介させていただきます。

川崎市長 福田紀彦様からのコメント

このたびの貴社川崎工場における「再生可能エネルギー100%調達」は、脱炭素化の先導的な事例として非常に素晴らしい取り組みだと感じています。こうした取り組みの輪が地域全体に広がっていくことを期待するとともに、持続可能な未来都市の実現に向け本市も取り組みを進めて参りますので、より一層の連携強化をお願いいたします。

持続可能な社会に向かって私たちができること

今回の川崎工場での取り組みを皮切りに、今後、社会にどのように貢献できるのでしょうか。展望を聞きました。

濱川: 自社グループだけではなく、社会の再エネ推進に貢献するため、再エネの無駄を無くす取り組みもしていきたいと考えています。例えば、VPP(バーチャルパワープラント)という各工場の発電機やバッテリーをつなげることで仮想的な大きな発電所 のように扱うというソリューションも取り組んでいきます。
そうすることで再エネの供給量が増え、増えるとコストも下がり、生活者のみなさんにも再エネの利用が身近になっていくのではないかと期待しています。

山口: 川崎工場には大勢の従業員がいて、近隣に住んでいます。川崎市や地域との連携が以前から強く、行政や住民の方々ともつながっています。そういう行政や住んでいる人たちと一緒にRE100を進めていくのは意義があることだと考えています。
例えば、川崎市やその公園緑地協会、Jリーグの川崎フロンターレ、富士通川崎工場の4者が合同で取り組んでいる「カーボンチャレンジ等々力」という地域の活動もありますし、川崎市のスマートライフスタイル大賞で優秀賞や大賞を授与される等、地域や行政からも評価をいただいております。
持続可能な社会というのは一企業だけではなく、地域のみなさんと一緒に考えることでいろんなチャレンジができるテーマなのだろうと思っています。そして地域や社会に少しでも役立てればと。

情野: 生活者の方が持続可能な社会を意識するには、省エネも大事ですね。省エネがあってこその再エネですから、富士通が取り組んでいるようなプラスティック製品はあまり使わない、リユースを心がけるといった日常の行動と、私たち企業を含む産官学がうまくつながることによってRE100は実現できると思っています。日々のちょっとした積み重ねが最終的に持続可能な社会につながっていきます。

濱川: 今までは企業間での実証実験がメインでしたが、生活者の方と一緒になった実証実験もできればと考えています。富士通グループは大きな会社ではあるけれども、世の中全体から見れば小さなものです。でも私たちの活動を見て、他の会社もやってみようと思ってもらえればそれがとても大事なことで、企業も生活者の方も仲間が増えていけば行動変容も起こり、常識も変わっていくものと思います。社会の脱炭素化、気候変動への適応に向けて、みなさま、是非一緒に取り組んでいきましょう。

  • 注1
    RE100(Renewable Energy 100):
    国際NGOであるThe Climate Groupが、CDPとのパートナーシップの下で運営するイニシアチブ。使用電力を100%再エネ由来にすることを目指す企業で構成。2021年7月12日時点で日本企業57社が参画。
  • 注2
    グループ全体の間接費用(外部支出)の最適化を推進し、そこで生み出したセービングを働きやすさ向上やサステナビリティ実現へ還流していく社内活動。

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