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Fujitsu

Japan

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注:このページはアーカイブ化さたコンテンツです。各論文の記載内容は、掲載開始時の最新情報です。

雑誌FUJITSU

2002-1月号 (VOL.53, NO.1)

富士通の最新技術を隔月に紹介する情報誌です。 冊子体の販売はしておりませんのでご了承下さい。


雑誌FUJITSU 2002-01

年頭ご挨拶

特集: 「システムLSI」

システムLSI特集に寄せて(PDF)

特集: システムLSI 目次〕

特集

  • システムLSI市場展望
  • システムLSIソフトウェアの開発環境
  • システムLSIのためのレイアウトCAD
  • 100nm世代以降のシステムLSIに向けたリソグラフィCAD技術
  • システムLSI設計検証技術
  • 0.11μm CMOS技術
  • 低消費電力RAM IP化のための設計手法
  • 超高速CMOSインタフェース技術
  • 新メディアプロセッサFR400
  • 地上波デジタル放送向けOFDM復調LSI
  • 超小型マイクロカメラモジュール
  • シングルチップMPEG-2 AVエンコーダLSI
  • デジタルスチルカメラ向けシステムLSI:Millenniaシリーズ
  • 高機能グラフィクスコントローラ

一般

  • 資源評価情報システム

特集:システムLSI


特集

今まで個人で持つことができなかった大規模かつ複雑なシステムでも,実用的なサイズ,価格,消費電力を実現することにより個人で持つことができるようになった。これを実現可能にしたのがシステムLSIである。大規模なシステムLSIにより,複雑なシステムも一つのチップに集積することができる。システムはデジタル化,ネットワーク化に伴い今後更に複雑化かつ多様化していき,システムLSIへの要求もますます高まっていく。システムの差別化,早期市場投入にはシステムLSIは必要不可欠である。一方,大規模なシステムLSIを短期間に開発するためには設計技術などの課題もある。
本稿ではシステムLSIの市場動向・技術動向を概観し,システムLSIに対する富士通の取組みについて紹介する。

角井 広幸,濱田 幸範

ネットワーク社会の高度化によるシステムの多様化ならびにメディア処理の高速化の要求などに伴って,ハード/ソフトともにシステムLSIには従来の開発スタイルから飛躍的に向上した高設計品質と短TATを同時に満足する開発環境が要求されている。
とりわけ数100万ステップを超える組込みソフトウェア開発の分野では開発環境の良否がシステムLSIを使用したシステム全体の開発ならびにビジネスへ甚大な影響を与えるようになりつつある。
本稿では,組込みソフト開発で今後必須となるUML言語を中心とした上流CASEツールと従来からの開発環境であるSoftuneとの連携,基盤技術の要となるコンパイラ技術,組込みJava技術および現在急激に増大しているメディア,プロファイルに対応したミドルウェアライブラリについて紹介する。

五十嵐 純,松浪 邦彦,根岸 康行,後藤 純

0.18μm以降のディープサブミクロンプロセステクノロジでは,1,000万ゲートを超える論理回路の搭載が可能となり,従来複数チップで構成していたシステムを1チップ上に集積するSOC(System-on-a-Chip)の設計が本格化してきている。
一方,プロセスの微細化に伴い,タイミングクロージャおよびシグナルインテグリティの問題がより複雑化し,設計期間の増大を招いている。これらの問題を解決し,システムLSIを短期間で効率良く設計するために各種の新しいCAD技術の開発が要求されている。
本稿では,レイアウト設計に焦点をあて,0.25μmテクノロジで立ち上げた技術を更に解析的手法と連携させることにより進化させた,タイミングドリブンレイアウト,クロストーク対策,電源配線最適化を実現するCAD技術について紹介する。このCAD技術は,富士通で広く使用実績を持つ「レイアウトCADシステム“GLOSCAD”」で実用化していく。

杉岡 俊明,今野 正

光露光用リソグラフィCADにおいては,並列処理を応用したOPCシステムの開発により,100 nm世代のシステムLSIに対して,ますます困難になるマスクパターン作成や超解像技術処理を高速に行うことが可能となった。さらに,超解像技術の検証としてリソグラフィックDRCを活用することで,システムLSIの開発期間の短縮や試作コスト削減に貢献している。
また,電子ビーム露光用リソグラフィCADにおいては,多品種変量生産時代の重要課題であるレチクルコスト削減を達成するための施策として,共用ブロック方式を実現した。部分ブロック抽出機能,ブロック抽出シミュレータを使うことにより,自動的に最適な共用ブロックパターンを抽出するためのデータ処理システムを開発した。電子ビーム露光技術は,先端テクノロジ開発への貢献だけではなく,電子ビーム直描の下方展開でも,技術的,スループット的に大きな効果が見出せることが分かった。

星野 裕美,辻村 亮,滝田 博

近年の複雑なシステムLSIの開発では,設計後期のシステム全体の検証段階で初めて設計仕様の致命的な不具合が発見されるケースが多く,開発期間やコストの増加が大きな問題になっている。短期間で効率良く開発するためには,開発の早い段階から,ハードウェア/ソフトウェアを含めたシステムレベルの検証を行う必要がある。
この課題の解決へ向けたソリューションとして,C言語によるモデリング技術をベースに仮想的なシステムプロトタイピングを行いハードウェア/ソフトウェアを同時開発する手法,およびエミュレーション技術をベースに短TATでプロトタイピングを構築して高速にシステム検証する手法を開発し,システムLSIの開発へ適用を進めている。
検証戦略に応じ,これらの技術を組み合わせてフローを構築することにより,完成度の高いシステムLSIを短期間で開発することが可能になった。

東 明浩,藤田 隆司,佐々木 貴行

本稿では,ブロードバンドインターネット時代を支える情報化機器に向けて開発した,0.11μmCMOS半導体技術を紹介する。高速・低消費電力への強い要求に応えるためにトランジスタは0.13μm世代の露光技術に新規開発の微細加工技術を組み合わせて0.11μmゲート長を実現した。また,配線技術としては前世代の高性能サーバ向けLSI開発の成功で培った高信頼性Cu配線技術を進化させてASIC用として初めてCu配線+低誘電率絶縁膜の配線構造を実用化した。配線の断面形状を最適化することによりアルミ配線に対してRC遅延時間で1.6倍以上の改善を行うとともに,近年問題になりつつある隣接配線間のクロストークノイズも大幅に改善している。また,システムLSIでは内蔵メモリの容量が急激に増加しているが,本テクノロジでは前世代の50%面積のメモリセルと新規回路技術により8 Mビットの大規模内蔵メモリマクロの搭載を可能にしている。

久保田 勝久,粟屋 友晴,古用 和人

ハードIPとしてシステムLSIに搭載されるRAMマクロは,その低消費電力化と高機能化の要求から,論理機能および回路方式はますます複雑になってきている。それにより,RAMマクロをASIC設計手法へ組み込む設計フローはますます複雑化している。それは,ASIC設計手法とRAMのようなハードIPでは,その設計手法が大きく異なるためである。
本稿では,上記問題解決のために開発した,論理モデルと実回路の論理一致検証フロー,またプロセスばらつきと配線クロストークを考慮した遅延ライブラリ作成フロー,さらに電源配線仕様と電源ドロップ解析環境に関して記述する。
本設計手法により,実回路動作とライブラリ間の等価性を高い信頼性で保証できるようになり,RAMをハードIPとして短TATでASIC設計に取り込むことを可能とした。また,RAMマクロのノイズ耐性も同時に保証可能とした。

檜垣 直志,福士 功,笹川 隆平

2.5 Gビット/秒以上の超高速でデータの送受信,データからのクロックリカバリを行う技術を紹介する。本技術の用途としては,LSIと光モジュールとのインタフェース,ボード上でのチップ間のインタフェース,バックプレーンを通してのボード間のインタフェースなどである。
本技術では特別なプロセスを要求しないCMOS回路のみで高データレートに対応が可能である。チャネルあたりの消費電力は約150 mWと小さいことも特長で,化合物半導体やSiGeデバイスを使用した場合に比べて大幅に消費電力を低減でき,単一チップ上で多数のチャネルを使用できる。またASICのマクロとしても使えるので,チップ上に多くのチャネルを集積でき,信号本数や消費電力の削減,パッケージコスト,ボードコストの削減などを実現でき,システムの高性能化,低価格化に対応が可能である。
さらに10 Gビット/秒以上の高データレート化,ソースシンクロナス対応などを進めている。

酒井 敏昭,後藤 公太郎

高性能組み込み用VLIWプロセッサであるFR-Vファミリーの製品として,新たにFR400を開発した。FR400は既に製品化しているFR500に対して命令発行数,レジスタ数やキャッシュサイズを半分にしコストダウンを図りながらも随所に性能を保つ工夫をした結果,大幅な性能対価格比の向上を図ることができた。
本稿ではVLIWの概念をはじめFR400の命令セットアーキテクチャについて説明する。さらにFR400の最初の製品であるMB93401の内部構成や省電力機構について解説する。最後にFR400をシステムLSIのコアとして使用した応用製品の例としてMFP(Multi Function Printer)およびDSC(Digital Still Camera)の例を上げ,画像処理アルゴリズムをソフトウェアで行う場合の優位性について説明する。

桜井 厚

2003年から始まる日本の地上波デジタル放送の規格は,多様なサービスの提供を目指し策定された。日本における放送規格の特徴は,地上波で問題となるマルチパスに強いOFDM(Orthogonal Frequency Division Multiplexing)を変調方式に採用したことに加え三つある。キャリア間隔の異なる3種の伝送モード,移動受信時に誤りを少なくする時間インタリーブ,同一周波数で異なるプログラムを送ることができる階層伝送である。これらの機能を実現するため,地上波デジタル放送用復調部は,複雑で大規模な回路と大容量のメモリが必要となる。多様な端末で放送を受信することを考慮すると,復調部のLSI化は必須である。今回開発したLSIは,新たな処理方式を提案することで,メモリを大幅に削減し,復調に必要なすべての機能を1チップに集積した。本稿では,日本規格に初めて準拠した1チップOFDM復調LSIについて述べる。

大和田 秀夫,吉田 昌弘,玉村 雅也

近年,CMOSカラーイメージセンサは,小型デジタルカメラやノートパソコン用カメラ・携帯情報端末などに幅広く搭載されてきており,撮影した画像データをインターネット経由で送信できるなど携帯機器用途が飛躍的に拡大している。このような状況の中で,さらに小型・低消費電力CMOSカラーイメージセンサへのニーズが高まってきている。
本稿では,携帯電話のデザイン設計の自由度の高い,超小型,低消費電力特性に加えて高画質,多機能CMOSカラーイメージセンサモジュール(MB86S02)を開発したので紹介する。

山本 克義,大工 博,水口 寿孝

近年,書き込み可能なメディアの大容量化につれMPEG-2方式による圧縮画像の録画を行う安価なデジタルAV機器の開発が期待されている。このような状況を踏まえ,映像・音声のMPEG-2符号化処理をシングルチップで実現するエンコーダLSIの開発を行った。これによりMPEG-2録画を行う機器の低価格化が期待できる。本LSIはハードウェア・ソフトウェアを混合したアーキテクチャによって低電力・柔軟性・高画質を実現している。また本LSIを使用したコーデックモジュールを製作した。このモジュールを使用することによって,応用システムを容易に実現できるようになる。具体例としてハードディスクレコーダを製作し,録画と再生の同時実行が可能であることを確認した。

田中 和幸,栗田 昌徳,大塚 竜志

富士通は,デジタルスチルカメラ向けに汎用システムLSI,Millenniaシリーズを開発した。
Millenniaシリーズは,FR70E CPUを搭載し,高速・高画質の画像マクロや各種I/O,メモリカードなどの周辺リソースを1チップに集積したシステムLSIである。また,お客様により良いデジタルスチルカメラの開発環境を提供し,デジタルスチルカメラのノウハウをそれほど持っていないお客様でも,このチップを使うことにより容易に製品展開ができることを目標にしている。
本稿では,Millenniaシリーズのシステム構成,チップ構成,および今後のシリーズ展開について解説する。

松井 聡,萩原 創一,後藤 恵之

カーナビゲーション,メータ,表示パネルなどの組み込み用途に適した高機能グラフィクスコントローラ「MB86290シリーズ」を紹介する。第3世代のMB86293は,レンダリングエンジン,ジオメトリエンジン,ディスプレイコントローラ,ビデオキャプチャ,ホストインタフェース,そして外部メモリインタフェースを集約統合し,組み込み用途向けグラフィクスに最適化したシステムLSIとして製品化する。パソコンやゲーム向けグラフィクスと違い,組み込み用途では2次元グラフィクスや画面重畳に対する要求が依然として強いが,本LSIはこれらの市場要求に応えるものである。
本稿では,本LSIが実装した,特長的な表示ならびに描画処理に対する工夫について説明する。また,性能評価をとおして,組み込み用途向けシステムにおける本LSIの効能について述べる。

阿波賀 信人,中原 誠

一般

資源評価情報システム(略称:fresco)は,水産庁が実施する資源評価調査委託事業の目的である,日本周辺水域における水産資源の回復と持続的利用の科学的基礎となる主要魚種の資源評価を実施するために構築された。frescoのサーバは,社団法人漁業情報サービスセンター(略称:JAFIC)に設置され,クライアントである全国10か所にある水産研究所および54か所にある水産試験場から漁獲情報および海洋情報を収集し,データベースを用いて管理するシステムである。富士通は,2000年度に本システムの開発をJAFICより受託し開発を完了した。本稿では,富士通が開発したfrescoの概要と構成を紹介するとともに,とくに顧客要求の難易度が高かった機能を中心に説明する。

志治 幸良,佐藤 弥之助,蜂谷 順


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