ジャパンパイル株式会社 様
基礎杭工事の建設現場でタブレット端末を活用、施工管理記録を一元管理し、検査業務を効率化
既製コンクリート杭を中心に構造物の基礎杭工事を専業とするジャパンパイル株式会社様(以下、同社)。基礎杭工事の建設現場でタブレット端末を活用し、施工管理記録を一元管理することで、検査の実施から報告にかかる業務を大幅に短縮しました。同社の取り組みを紹介します。
- 課題建設現場で検査結果を記録したのち、事務所で記録内容をもとにチェックシートや作業報告書を作成していたため、転記漏れや誤記入が懸念された
- 効果建設現場でタブレット端末から検査結果を入力、転記漏れや誤記入が激減し、作業報告書の作成時間を大幅短縮
- 課題施主や元請建設会社から基礎杭工事における施工管理記録の迅速な提出が要請されていた
- 効果基礎杭工事の検査業務で「現場検査マイスター」を活用し、検査の準備から結果報告までの情報を一元管理し、提出にかかる時間を迅速化
- 課題業界全体で施工管理記録の保全が求められていた。
- 効果施工管理記録をクラウド上で保管・管理することで、BCP(事業継続計画)の観点も踏まえた保管を実現
導入の背景
杭基礎の施工管理の厳格化が求められる中
施工管理における検査結果の記録・保管にICTを活用
同社は、ビルなどを建設するときに地盤を補強する杭基礎を専業とする基礎建設会社です。既製コンクリート杭、鋼管杭、場所打ち杭の3種類の杭を全て扱い、既製コンクリート杭については全国11工場で製造から手がけています。
同社では、2016年に国土交通省から、「基礎ぐい工事の適正な施工を確保するために講ずべき措置」(国土交通省告示第四百六十八号)が告示されたことを受け、施工管理の一層の厳格化に取り組んでいました。同社の取締役 施工担当 兼 施工品質担当 兼 施工企画室長の細田 光美氏は「杭1本ごとの施工結果を記載した『カルテ』(杭施工管理チェックシート)を作成し、施工内容を作業報告書にまとめて元請建設会社に提出し、保管・管理することが求められました」と振り返ります。そして、「データの保管・管理についてICTの活用が推奨されました。当社は、一般社団法人 コンクリートパイル・ポール協会(COPITA)の会長企業でもあり、これを機に『業界標準』となる方法を確立できないかと考えました」と説明します。
当時、杭基礎工事の現場では「野帳」を活用していました。同社 施工推進部長 兼 施工技術部長の小松 吾郎氏は、「野帳では、記録項目の不備、作業報告書への転記漏れなどの可能性もありました」と以前の課題を示します。「記録の不備や転記漏れをなくし、厳格な施工管理を徹底するには、ICTの活用が必須だと感じていたのです」(小松氏)。
導入の経緯
直感的な操作性と柔軟なカスタマイズ性が決め手に
同社は、杭基礎の施工管理の一層の厳格化、あわせて、データの記録や保管・管理の精度向上と効率化を目的にICTシステムの選定を開始。富士通の「FUJITSU Manufacturing Industry Solution 現場検査マイスター」(以下、現場検査マイスター)を選定しました。これは、タブレット端末を活用し、現場でのデータ入力と施工状況の写真撮影、その後の報告書作成、データの保管・管理といった基礎杭工事における検査業務を効率化できるシステムです。
選定の理由について、同社 システム部長の𠮷川 那穂氏は、「直感的に操作できる点が杭工事管理者にとって扱いやすかったこと、社内で活用していた建設システムから施工現場のデータを取り込めるなど情報連携が可能なこと、あわせてカスタマイズ性の高さが決め手でした」と説明します。同社 システム部 課長の石山 大介氏も、「杭基礎の工法や元請建設会社ごとに報告書の書式が異なります。書式や項目を変更できるようにカスタマイズしてもらえるかどうかが重要でした。実は他社のシステムと比較検討しましたが、データ連携やカスタマイズの柔軟性で決めました」とポイントを示します。
また、同社では、施工管理のデータを万が一の災害時などでも保全できるようにクラウドでの導入を検討していました。「オンプレミスでは、システムやサーバなどの維持・管理が担当者の負担になるだけでなく、BCP(事業継続計画)の観点からも懸念がありました。富士通マーケティングは、当社がすでに導入・活用していたクラウド上にシステムを構築する提案をしてくれました。データを喪失する心配が少なくなるのは大きなメリットだと感じました」(𠮷川氏)。
導入の効果
チェックシートへの転記ミスが激減
報告書作成時間が大幅に短縮
同社では、「現場検査マイスター」の導入により、すでにさまざまな導入効果を感じているようです。同社 システム部 主任の岡田 浩一氏は「当社では、常時100~150台の施工機械が稼働しています。」現在、タブレット端末を約30台導入し、いくつかの現場で活用しています。実際に現場の担当者からは、チェックシートや報告書の作成が大幅に効率化されたという声が聞こえてきています」と効果を示します。
これまでは、現場で作業状況を記録した後、事務所に戻ってから2~3時間かけて施工管理に関する報告書を作成していました。今では現場で、タブレット端末で入力したデータがチェックシートに反映され、報告書も作成できます。もちろん、他にも工程や安全に関する報告書などの書類を作成する必要があるので、それらの書類を含む作成時間がゼロになったわけではありません。それでも、小松氏は現場検査マイスターの活用で、「現場での施工品質管理に関する報告書作成にかかっていた時間は、大幅に短縮できています。タブレット端末で入力した内容が反映され、素早く作成できるようになりました」と効果を感じています。
また、業務効率化とあわせて業務精度の向上にも効果がありました。「タブレット端末で検査すべき内容は、他のシステムの情報を用いて自動で作成されます。それぞれの現場で入力された施工管理のデータを事務所にいる管理者も、見やすい画面で迅速に確認できるようになりました。記録漏れなどのミスを迅速に確認できることで、より正確な報告書をより速く提出できるようになりました。顧客満足度の向上も図られていると感じています」(小松氏)。
今後の展望
COPITA会員企業と共同開発した、統合型管理装置との連携強化で業界標準を
同社では、今後、現場検査マイスターをさらに活用し、基礎建設業界全体の発展に貢献していきたい考えです。COPITAの会長企業でもある同社は、現場検査マイスターを活用した施工管理の手法を「業界標準として広めていくことを具体的に検討しています」(細田氏)。同社では、COPITAの会員企業である株式会社トーヨーアサノ、日本コンクリート工業株式会社と、杭打ち工事の各種施工データを管理・記録する装置である「統合型管理装置」を共同開発。「現在、統合型管理装置と現場検査マイスターの連携を強化すべく、両社に参画いただいています。今後、この組み合わせをセットで普及させることで、杭基礎の施工管理ツールのスタンダードとなれば、業界全体の発展に寄与できるでしょう」(細田氏)。
また、小松氏は、「総合建設会社からは、現場の施工状況のリアルタイムモニタリングの要望もでています」とニーズの変化を説明します。「こうしたニーズの変化にどうすれば迅速に対応できるのか。例えば、現場検査マイスターとIoT機器を連携させるなど、富士通マーケティングには、ICTパートナーとして『次なる提案』をますます期待します」(小松氏)。共に歩む道筋は明確なようです。
担当営業の声
このたびは、「FUJITSU Manufacturing Industry Solution 現場検査マイスター」を採用いただき、誠にありがとうございます。現場のご要望に対する提案内容や、実現に向けたサポート力をご評価いただきました。今後も、新しいICT技術をご活用いただき、お客様のさらなる発展をご支援させていただきます。
株式会社富士通マーケティング
地域営業本部 関西産業統括営業部
産業第二営業部 中田 勝久
- ご紹介したソリューション・サービス
ジャパンパイル株式会社 様
所在地 | 東京都中央区日本橋箱崎町36番2号 |
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代表者 | 代表取締役会長 兼 社長 黒瀬 晃 |
設立 | 2015年 |
資本金 | 10億円 |
従業員数 | 783名(単体)/3008名(連結)( 2019年3月31日現在) |
事業内容 | 基礎工事関連事業およびそれに関連する事業 コンクリートパイル製造施工等を営む国内子会社の経営管理など |
ホームページ | http://www.japanpile.co.jp/ |
[2019年9月掲載]
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