富士通総研では、厚生労働省「平成24年度老人保健健康増進等事業」(国庫補助事業)として、「精神科病院に入院が必要な認知症の人の状態像に関する調査研究事業」を実施致しました。
担当:第一コンサルティング本部 公共事業部 東史人、藤原律子
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認知症の人の増加に伴い、精神科病院に入院する認知症の人も増加していますが、このような人の中には、居宅や通所・施設での介護サービス等の支援環境があれば、必ずしも入院治療を行わなくても地域社会で生活できる人が少なからず含まれているのではないかと考えられています。
認知症の人ができる限り住み慣れた地域で暮らし続けられるような社会の実現には、精神科病院に入院が必要な認知症の人の病態像の明確化と、関係者によるその共有が必要となりますが、病態像の明確化は純粋な医学的判断だけではなく、地域で受け止められる環境・状態等の社会環境要因に大きく左右されることから、精神科医だけではなく、在宅での訪問診療を行う医師等の医療関係者に加え、介護関係者との認識の共有が不可欠と考えられます。
そのため、本事業では、医療・介護関係者が一堂に会し、問題意識や目指すべきゴール(精神科病院に入院が必要な認知症の人の病態像の明確化)の共有と、それらを踏まえた積極的な議論により検討・整理を進める方法が最適かつ必要であると考え、医療・介護関係者等をはじめとする幅広い関係者・有識者から成る研究会「認知症の人の精神科入院医療と在宅支援のあり方に関する研究会」 を設置して議論・検討等を行うこととしました。
「認知症の人の精神科入院医療と在宅支援のあり方に関する研究会」では、各界を代表する多数の関係者にお集まりいただき、十分に議論いただけるよう進行方法を設計、座長のスピーディかつ的確な進行により、委員が多数であることによる発言時間の制約がある中で、すべての委員から多数のご意見・ご指摘・ご提案等が挙げられました。
これらから、論点整理と今後必要な検討内容、今後の取組の大まかな方向性について考察し、報告書に取り纏めました。
本事業により、医療・介護関係者等の幅広い関係者・有識者が一堂に会し、積極的な議論を通じ、まずは問題意識や目指すべきゴールを共有できたことは、認知症になっても本人の意思が尊重され、精神科病院への入院を前提とせず、できる限り住み慣れた地域の良い環境で暮らし続けることができる社会の実現に向けた大きな一歩となりました。同時に、目指すべきゴールの複雑さ・難しさと、その一方で認知症の人ができる限り住み慣れた地域の良い環境で暮らし続けるためには避けて通れない課題であることも改めて明らかとなりました。
また、研究会での活発な議論を通じ、目指すべきゴールに向けて今後検討・整理していくべき6点
が明らかとなり、来年度の取り纏めに向けた道筋が明確化されました。
以上のような本事業における成果は、今後の検討・整理の際の起点となることから、報告書として取り纏めましたので公表致します。
研究会委員各位をはじめ本事業にご協力賜りました関係の皆様方には、深く感謝申し上げます。ありがとうございました。