ナブテスコ株式会社 様

環境/労働安全衛生情報をEco Trackで一元管理。環境経営に関わるデータ収集・集計の効率化に成功

CSRやサステナビリティを重要経営課題に掲げるナブテスコ株式会社(以下、ナブテスコ)では、情報開示や業務改善に必要な環境経営データの収集・精査・集計に多くの負担を強いられるようになっていた。そこで同社では、環境経営情報システムEco Trackを導入し情報管理基盤を構築。信頼性の高い環境/労働安全衛生データを迅速に収集・精査・集計できる仕組みを構築することで、業務負担の軽減や第三者保証審査対応の効率化に成功。今後は海外拠点への展開も推進していく構えだ。

課題
効果
課題環境経営に関わる正確な情報をタイムリーに開示することが求められていた
効果データ収集を年3回から毎月に変更し、全環境経営情報に第三者保証を取得
課題各事業所からのデータ収集・精査・集計業務に多くの工数と時間を費やしていた
効果Excel入力やエラーチェック機能などの活用により、業務負担を約1/3に削減
課題海外生産拠点の環境データを効率的に収集・集計できる仕組みが必要であった
効果多国語対応のクラウド環境を構築し、グローバルな情報管理体制を確立

背景

環境情報の効率的な収集・集計と
グローバル化への対応が課題に

ナブテスコ株式会社
ものづくり革新推進室
環境安全部部長
浅野陽次氏


「動かす・止める」モーションコントロール技術を中核に、鉄道車両や船舶、航空機、自動車、油圧機器、精密減速機、自動ドア、包装機、福祉機器など、幅広い領域でビジネスを展開するナブテスコ。その同社の重要経営課題の一つとなっているのが、CSRやサステナビリティ経営に向けた取り組みだ。

浅野陽次氏は「当社は海外株主の比率が半数を超えるため、信頼性の高い環境情報を迅速に開示できる仕組みが強く求められています。そこで当部門を中心に、エネルギー使用量や省エネ改善実績、PRTR対象物質の使用量、大気排出量、水使用量、貨物輸送量、労災件数、総労働時間など、多岐にわたるデータを収集・集計し、これを環境負荷軽減/労働安全衛生強化などのEHS業務(注1)に役立てると同時に、CDP(注2)への対応や第三者保証の取得も行っています」と説明する。

しかし、外部機関からのアンケート要請などが増加する中で、管理・収集対象となる拠点や実績データの種類も年々増加し、かつ人手で作業を行っていたため、業務負担は重くなる一方であった。

ナブテスコ株式会社
ものづくり革新推進室
環境安全部参事
山岡達也氏

山岡達也氏は「以前はデータ収集・集計に複雑なマクロを組み込んだExcelシートを利用していたため、新たなニーズが生じる度にファイル容量がどんどん増大する、マクロを組んだ人でないとシートの修正・変更が行えないなどの問題が生じていました。また、以前は調査回数が年3回だったため、毎月の実績に基づくタイムリーな対応が行えない点も課題でした」と振り返る。

さらにもう一つはグローバル化への対応だ。同社は世界中に拠点を展開するグローバル製造業であるため、各国のデータをどう効率的に収集・集計するかも大きな課題となっていたのだ。

ポイント

環境/労働安全情報を一元管理
既存のExcelシートによる入力や項目の追加、変更にも対応

ナブテスコ株式会社
ものづくり革新推進室
環境安全部
稲垣清美氏


こうした課題を解決するものとして新たに導入されたのが、富士通の環境経営情報システム「Eco Track」である。稲垣清美氏は、その経緯を「化学物質管理関連のセミナーに出席した際に、環境経営情報システムというものが存在することを知りました。早速各社の製品を比較してみたところ、Eco Trackは当初考えていたエネルギー使用量だけでなく、労働安全衛生関連やPRTR対象物質など、これまで当社が収集してきたデータすべてに対応できる。また当社の標準ツールとして定着しているExcelシートでの入力が可能なため、従来の業務プロセスを大きく変える必要もありません。これは便利だということで、早速導入を決めました」と説明する。

また、入力/出力帳票の作成・修正が自社で行える点も高く評価された。稲垣氏は「これなら各事業所の既存レイアウトを最大限活用し、そのまま環境経営のデータ入力に用いることもでき、業務拡張の際に追加費用が発生するようなこともありません。さらにユーザーカンファレンスを通して他のユーザーと情報交換ができると、英語・中国語対応でクラウド版も用意されており、グローバル展開が容易であること、導入・運用費用がリーズナブルなことなども決め手となりました」と続ける。

ナブテスコ株式会社
ものづくり革新推進室
環境安全部
棚橋伸二氏

2013年4月より本稼動を開始した新システムでは、実際にエネルギー使用量や化学物質などの情報だけでなく、労災件数や総労働時間、休業日数、赤チン災害、ヒヤリ・ハット件数など労働安全衛生関連の情報も一元的に管理されている。「これらの情報が指標に基づいてきちんと管理されていることは、第三者保証を受ける際にも大事なポイントとなります」と山岡氏は語る。

構築にあたっての工夫としては、Excel運用の見直しが挙げられる。棚橋伸二氏は「昔は1枚のExcelシートですべての実績データを管理していたので、集計やグラフ作成なども処理に時間がかかって仕方がありませんでした。しかし現在は、過去データをEcoTrackで管理し、Excelシートには今年・前年の2年分だけのデータを持つように変更。これによりデータ容量が飛躍的に削減でき、Eco Trackのエラーチェック機能などを利用することで、入力間違いや異常値の発見も簡単に行えるようになりました」と語る。

効果

業務負担は1/3に削減
第三者保証審査にも威力を発揮

Eco Trackを導入したことで、環境経営データの利用価値は大幅にアップ。浅野氏は「以前は年3回の集計でしたから、半年前の情報を元に開示や業務改善を行わざるを得ませんでした。しかし現在では、毎月収集・集計が行えるようになりましたので、よりタイムリーな対応が可能になっています」と力強く語る。

しかもデータ収集・集計の頻度が増えている一方で、業務負担は逆に以前より減っている。棚橋氏は「たとえばエネルギー使用量の収集・精査・集計作業は、以前は1週間以上掛かっていた作業がほぼゼロに。データの入力依頼・督促、データの精査・集計も自動化されたことで、業務負担は概ね1/3以下に減っています」と語る。これにより、法改正への対応など、より付加価値の高い業務に時間を使えるようになったとのことだ。

「信頼性の高いデータを迅速に収集・集計・管理できるということは、第三者保証審査の効率化にも大きく寄与しています。エビデンスや改ざん防止にも対応できるため、審査が非常にスムーズに進むようになりました。現在ではすべての環境経営データに第三者保証を付けるようにしています」と山岡氏。こうした環境が整った結果、同社は社会的責任投資の国際指標「DJSI」(注3)において、アジア太平洋地域の企業を対象とした構成銘柄「DJSI Asia Pacific Index」にも選定されている。

「富士通には膨大な過去データの取り込みなど、運用面での支援も提供してもらい感謝しています。また、機能強化の要望にも真摯に対応してもらえるのでありがたいですね。今後は文書保管や単位・為替のグローバル対応、一部制限のあったPRTR対象物質取り込みなど、新機能の活用も推進していきたい」と稲垣氏は語る。

今後の展望

海外生産拠点への展開を加速
他業務システムとの連携も検討

環境経営の高度化に向けた歩みを着実に進めている同社だが、懸案であったグローバル対応についても取り組みを本格化させている。「当社ではアジア・北米・欧州に約30ヶ所の製造拠点を展開しています。これらのデータ管理は従来のExcelベースのままでしたが、エネルギー使用量を皮切りに、2015年度よりEco Trackによる収集・集計へ切り替えていく予定です」と浅野氏は語る。また国内についても、社内のエネルギー見える化システムや生産システムとの連携、各事業所における管理会計資料作成への活用など、様々な施策を展開していくとのことだ。

「環境や労働安全衛生に関わるデータは、企業のリスク管理に直結する重要な要素。今後もその信頼性やスピードを上げていきたい」と抱負を語る浅野氏。Eco Trackと富士通も、その取り組みの一端をしっかりと担っていく。

  • (注1)
    EHS: Environment, Health and Safety
  • (注2)
    CDP: Carbon Disclosure Project
  • (注3)
    DJSI: Dow Jones Sustainability Index

ナブテスコ株式会社 様

設立年度2003年9月29日
所在地東京都千代田区平河町279
資本金100億円
代表取締役社長小谷和朗
従業員数5,344人(2014年3月末現在:連結)
ホームページ
https://www.nabtesco.com/

[2015年3月5日掲載]

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