ブラザー工業株式会社 様
環境経営情報サービス「EcoTrack」導入による国内外の拠点からのデータ収集、集計業務効率化、データ精度向上
ブラザー工業株式会社では、富士通および富士通エフ・アイ・ピーの提案した環境経営ソリューション「FUJITSU Sustainability Solution Eco Track」を導入。環境活動に関わるデータを収集・集計、一元管理し、作業負荷を大幅に軽減、業務効率化やデータ精度の向上を実現した。
- 課題海外を含むデータ収集・集計作業の効率化、データ精度の向上
- 効果入力チェック、自動督促により、環境部門担当者の作業が
大幅に減少、多言語対応により、収集範囲も海外拠点へ拡大
- 課題既に確立しているプロセスを変えずにシステムを導入したい
- 効果既存の表計算ソフトのレイアウトを活用でき、拠点の入力
担当者に負担をかけないシステム移行を実現
- 課題データの外部検証への対応をスムーズに行いたい
- 効果検証に必要な集計表を出力でき、データの登録者・承認者・
エビデンスを拠点別に確認可能
背景
世界的な電機メーカーとして環境に対する取り組みを強化
ブラザーは、ミシンの修理業から始まり、現在では、プリンター、ラベルライター、ミシン、産業機器などを製造、販売する世界的な電機メーカーだ。40以上の国と地域に生産拠点や販売・サービス拠点を設け、世界中のお客様に製品やサービスを提供している。
ブラザー工業株式会社(以下、ブラザー工業)では、すべてのステークホルダーから信頼される企業を目指し、持続的発展が可能な社会の構築に向けて、企業活動のあらゆる面で地球環境に配慮した取り組みを行っている。
環境への取り組みは、古くは1991年の全社環境対策組織の発足から始まり、2008年には「ブラザーグループ中期環境行動計画2010(2008~2010)」を策定。現在も「中期環境行動計画2021(2019~2021)」として継続している。
さらに、2018年4月には「ブラザーグループ環境ビジョン2050」を策定。「2050年にブラザーグループがあらゆる事業活動でバリューチェーン全体のCO2排出削減に前向きに取り組み、世界が目指す脱炭素社会の形成に貢献している」を目指す。
「持続可能な開発目標(SDGs)やパリ協定(気候変動抑制に関する多国間の国際的な協定)といった国際的な枠組みも確立されるなかで、当社としても環境ビジョン2050を策定して、取り組みを強化しています」と語るのは、法務・環境・総務部長の可児島 俊 氏だ。
経緯
国内外の拠点からの必要なデータ収集、集計業務の負荷が課題に
そうした環境への取り組みの一つに、気候変動などの環境分野に取り組む国際的NGOである「CDP(Carbon Disclosure Project)」からの気候変動質問書に対する回答がある。CDPは環境に関するグローバルな情報開示システムを運営しており、ブラザー工業ではCDPの求めに応じて毎年、気候変動に関する質問書への回答を作成している。求められているのはGHG(GreenHouseGas、温室効果ガス)の排出量で、発生元を基準に3つのカテゴリに分けられている(Scope1:事業者の直接排出、Scope2:電気や熱の使用に伴う温室効果ガスの間接排出、Scope3:Scope2を除くその他の間接排出)。
法務・環境・総務部 環境推進グループ チーム・マネジャーの太田 滋之 氏は、「ブラザー工業で温室効果ガスの排出集計を開始したのは2013年。当初は国内事業所でScope1とScope2のみの集計だったが、以降は範囲を広げ、2015年には海外の工場や販社、Scope3についても集計を行っています」と話す。
法務・環境・総務部 環境推進グループ スーパーバイザーのミン テイン アウン氏は、「表計算ソフトで帳票を作成し、各拠点で記入してもらい、本社で集計していました。手作業での収集・集計のため、労力が大きく、精度にも課題を感じており、ITツールの導入が必要でした」と振り返る。集計の範囲が増えることでCDPの評価は向上するが、比例して集計の工数は増加する。未提出拠点への催促や記入ミスの確認、修正作業、集計の手間が問題となっていたのだ。
ポイント
既存の表計算ソフトのレイアウトをそのまま活用でき、
日英中の3言語に対応した「Eco Track」を採用
2015年からITツールの選定を開始。要件のうち、特に選定のポイントとなったのは大きく2つだ。まず、既存の表計算ソフトの帳票形式でデータを取り込んで集計が可能なこと、そしてもう一つが日本語・英語・中国語に対応していることだ。ミン氏は、「入力する際のレイアウトなどが大きく変わってしまうと各拠点の担当者への説明も必要になってしまいます。これまでのプロセスを変えないことを第一の要件としました」と語る。日本語、英語、中国語の対応については、海外の工場や販社も集計の範囲としているため当然の要件であったが、選定時これら3言語に対応したソリューションは多くなかったとミン氏は言う。
複数のソリューションを検討して絞り込みを行い、採用を決めたのが富士通の提案した環境経営情報サービス「FUJITSU Sustainability Solution Eco Track(以下、Eco Track)」だった。
採用した理由について、法務・環境・総務部 環境推進グループ チーム・マネジャーの津田 政之 氏は、「既存の帳票をそのままでシステム化できること、日英中の3言語に対応していること、それに加えコストパフォーマンスも高かったことが主な理由です」と語る。
2016年8月に採用を決定し、インフラの構築からマスタ構築、帳票作成、過去データの移行、マニュアルの作成といった工程を経て、2017年から本番環境での運用をスタートし、環境データ収集、集計作業の基盤となっている。構築を振り返りミン氏は、「富士通の支援を受けながら、スムーズに構築を行うことができました」と語る。
効果と今後の展望
収集・集計業務の大幅な負荷軽減、データ精度の向上を実現
Eco Trackの導入から3年。環境活動に関わるデータを収集・集計、一元管理する仕組みとして定着している。現在は、40以上の国や地域にあるグループ連結会社のデータ(GHG、水、廃棄物)を収集・集計している。
導入効果としてミン氏がまず挙げたのは業務効率化だ。「以前の手作業と比較して負荷は半分以下になったと体感しています。その分の時間をデータの分析等に活用できていますので、大幅な業務効率化になったと思います」と評価する。データ集計や進捗管理機能のほか、未入力の担当者へ督促メールを送信する機能もあり、「担当者へメールや電話をする時間も減りました」とミン氏は補足する。
データ収集・集計の効率化に伴い第三者検証など外部検証への対応もスムーズになっている。検証に必要な集計表を容易に出力でき、エビデンスも拠点別に参照できるため検証に関わる準備も容易となっている。
ブラザー工業では月に一回、環境データを各拠点から収集し、集計しており、システム化したことで、常に最新のデータを確認できる。「データの変化をリアルタイムで見られるようになったことで、対策も素早く実施できるようになっています」とミン氏は言う。
その他にも、データのエビデンス管理が可能なことや、記入ミスの確認と修正作業にも効果がある。「これまではデータを集めることに手一杯な面もありましたが、Eco Trackの導入で収集作業の負担が減り、またデータの精度を向上させることができるようになりました」と津田氏は語る。データ修正や履歴の管理機能に加え、前年度データとの比較による閾値チェック機能が精度の向上にも役立っていると言う。
また、データを入力する担当者にとっても、使い勝手が変わらずスムーズに移行ができたことに加え、提出したデータや履歴がいつでも確認できることがメリットとなっている。
ブラザー工業では今後も環境に対する取り組みを進めていく。可児島氏は、「CO2を中心とした環境活動に関わるデータの収集や集計、一元管理のためにEco Trackを導入しましたが、環境に対する取り組みはこれだけではありません。資源循環や生物多様性の保全に対する取り組みなどもありますので、富士通にも提案など協力いただきながら、それらにもEco Trackを活用していきたいです」と展望を語った。
お客様プロフィール
ブラザー工業株式会社 様
所在地 | 名古屋市瑞穂区苗代町15番1号 |
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設立 | 1934年1月15日 |
従業員数 | 連結37,769名/単独 3,865名(2019年3月31日現在) |
概要 | プリンティング・アンド・ソリューションズ事業、パーソナル・アンド・ホーム事業、マシナリー事業、ネットワーク・アンド・コンテンツ事業、ドミノ事業をグローバルで展開 |
ホームページ | https://global.brother/ja |
本事例中に記載の肩書きや数値、固有名詞等は2020年3月のものであり、このページの閲覧時には変更されている可能性があることをご了承ください。
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