安心な医療サービスに欠かせない医療従事者の働き方改革

目次
  1. 大学病院の約9割の医師は月残業が160時間超える
  2. 多様な勤務内容の可視化が働き方を変える
  3. 医療現場に寄り添った改革を、現場からは期待の声
  4. “打倒・医療現場のひっ迫”に立ち上がった開発者たち
  5. ポスト・ニューノーマルに求められる医療サービス

大学病院の約9割の医師は月残業が160時間超える

新型コロナウイルス感染症の感染拡大を受け、メディアでは医療崩壊の危機が叫ばれています。しかしながら、医療現場の多忙さはコロナ以前から社会課題として取りざたされており、時間外労働が月160時間(1,920時間/年)を超える医師が病院の約3割、大学病院の約9割、救急機能を有する病院の約3割というデータ(※)もあります。

当社は、こうした状況が、医療機関にとっての問題であると同時に、患者が適切な治療を受けられなくなる点でも非常に大きな課題と捉え、病院で働く医師、看護師の意見を聞きながら、テクノロジーの力で医療従事者の働き方改革を推進しました。

多様な勤務内容の可視化が働き方を変える

職場としては比較的規模が大きく、専門職が集まる病院。そこで働く医療従事者の業務は多岐にわたります。診療、治療、各種管理業務の繁雑性もさることながら、自己研鑽の時間などもあり、その業務内容は多種多様。かつ、日々、命に向き合う現場では、自らの労働管理よりも、目の前の患者さんを優先する働き方が浸透しています。

そこで当社は、医療従事者の勤務時間を適正に把握、管理し、複雑な勤務体系を自動で可視化する仕組み作りを進めています。医療従事者の勤務情報を収集、一元管理することで、医療現場の業務を軽減し、更には最適なシフト調整を可能にします。これにより、医療従事者の離職率を軽減し、結果として、生活者にとって安心・安全な医療サービスが継続的に提供されることを目指しています。

医療現場に寄り添った改革を、現場からは期待の声

医療従事者の働き方改革に一役買うと期待される当社の取り組みに、病院関係者からは

「院内で最も人数の多い看護師で運用ができているため、他職種にも展開しやすいのではないか」

「既に導入されている勤務割システムの拡張で済むので、負担が少なく始められそうだ」

「先行して医師向け機能もリリースされており、運用にフィットすると感じた」

「規模の大きな富士通が現場の声に真摯に耳を傾けながら、ともに作り上げる医療システムに期待している」

といった声が寄せられています。

“打倒・医療現場のひっ迫”に立ち上がった開発者たち

当社が医療現場の働き方改革にと取り組む背景には、すでに電子カルテシステムや看護師向けの勤務管理システムで医療現場に寄り添ってきた実績があります。その中で、医療現場のひっ迫に対する危惧を社会課題と捉え、リリースに向けて奮闘してきた経緯を、開発者たちに聞きました。

「製品開発プロジェクト責任者を務めました。医師の時間外労働は各メディアでも取り上げられているように年1,920時間を超える現状もあり、2024年に始まる上限規制に向けて改善が社会課題となっていました。更にコロナ禍においては、医師・看護師の負荷が高く、まさにひっ迫した状況となっています。私たちはこれらの課題に対して社会貢献したいと考え、本製品を2021年4月にリリースしました。製品開発では苦労もありましたが、チーム一丸となってよい製品をリリースできたと自負しています。今後も、医療現場の課題解決に取り組んでいきます」(部門ソリューション事業部・飯田)

「私は、製品開発プロジェクトでプロジェクトリーダーを担当しました。開発目的は主に2点でした。

  1. 働き方改革に対応したソリューション強化
  2. 従来の看護師向けの勤務管理システムからの機能強化と集約
    • 従来製品「HOPEナーススケジューラ」「HOPE ナースプランナー」

従来の2製品をご利用中のお客様がスムーズな切り替えができるよう画面や仕様を検討するとともに、働き方改革に特化した機能との親和性を考慮しながら開発を行いました」(部門ソリューション事業部・野嶋)

開発に携わった2人の言葉からは、医療現場のひっ迫に対する危惧を社会課題と捉え、リリースに向けて奮闘してきたことがうかがい知れます。

ポスト・ニューノーマルに求められる医療サービス

今後、グループ内の様々なサービスや機能を結集し、24時間365日をシフトで勤務する看護師や医師特有の勤務形態にきめ細かく対応したサービスを拡充していく予定です。医療従事者の労働時間の課題解決や働き方改革がサポートされることは、生活者にとっても有益なものとなるでしょう。ポスト・ニューノーマル時代は、オンライン診療が一般化し、テレワークも定着するといわれます。富士通が取り組む医療現場の働き方改革へのサポートが、医療現場の安定に寄与し、生活者により豊かな医療サービスをもたらすことを目指します。

医療従事者の働き方改革、医療サービスの安定を支援する
「FUJITSU ヘルスケアソリューション HOPE タイムリフォーマー」

きわめて高度な専門性を必要とされる医療従事者の業務は多岐にわたります。「HOPE タイムリフォーマー」は、職種や業務で異なる複雑な勤務形態を踏まえ、勤務時間や各種手当を一元的に管理します。これにより医療従事者のリソースマネジメントも含めて医療機関の働き方改革を総合的に支援します。

医療従事者の方々がより適切な環境で働けるようになることで離職率が軽減し、スタッフ不足による医療崩壊を防ぎ、結果として、生活者が安心・安全な医療サービスを継続的に受けられることを目指しています。

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