技術講座:ソフトウェア無線(SDR:Software Defined Radio)

ソフトウェア無線(SDR)とは、無線システムのデジタル化の比率を高めてソフトウェアでシステム機能を変更することにより、単一のハードウェアで複数のシステム機能に対応できるマルチモードの無線システムを実現すること。

下図に、ソフトウェア無線機の基本構成を示す。

       

ソフトウェア無線機では、アナログ高周波部に対してデジタル信号処理部の比率を高めて、ソフトウェアによって無線システムの機能を変更できるようにする。

上図に示すように、ソフトウェア無線機の構成要素には、アナログ高周波部、変換部(A/D、D/A)、デジタル信号処理部がある。さらに、ソフトウェアのダウンロードを扱う部分がある。ここでは、RF信号から直接ベースバンド信号に変換するダイレクトコンバージョン(Direct Conversion)方式の場合を示している。

1. アナログ高周波部

アナログの高周波(RF)信号を扱う部分。受信側ではアンテナから受信したRF信号を周波数変換によってデジタル信号処理の可能なベースバンド受信信号に変換する。送信側ではベースバンド送信信号を周波数変換してRF信号としてアンテナから送信する。

2. 変換部(A/D、D/A)

アナログとデジタルの橋渡しの部分。受信側ではアナログのベースバンド受信信号をA/Dによりデジタルのベースバンド信号に変換する。送信側ではデジタルのベースバンド信号をD/Aによりアナログのベースバンド送信信号に変換する。

3. デジタル信号処理部

デジタルのベースバンド信号を扱う信号処理の部分。無線システムの要となるデジタル変復調、符号化・復号化、通信プロトコル制御等の機能を持たせる。その機能をソフトウェアで柔軟に変更できるようにするため、ハードウェアとしては、FPGA(Field Programmable Gate Array)、DSP(Digital Signal Processor)等を用いる。ソフトウェアでシステム機能を変更することをリコンフィギュアビリティ(Reconfigurability)と言う。

さらに、無線回線などを介して外部からソフトウェアをダウンロードすることによってプログラム書換えできるダウンローダビリティ(Downloadability)の機能を持たせる。

このようにリコンフィギュア(Reconfigure)の可能な構成を持つハードウェアが利用できるようになると、ソフトウェアをダウンロードすることによって、種々の無線システムの機能を実現できるようになる。

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