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「災害福祉広域支援ネットワークの推進方策に関する調査研究事業」(社会福祉推進事業)の実施について

富士通総研では、厚生労働省「平成30年度生活困窮者就労準備支援事業費等補助金(社会福祉推進事業)として、「災害福祉広域支援ネットワークの推進方策に関する調査研究事業」を実施いたしました。

お問い合わせ先

担当:コンサルティング本部 行政経営グループ 名取直美 石田喬彦
電話:03-5401-8396(直通) Fax:03-5401-8439

背景と目的

平成30年5月31日に厚生労働省より発出された「「災害時の福祉支援体制の整備について」(社援発0531第1号)で「災害時の福祉支援体制の整備に向けたガイドライン」が示されたことにより、全国の災害時の福祉支援体制については一気に整備が進んでいます。そして、平成30年7月豪雨災害では、岡山県において岡山県災害派遣福祉チームの県内派遣のほか、青森県、岩手県、群馬県、静岡県、京都府の災害派遣福祉チームによる広域派遣による支援が行われる等、活動も広がりをみせています。特に、岡山県での支援活動では、DMATをはじめとする医療、保健師と密に連携し、災害時における医療・保健・福祉による支援が展開される等、今後の災害時の支援体制として目指すべき姿が具現化されてきています。

本調査研究では、全国の災害時の福祉支援体制の整備が進む中で、大規模災害にも対応しうる災害福祉広域支援ネットワークの推進がはかられている状況を確認するとともに、活動プロセスと課題の整理を行うこととし、各県のさらなる体制・ネットワークの充実、広域間の災害福祉広域支援ネットワークの取り組みを加速させていくことを目指して、今後必要となる具体的な取り組みについての検討を行うこととしました。

事業概要と結果

各都道府県内において災害時の福祉支援体制、ネットワークの構築が進んできていますが、その取り組みや活動内容は各県間でばらつきがある状況です。そのため、本調査研究では大規模災害に備えた災害福祉広域支援ネットワーク広域連携についての検討を行うべく、近隣複数県から成る圏域内での連携を重視し、調査研究を行いました。また、実際に災害時に支援活動を展開する場合、医療・保健との連携は必須であることから、実現に向けての課題等について確認しました。

本調査研究では、以上についての全国調査のほか、平成30年7月豪雨時の被災地である岡山県で展開された災害派遣福祉チームの活動、医療・保健・福祉による取り組み状況を整理し、その活動を展開した岡山県、青森県、岩手県、群馬県、静岡県、京都府のその後の取り組みについても確認を行い、今後の災害時の活動に向けたプロセスの検討、そして平時の取り組みに対する検討を行いました。また、都道府県等に向けた全国セミナーのほか、九州圏域・近畿圏域では圏域会議を開催し、その成果の展開を促す方法をとっています。

(1)平成30年豪雨災害における災害派遣福祉チームの活動のプロセス整理と今後への展開

被害を受けた岡山県では、7月10日より災害派遣福祉チームの先遣隊が派遣され、その後本格的な支援活動に移行しました。当初の先遣隊派遣時よりDMAT・保健師と連携した活動が展開され、KuraDRO(Kurashiki Disaster Recovery Organization:倉敷地域災害保健復興連絡会議)にも参画し、被災地支援の大きな役割を果たし、今後の災害時の支援体制のあり方を提示する活動となっています。また、被災地である岡山県の災害派遣福祉チームの活動を支えるべく、青森県、岩手県、群馬県、静岡県、京都府より災害派遣福祉チームが派遣され、9月2日までその活動は続きました。

本調査では、先遣隊派遣時より現地活動に帯同し、その活動プロセスや実施に向けた課題の整理と方向性の整理、医療・保健との他職種連携による活動状況とそのための実施策の検討を行いました。また、活動後の岡山県他の災害派遣福祉チームの活動を通じて、どのような変化が生じているのかの確認も行いました。

(2)全国向けセミナー・圏域会議による知見の展開と意識の共有

平成30年豪雨災害時の活動内容や気づきを共有し、そこからどのようなチームをつくっていくべきかを考える「災害福祉広域支援ネットワークセミナー」を開催しました。本セミナーには、31都府県及びその都府県と協力して構築に取り組む団体等から80名近くの参加があり、活発な議論が行われました。

また、災害時には近くの県等による支援も有効であるものの、取り組みや活動の平準化は今後の課題となっています。そのため、今後は圏域において情報交換や意見交換、発災時に向けた意識の共有を行うことが有効と考えられることから、その試行として九州・沖縄圏域の県、近畿圏域の府県を対象とする圏域会議を開催し、今後の活動に向けた課題の検討と取り組みに向けた協議を実施しました。

(3)全体的な状況の把握:都道府県アンケート調査

以上のような取り組みを経て、都道府県にアンケートを実施したところ、全47都道府県中44団体より回答が得られました。県内における災害時の福祉支援体制の構築については、「既に構築している」(28団体・59.6%)、「現在構築中である」(13団体・27.7%)、「今後構築の予定だが、未だ取りかかっていない」(2団体・4.3%)であり、体制の構築もしくは構築を目指している都道府県の計は昨年度より2団体増え、43団体・91.5%となっています。また、実際の支援にあたる派遣人員の確保や育成を開始している都道府県は26団体であり、全都道府県の55.3%となり、都道府県内に災害時の福祉支援体制を「既に構築している」・「現在構築中である」の計41団体の63.4%にのぼる等、ガイドライン発出に伴い、体制の構築が進んでいることがうかがわれます。一方、その人員の派遣先に一般避難所を含まないところも一部にみられる等、まだ過渡期にある状況もみられました。

ガイドライン発出を受け、全国的に災害時の福祉支援体制の構築が進み、被災地に対して広域派遣が行われて災害福祉広域支援ネットワークが機能し、災害時の支援体制として医療・保健・福祉が連携した取り組みがなされる等、災害時の福祉支援体制についてはこの一年で大きく進んだようにも見られます。一方で、その取り組みには濃淡もあり、近隣間においても支援にばらつきのある状況もみられます。

少子高齢化が進み、在宅で過ごす要介護高齢者、重度の障害者は増加している中で人々を支える社会は脆弱なものなってきており、そこで起きる災害は規模の大小にかかわらず大きなインパクトを与えるものと考えられます。その中で災害時の対応を考えるということは、災害時における地域共生社会、地域包括ケアシステムの継続に他なりません。よって、災害時の活動のみを考えるだけでは足りず、平時の社会のあり方を考えねばならず、災害派遣を経験した府県ではその気づきを得て、平時だからこそ行える活動との充実、他職種や市民との関係強化を図っている状況が見られます。また、南海トラフ、首都直下地震等はいつ起きても不思議ではなく、広域派遣を想定した災害福祉広域支援ネットワークの充実のためには、災害時の活動プロセスの平準化をより一層はかるとともに、全国派遣の仕組み、活動のマネジメントをできる人材の育成が急務となっています。今後は、平時/災害時の両方に強い社会に取り組むとともに、災害時に向けた全体的な体制強化と明確なルールづくりと人づくりを進めることで、平時にも・災害時にも強い日本の社会をつくっていくことにつながります。

資料掲載

資料(ホームページのみ掲載)
災害福祉広域支援ネットワーク構築セミナー
~西日本豪雨災害の災害福祉活動から本部とチームを考える~(平成30年11月16日開催)
資料一式